2009年 07月 21日
飯豊連峰縦走 平成21年7月18日(土)~20日(月) メンバー (L)K・Yさん S・Hさん オイラ 山行形態 夏山装備 避難小屋2泊(予定:御西小屋・杁差小屋)(実施:御西小屋・頼母木小屋) 予定コース 18日飯豊山荘~ダイグラ尾根~飯豊本山~御西小屋 19日御西小屋~北股岳~地神北峰~大石山~杁差小屋 20日杁差小屋~大石山~地神北峰~丸森尾根~飯豊山荘 実施コース 18日飯豊山荘~ダイグラ尾根~飯豊本山~御西小屋 19日御西小屋~北股岳~地神北峰~頼母木小屋 20日頼母木小屋~地神北峰~丸森尾根~飯豊山荘 「縦走までの経緯と概要」 つい先週の7月11日、初めて飯豊連峰の一部、梶川尾根から門内岳の日帰りピストンを行った。ガスのため眺望も得られず、門内 岳のすぐ手前の避難小屋、門内小屋にて休憩後戻ったことは前回の山行記録に記したとおりだ。 さて、今度の山行は、先週一緒に登ったS・KさんとK・Yさんのうち、K・Yさん(44)をリーダーとして、S・Hさん(60)とオイラ(50) の3人パーティーだ。山行計画は、18日に飯豊山荘からダイグラ尾根に取り付き、飯豊本山を経由して御西小屋に泊まり、19日 は飯豊連峰の主稜線を一気に杁差(エブリサシ)小屋まで縦走。20日に杁差(エブリサシ)岳に登った後、丸森尾根より下るという ものだ。 計画上の総歩行距離は40km以上となり、かなりのロングコースで、しかも累積標高差が4,000mにもなる。健脚者で気力体力が充 実していなければ、走破するのは困難な計画だと思う。SさんとKさんがこの計画を練っているのを聞いたオイラが、頼み込んで参加 させてもらったという次第。実績と経験に乏しいオイラだが、今回のベテラン2人の山行に入れてもらえたのは、なんといっても6月 に行った朝日連峰単独縦走の結果があったからだ。それだけに迷惑をかけたり足を引っ張るようなことがあってはならないと、11日 の山行にも参加し、自分の体力脚力を確認し、この縦走の準備をした。 オイラは1泊での縦走さえ、先月の朝日が初めてであり、今回が2度目の小屋泊まり縦走となる。しかも2泊3日は全く初めて。いわ ば初心者でありビギナーだ。期待と不安がないといえば嘘になるが、どちらかというと期待感が上まわっていたような気がする。そ ういう意味では、少々舞い上がっていたのかもしれないが。 飯豊連峰といえば、オイラにとって近いようで遠い山だった。東北の、しかも隣県の山なのだが、その山懐の深さ故、気軽に登るこ とが許されない山と感じていた。単独行ばかりやってきたとしても、まだまだ登山初心者であるオイラとしては、まだ挑むのは早い と感じていたのは事実だ。しかし、単独行の近場のお手軽登山が多いとはいえ、歩行距離と標高差をいろいろなパターンで延ばして きたのは、ロングルートの縦走をやりたいという意識があったからに他ならない。朝日連峰の縦走も、その布石のひとつとして行っ たものだ。今回たまたまだが機会を得て、もう少し先かとも思っていた飯豊連峰縦走が出来ることになったのは喜びだった。満を持 してというほどの準備ではないかもしれないが、意欲は十分だし、SさんKさんの了解も得られたので参加で きたのだ。 さて飯豊連峰は、主稜線に登り上げるのに距離と標高差が大きい。日帰りで主稜線にタッチしすぐに下る短いコースでも、行動時間 が10時間程度にはなってしまう。なにかアクシデントがあれば、即ビバークの可能性が生じてくる山だ。だが、多くの山好きに愛 されている山であり、高齢者や女性の単独行者も登っている山でもある。さて、前書きが長くなってしまったが、以下に今回の山行 の足跡を記す。 18日(土) 予定コース 飯豊山荘~ダイグラ尾根~飯豊本山~御西小屋 4:30 現着(411m:GPS値) S・HさんK・Yさんは前日夜より飯豊山荘近くの天狗平駐車場入り。こちらは前日所用があり、結局当日向かうことになって、午前 4時30分過ぎに現着した。既に準備を始めていた2人に遅れまいと、急いでおにぎりを食べ準備を整える。北海道のトムラウシ山と 美瑛岳の遭難のニュースが気になり、途中で新聞を買ってきたが、結局読む時間が無かった。 5:12 行動開始 天候は曇りだが、今にも雨が落ちてきそうだ。登山口に歩いてゆくと、5~6人の遭難対策委員会?とおぼしき方や警察官がいて、登 山届の確認と安全指導をしていた。我々は準備していた登山計画書を提出し行程を説明すると、担当の方がさっそく今日泊まる予 定の御西小屋に無線で連絡を入れていたようだ。林道にある車輌止めのゲート脇を通り、沢の橋を渡るとしばらくは林道歩きが続く、 ブナの木が豊富な温身平を過ぎると石転び沢への分岐がある。梅花皮沢の河床橋を渡ると玉川沿いに1km以上歩き、桧山沢の吊 り橋を対岸に渡るとダイグラ尾根に取り付くことになる。 6:10 ダイグラ尾根取り付き いよいよダイグラ尾根の本格的な急登が始まる。飯豊連峰の登山道はいずれも急登ばかりだが、その中でもダイグラ尾根は切歯尾 根の異名がある。幾度となくアップダウンを繰り返し、長い尾根を越えていかなければならず、しかも悪路あり岩稜ありで、飯豊連峰 でもっとも厳しいルートとされている。 我々は2泊3日の縦走装備なのでゆっくり登るのだが、湿度が高く樹林の中は風も通らない急登に、汗をこれでもかと搾り取られる。 そのうち弱い雨が降ってきたが、既に汗で全身びっしょりになっている我々は、雨具を着ずにそのまま歩くことにする。それにしても ザックが重い。オイラのザックは水3リットルを含めて18㎏ほどになっているが、この重さを担ぐのは初めての経験。しかもいきな りダイグラ尾根はいささか無謀だったかと思うが、60歳のS・Hさんも同じように担いでいるので、若い?オイラは頑張るしかない。 8:48 休場ノ峰 休場ノ峰で小休憩中、ガスがサッと晴れた時があった。飯豊本山方向を見るが本山は見えず、手前の宝珠山が見えた。まだまだ遠 い。1時間程度歩いては少休憩を取るが、そのうち腹が空いてきて思うように足が上がらなくなる。ガス欠をリーダーに申請し、行動 食を取らせてもらった。オイラは人より食べないと歩けないタイプ。800キロカロリーほど摂取し、再度行動開始。 それにしても長い。延々と尾根道が続くが、ガスで景色は見えないし、木の根や岩が支障となって普通の登山道のようなペースでは とても歩けない。聞きしにまさるダイグラ尾根。でも、この尾根を飯豊本山まで日帰りピストンする人がいるというのだから驚く。まさ しく超人だ。超人でない我々は黙々とひたすら歩く。 10:08 千本峰 次第に高度を上げるとさらに尾根が細くなってくるが、ガスっているので高度感がない。しかし周囲の木々の変化が、確実に標高を 上げていることを示している。千本峰を過ぎると、次第に雪渓と岩場が現れるようになる。登山道が明確でないところもあり、注意を 要する箇所が多くなってくる。雪渓の下に登山道らしき跡が消えている場合は、急斜面の雪渓の処理を慎重にしなければならない。 足を滑らせれば即滑落だ。ただではすまない。同様に岩場の処理も気を付けなければならない。登り始めてからずっと気を抜いて はいないのだが、さらに気を入れて登る。要所要所でリーダーが通過時間のチェックをしているが、予定より少し遅い程度で各ポイ ントを通過できている。行動時間はある程度の余裕をみているので、小屋には午後4時には着けるだろうという。既に全身ずぶ濡れ だが、風による体温低下を防ぐため雨具を着る。 12:38 宝珠山(1,810m) 宝珠山を越すと、ガスの合間に飯豊本山の姿が垣間見えたが、すぐに隠れてしまった。飯豊本山が近づくと風雨が激しくなってく る。相変わらず近づいているはずの飯豊本山は見えないが、岩とハイマツなどの景色が、標高2000mが近いことを示している。 飯豊本山への登りはガスの中、強風に悩まされながらの少々辛い登りとなった。 14:50 飯豊本山(2,105m) やっと飯豊本山の山頂に着く。全く何も見えないが、飯豊連峰屈指の難コースであるダイグラ尾根を、荒天のなか越えてきたことに 充実感を感じる。飯豊本山からは、天候の状況によっては御西小屋より近い本山小屋へ向かうことも、エスケープとしての選択肢に 入っていた。だがその必要は無いとの判断で、予定どおり御西小屋へ向かう。ガスが濃いが、登山道ルートが入っているGPSを S・Hさんが持っているので心強い。 15:59 御西小屋 小屋の中は結構混んでいた。結局この日、御西小屋に到着したのは我々が最後だった。30人定員の小屋に20人ほどが入ってい たが、ずぶ濡れの雨具が場所もないほど掛けてあり、しばらく立って状況を観察するしかなかった。受付をして小屋の管理料として 1人2千円を支払い、なんとか場所を見つけて落ち着くまでかなり時間がかかった。着ているものは干しても乾くはずもないが、ひ もを張りギュッと絞って掛けた。 荒天でも避難小屋の中は暖かく、ありがたみをしみじみと感じる。今回の食糧計画はS・Hさんが行い、各自の分を出発時に配給され ている。フリーズドライの食料をお湯で戻しただけの夕食だが、暖かい食事は何物にも代え難い。メニューはカニ雑炊と素麺だ。重 くなるのを覚悟でオイラは缶ビールを3本をザックに入れてきた。缶ビールは参加させてくれた2人へのささやかな感謝。ちなみにこ の小屋では350mlの缶ビールが千円だが、ここまで担ぎ上げることを考えると高くはないと思う。 19:15就寝 乾杯をし今日の行動を振り返る。まったくもって厳しいコースだったがよく登った、よく歩いた。結局この日ダイグラ尾根では誰にも会 わなかった。おそらくダイグラ尾根にいたのは我々のパーティーだけであったろう。隣の年配の方が話しかけてくるが、72歳で高 校山岳部のOB会4人パーティーで登っているそうだ。たいしたものだ。自分もあと22年後に飯豊に登れるだろうか?山小屋では、 他愛もない話がことのほか楽しい。これまた持参したウイスキーを飲んでいると、少量のアルコールでも酔いが回り眠くなってくる。 辺りの人たちも寝始めたので、我々も寝ることにする。 データ 行動時間 5:12~15:59 10時間47分 歩行距離 14.9km(GPS値) 累積標高差 +2,202m -624m(GPS値) その2に続く…
by torasan-819
| 2009-07-21 23:24
| 山
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Comments(6)
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utinopetika2 at 2009-07-22 22:04
w(*゚o゚*)w
たいへんお疲れ様でした。 登山口で検閲があるのですかぁ~さすが飯豊! 天気に恵まれなかったとはいえ、ものすごい達成感があることでしょう。 それにしても・・・飯豊登山の敷居が一層高くなったと感じています。
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torasan-819 at 2009-07-23 17:23
utinopetika2さん
飯豊山は心して登らなければならない山とは思いますが、人を拒む山ではないと思います。 信仰の山として古来より数え切れないほどの人に登られてきた山です。 utinopetika2さんもぜひ飯豊の深さを肌で感じてみてください。 喜多方では「成人儀礼」の山でもあったようです↓ http://www.kitakata-kanko.jp/iidesannomegumi/outline/outline.php
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ゆ~いち
at 2009-07-23 20:38
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pot
at 2009-07-24 01:34
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torasan-819 at 2009-07-24 06:11
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torasan-819 at 2009-07-24 06:14
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