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2009年 09月 21日
吾妻塩ノ川で沢登り ~ 2009年9月20日
20日は吾妻山域の塩ノ川で沢登り。
この沢は全部遡行すると2日間かかるが、この日は上半分を遡行する予定だ。
メンバーは既に何度か沢を共にしているIさん、Kさん、Sさんと悪友?のYさんとオイラの5人。
スピーディーに沢登りをするには5人くらいまでがいいという。
人数が多くなると、どうしても時間がかかりアクシデントの確率も高くなる。
沢に限らず山ではスピードが大事な要素になる場合が多い。

塩ノ川の遡行記録はあまり無く、事前にネットで調べたが4つしか見つけられなかった。
しかし今日のリーダーのIさんはなんと40年以上前、18歳の時にも登っているという。
どんな沢も遡行記録があろうとなかろうと、日本の沢のほとんどは人が踏み込んでいるのだろう。
古来より狩猟や山頂に至るルートの一つとして、山の民は生活の中で利用してきたに違いない。
沢登りをしていると、楽しくて沢を登っているだけのオイラでも、たまにはそんなことも考える。

昨日の内に遡行終了点の浄土平に車をデポしテント泊していた班と合流。
車を1台にして遡行開始点の近くまで、作業道のような細い道を進む。
行き止まりに車を停め、そこから歩いて16分ほどで塩ノ川に出た。
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6:31塩ノ川に降り立つ。
沢には巨岩が多く、これからの沢登りを想像させる。
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歩き始めてほどなく「くらげ滝」(15m)が現れるが、なぜにくらげ?と思ってしまう。
Iさんによると以前はまさにクラゲのようだったというが、徐々に様相が変化してきたらしい。 
この滝は直登は無理なので右岸から巻いた。
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くらげ滝のすぐ上にも12m滝があり、いったん下りて確認するが直登は難しそうなので、画像
だけ撮って登り直し巻くことにする。
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3m滝は手前のプールを泳ぎたいとオイラは思ったが、みんなは泳ぎたくないようで結局左岸
から巻いて越えた。
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滝ではなくてもへつりができないところは泳ぐか巻くしかない。
ただし泳ぎは体力を消耗するので、この日は泳がないで巻くことにした。
でも暑い日だったらやっぱり泳ぎたいね(笑)
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小滝が続くが手前に釜があり、青白い水はどのくらい深いかもわからない。
この7m滝はすぐ上にあった4m滝と一緒に右岸から巻いた。
画像の人物はルート偵察中のYさん。
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「あじろ滝」(10m)もすぐ上にあった4m滝と一緒に右岸を巻いた。
ここも泳いで滝に取り付くことができれば直登できそうだ。
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4m滝は手前の青いプールが美しい。
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微妙なへつりは手足をどこにどう置くか楽しい頭脳ゲームだ。
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滝に向かってオイラがへつっているところだが、こうやって見るとちょっと怖いね(笑)
いつもは撮ってばかりのオイラなので自分が写っている画像は珍しい。
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流れ落ちる水が見事な「銚子滝」(13m)には9:05に着いた。
ここは左岸から巻いて登る。
塩ノ川は巻きが多いがあまり大高巻きにならないので助かる。
しかし踏み跡はほとんど無いのですべて自分たちで判断して巻いていかなければならない。
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銚子滝の落ち口から下を覗いてみる。
よゐこはあまり近寄ってはいけません。
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滝の上流をしばらく歩くと沢が開けて明るい感じになってくる。
色づき始めた木々の葉の黄色に空の青のコントラストが眩しい。
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「やな滝」(6m)は左岸から巻いたが、滝の左端を直登したとの記録もある。
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その後も小滝が続く。
越え方も巻いたりへつったりと多彩な攻めができる。
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三条になって落ちる滝(3m)は、この日に直登できた数少ない滝の一つ。
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ゴーロ状になってきた沢をしばらく歩くと岩が白っぽくなってきて水が澄んできたことに気づく。
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左岸の斜面途中からから水が吹き出すように流れ落ちているところがあった。
白い岩に苔がびっしり生えていて美しい。
ここではイオウの臭いがしていた。
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澄んだ水に藻の緑がきれいだ。
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沢の流れは涸れ滝(10m)と緑の藻が繁茂する池で突然途絶えた。
この池はどこからともなく水が湧いているらしく、この池から流れる水で沢が始まっている。
ここまで来たものしか見ることのできない、なんとも不思議で美しい眺めだ。
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涸れ滝の左壁から直登するとこの滝が2段になっていた。
上の涸れ滝(6m)も左から直登したが、流れの無い透明な水のある小さな釜があった。
画像は登ってから見た下の池と上の涸れ滝の釜。
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涸れ沢を少し歩くと涸れ滝(20m)のある断崖に突き当たる。
おそらく雨が降って増水するときはここも滝になって流れ落ちるのであろう。
ここを見ると塩ノ川のゴロゴロした岩がもろい岩壁の崩壊したものであるのがわかる。
ここは右岸から巻いた。
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巻いて沢に下りると浸食跡が激しい涸れ沢だ。
ナメ床になっているので「雪代の床」ともいうようだ。
今は涸れ沢でも雪解けの頃や降雨時は流れ落ちるのだろう。
いつかそんな時期にも来てみたいものだ。
凸凹は激しいものの流れのない涸れ沢は足も速まる。
しかし、その足で歩いても15分以上もナメは続いた。
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二俣に12:11に着き小休憩を取る。
右俣へ進むと大きな涸れ滝(30m)が現れる。
水流があれば斜瀑かナメ滝とでも表現するところだろう。
直登するが上に行くにしたがって傾斜を増す岩に緊張しながら登った。
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涸れたゴルジュを越えれば浄土平まではあと少し。
チョックストーンがあったので、手前から吾妻小富士の南斜面でもある左岸のザレ場を登る。
でもこのチョックストーンは下をくぐることもできたようだ。
登山道に合流し高山、東吾妻山などを眺める。
休憩後登山道を下ると、前方には一切経山が見えた。
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登山道が沢を横切るところで再度沢に戻り、そのまま磐梯吾妻スカイラインに上がった。
早くも紅葉が始まった浄土平周辺にはハイカーの姿が多い。
車をデポしておいた兎平駐車場には13:46に着いた。
そこから車に乗り合わせ、朝の合流点までは約1時間だった。
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=まとめ=
塩ノ川は直登できる滝こそ少ないが登りがいのある沢だった。
変化に富んだ渓相は我々を飽きさせなかった。
今回は上部だけだったが、渓泊して2日間で完全遡行をするのもいいだろう。
快調に登れたのは快晴で水量も少なく条件が良かったことにある。
5人パーティーだったが比較的時間がかからなかったのは、ノーザイルで登れたことにもある。
しかし、岩肌が濡れていたりすればザイルは必要だっただろうし巻きも増えただろう。
上級者は積極的に泳げば直登できる滝も増えるが、その時は体力勝負になる。
技術や状況に応じて様々にルートは変化するが、それが沢登りの難しさであり面白さになる。


コースタイム
作業道終点6:15~塩ノ川入渓6:31~くらげ滝6:56~あじろ滝8:29~銚子滝9:05~やな滝9:37~三条の滝9:56~涸れ滝(10m)と藻池11:09~涸れ滝(20m)11:34~雪代の床11:57~二俣12:11~涸れ滝(30m)12:27~チョックストーン12:56~登山道合流13:13~磐梯吾妻スカイライン13:33~兎平駐車場13:46

by torasan-819 | 2009-09-21 15:26 | 沢登り | Comments(8)
Commented by kappazao at 2009-09-22 14:11
トラ山さん

恐れ入るほどの山行ですね。
オイラは、沢をくだったことがことがあります。
右顔面全面皮膚剥離。右上顎骨骨折。
でありました。
Commented by はなゴン at 2009-09-22 21:23 x
ご訪問&コメありがとうございました。
50才にして沢登り始められたとは素晴らしいです。
私の場合は50を前にしてそろそろ引退か?というテイタラク(泣)
でもやはり沢は魅力があります。
昨年仙台に転勤してきて、こちらの山や渓はあまり知らないので、参考にさせていただきに、また寄らせてもらいます。
Commented by torasan-819 at 2009-09-23 08:58
kappazaoさん
登りはよいよい下りはコワイで沢下りは危険ですよね。
その時はやむを得ず下ったのでしょうか?
痛そうな傷病名です…
実はオイラも以前山登りを始めていない頃、沢という意識も無しに沢を下ってしまったことがあります。
今考えてもあれは危険でしたし、何もなくてホントに良かったと思います。
Commented by torasan-819 at 2009-09-23 08:58
はなゴンさん
コメントありがとうございます。
実は沢を始めるにあたって歳は意識しませんでした。
ただやってみたいなという程度の気持ちでしたが…ハマりました。
山や沢に対しては年齢というよりも、その時点の自分の身体能力を的確に把握するのが大事なのかなと思っています。
ただあまり慎重になりすぎても面白くないので、ちょっとチャレンジの部分も欲しいですけどね。
50歳にして始めた利点は一つありますよ。
以前はこうできたとか、若い頃のように体が動かないとか思うことが無いことです(笑)
オイラは経験が少ないので、はなゴンさんから見て何か気が付きましたら是非ご指摘願います。
参考になるほどの山も沢もまだやってませんが、今後も情報交換していただけるとありがたいです。
Commented by utinopetika2 at 2009-09-25 21:33
美しい色の釜ですね。
初めて拝見しました。
行ってみたいけど、かなり厳しそうです。
かなりスリリングな沢登りですね。
Commented by torasan-819 at 2009-09-25 21:55
utinopetika2さん
塩ノ川の滝はほとんどが巻きなので、直登するよりも難しくないといえるかもしれません。
体力勝負ではありますが。
でも登りがいのある楽しい沢ですよ。
文章をオイラが書くと、なぜかスリリングな書き方になってしまいます(笑)
Commented by yossy1904 at 2009-09-27 23:56
>古来より狩猟や山頂に至るルートの一つとして、山の民は生活の中で利用してきたに違いない。

同感です。
沢を歩き始めたころ白神によく行きましたが、沢と沢を繋ぐマタギ道、ぜんまい道に驚かされました。
白神に指定ルートを定めたエライ人たちは、このような文化があるなど想像もできないのだろうと思う今日この頃なのです。
Commented by torasan-819 at 2009-09-29 12:41
yossy1904さん
白神ですか。
世界遺産になった今も沢登りは可能なんでしょうか?
yossyさんが言われるとおり、白神山地といえども山の民の生活の場であったわけなんですよね。
山や沢に入るとふとしたところに人の痕跡を感じたりします。


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