2010年 05月 20日
飯豊連峰 門内沢 ~ 2010年5月16日
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山  名     門内岳(1,887m)
山行期間   2010年5月16日(日)
山行形態   山スキー
山  域     飯豊連峰
地形図     長者原・飯豊山
天 候      晴れときどき曇り
参加者     2名(L:和○さん・トラ山)
行 程     梅花皮荘4:55~飯豊山荘5:26~温身平5:42~自転車デポ5:47~スキー開始点8:00~
          石転ビ沢出合8:48~門内岳12:31~門内小屋12:40-13:10~石転び沢出合13:48~
         スキー終了点14:05~自転車デポ15:43~梅花皮荘16:23
行動時間   11時間28分(自転車移動含む)
移動距離   歩き&スキー15.8km+自転車12.2km 計28.0km
累積標高差  歩き&スキー+1,951m-1,953m 自転車+487m-487m 
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5月16日は和○さんと飯豊の入り門内沢を滑った。飯豊は石転び沢が気になっていたのだが、すぐ北側の門内岳から入り門内沢を滑降している坂野さんなどの記録が目につき、どちらの沢も気になる存在ではあった。しかし地形図を見てもその斜面はいかにも急であり、自分にはまだ手の出ないエリアと思っていた。しかし和○さんから入り門内沢に行かないかとの話しがあった時に、なぜか私の口はすぐ「行きます」と言っていたのだった。

いろいろ調べると、入り門内沢はこの頃滑られるようになったのではなく、滑降の醍醐味を求める人達によって以前から滑られていたようだ。そこに雪の斜面があれば誰かは滑ろうと考え実行するのだ。山があれば誰かが登ろうと考えるのと同じ事だ。しかしネットの無い時代は地元のスキーヤー以外には知る人ぞ知るエリアだったのだろう。和○さんは以前に入り門内沢を目指したらしいが、条件が悪く途中でタイムアウトになり断念したという。その時の再挑戦が今回の山行なのだが、ベテランの和○さんの雪辱戦のパートナーに山スキー初シーズンの私がなってもいいのだろうかと思ったのも一瞬で、既に頭は急斜面に向かう自分をイメージしているのだった。





15日(土)は仕事だった和○さんの自宅まで行く。私の車で移動するので、和○さんのスキーと荷物、そして自転車を積んだ。午後8時前に福島市を出発。なぜ自転車かというと、この時期はまだ飯豊山荘までのゲートが開いていないことがほとんどだという。そのため梅花皮荘から温身平まで歩くことになるのだが、その区間を自転車で時間短縮しようというのだ。私の車に2台の自転車を積みザックやテントなどを入れると、ワゴン車といえどさすがに一杯になってしまった。福島市から飯豊は約120キロで割と近い。飯豊に行く場合は一般道なのだが、途中で買い物をしてもほぼ予定どおり10時過ぎには梅花皮荘に到着した。夜の間だけ6時間ほどなので、駐車場の隅を借りてテントを張らせてもらう。朝が早いのでビールを1本飲むとすぐ寝袋に潜り込んだ。朝は4時に起床。睡眠時間は十分とはいえないが問題はない。少しモヤがかかり空は薄曇りだが晴れるだろう。朝食は途中で取ることにして準備をしたのだが、なんだかんだで出発は4:55になってしまった。

2台の銀輪隊で颯爽?と出発。
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飯豊山荘までは単純標高差でも150m以上(実際は240m)の登りとなるので自転車も結構キツイ。歩くよりは時間短縮にはなるが体力的には結構消耗する。飯豊山荘を過ぎ林道のゲートに5:30到着。この先は湯沢を渡ると温身平まで砂利道となるが、さほどの登りではないので私の3段ギアの通勤快速号でも大丈夫だ。和○さんはマウンテンバイクなので軽快に走っていく。

湯沢の橋でゲートが閉じられている。登山届出所も閉鎖中だ。
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温身平の表示板のあるところから朝日を浴びて輝く烏帽子岳と梅花皮岳を眺める。さああの稜線まで登ろう。
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砂防堤の柵のところに自転車をデポする。ここから兼用靴での長い歩きが始まる。所々雪が残っている道を歩くと新緑が目に心地よい。大きな砂防堤まで来ると、石転ビ出合まで3.2キロとの表示板があった。砂防堤脇の階段を上ると本当の登山道が始まる。沢沿いに細かいアップダウンが続く登山道が続いている。兼用靴は足首がほとんど動かず、地面の感触も伝わらないので慎重に歩きたい。背中のザックに乗せたスキーを木に引っかけてバランスを崩さないよう注意が必要だ。

残雪で登山道も見失いがちだった。
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登山道が崩れていてやむなく迂回した箇所。しかし下山時に向こう側からは通過できた。
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歩いていると急な斜面で登山道が崩れている箇所があり、兼用靴の足下に不安を覚えた我々は迂回することにした。沢にいったん下りまた登ったので余計に体力を消耗することになった。この時期は登山道を雪渓が覆っている箇所も多く、ずっと沢沿いとはいえルートを見失わないよう注意したい。先行者のトレースが必ずしも正しいわけではない。腹が空いたので登山道の途中で休憩し朝食にする。

淡いピンク色のイワウチワが登山道脇に咲いていた。
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さらに歩いてやっと雪渓が沢を覆っている地点まで来た。温身平から2時間以上歩いたことになる。ここでスキーを履いていると、後ろから単独行の男性が追いついてきた。新潟から来たようで、これから石転び沢を滑るつもりだという。我々の5分後に梅花皮荘を出発し、ずっと歩いて来たという。何という健脚だ。我々が自転車で稼いだ時間も、彼の脚力の前では形なしであった。これから朝食を取るという男性を後にし、我々はいよいよスキーで歩き始める。

登山道に比べ沢の雪渓は平坦なので楽に歩ける。
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ズームすると門内小屋が見える。
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登り始めからしばらくは雪面に枝や土砂・小石もあるが、徐々に少なくなり歩きやすくなる。梅花皮滝のある滝沢への出合通過は8:12頃だった。石転び沢出合には8:48頃到着。

正面には北俣岳に繋がる尾根があり、左の石転ビ沢と右の門内沢を分けている。
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ここまでは緩やかな登りだったが、この先はどんどん勾配が増してくる。飯豊ではこの時期、計ったように午前10時頃になるとブロック雪崩が起きやすくなると和○さんが言う。そんなことを聞いたのでは心中穏やかでなくなる。沢の両側の斜面に目を配りながら、なるべく中央を歩くようにする。

こんな感じで雪崩れている。もちろん巻き込まれたらただではすまない。
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標高1000mあたりから真っ白な新雪に覆われてくる。積雪は10センチくらいだろうか。
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表層が雪崩れているところもあり要注意。
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新雪はそれまでの汚れた雪と違って美しいが、期待したザラメ雪を下にしてしまった。斜度が増してくると和○さんのペースがガクッと落ちた。どうも調子があまり良くないようだ。和○さんが私に一人で門内岳まで登ってくるかと聞くが、それもまた不安があるので一緒にゆっくり登ることにする。傾斜はいよいよ増してきてジグを切ってもシール登高の限界のような勾配が続く。スキーアイゼンも用意してきたが、今日のような柔らかい雪では用をなさない。

クライミングサポートも最大の高さにしているが、それでも足首が伸びきってしまうほどだ。
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これでクラストした斜面だったらとてもスキーでは登れないだろう。もちろんその場合も想定し、ツボ足で登れるようアイゼンとピッケルも持ってきたのだが、今のところ何とかスキーで登り続けている。湿った新雪だからこそ、サラサラのザラメ雪よりシールの効き目が良くなっているようだ。それでも時折スキーが後ろに滑ってしまい、ヒヤッとすることが何度かあった。

キツイ登りにあえいで一息入れながら振り返るとなかなかの高度感だ。
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見上げれば門内岳がぐっと近くなっているが、ここまで近くなると逆に門内小屋は見えない。少し勾配が緩んだところまで頑張って休憩にする。風が少し出てきたので岩陰に回る。下界は晴れているようでも、飯豊の稜線の上は雲が覆っていて青空は見えない。稜線近くでササが風に揺れているのが見える。

急斜面をもうひと登り頑張る。新雪が30センチ近く積もっている。
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真っ直ぐ上の方で草付きが露出し雪渓を左右に分けている。右へ登れば門内小屋へ、左へ登れば門内岳へと続くようだが、勾配が若干緩そうな左へと進路を取る。ここが最後の急登だろう。稜線に近づくと勾配も緩みササを踏み越えれば標柱と小さな社があり、ここが門内岳の山頂であることがわかる。ガスがかかり眺めが得られないのが残念だ。つかの間ガスが薄くなったときに、西にある二王子岳のあたりであろう峰々が見えたが、その視界もすぐにガスで奪われた。

門内岳山頂で一瞬だけガスが薄れた。
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門内岳のすぐ下にある門内小屋へと下る。
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小屋にはもちろん誰もいない。和○さんは足を投げ出して休憩だ。足の調子が今ひとつでかなりきつかったらしい。でも何とか目標どおり到達できてやれやれだ。しばしの休憩の後外に出るとガスが濃くなっていた。しばらく立ったままガスが薄くなるのを待つがあまり変化がない。しかし高度を下げればある程度視界は得られそうなので慎重に高度を下げることにする。

小屋直下の滑り出しはガスの中だ。
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斜面の斜度や状況がよく見えないので緊張する。小屋の前から左にトラバースするように移動したところ、ガスが薄くなったのはいいが斜度がかなり立っていることに気付く。私には重い新雪が30センチも積もった40度を越えるような斜面でターンしていけるほどの技術はない。エキスパートなら何の躊躇もなく滑り込んでいくのだろうが。

さてこの急斜面どうしたものか…
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仕方がないので斜滑降と横滑りである程度を下げる。あとは30数度ほどの斜面に覚悟を決めて飛び込むことにした。思い切って沢に滑り込むと何とか最初のターンができ、後は夢中でターンを繰り返し滑っていく。重い新雪では足の負担が大きいが、逆に滑落の心配が少ないのでなんとか滑ることが出来た。

和○さんが先行する。
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続いて自分も滑り込んでいく。
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あっという間に高度を下げる。
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斜度が少し落ち着き爽快な滑降が続くが、一気に滑ってしまうのはもったいないし足も疲れるので、所々でスキーを止める。和○さんが先行して滑っていくと沢のスケールの大きさがよく分かる。石転ビ沢の出合までの標高差1000mはあっという間だった。あれほど喘いで登った急登なのに何ともあっけないものだ。

出合から下はぐっと勾配も緩くなり、ツアー気分での滑降となる。
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徐々に雪に溝が走りウォッシュボードのようになり、木の枝や小石も多くなってくるので注意が必要だ。スキー滑降の終了点に着いたのは14:05だった。また長い登山道歩きが始まる。日差しが暑くて汗とともに体力も搾り取られるようだ。朝に沢に降りて迂回した箇所は、下りではそのまま通過することが出来た。この沢沿いの登山道歩きは細かなアップダウンが多くて思いのほか足にくる。

飯豊の春は来たばかりで新緑がまぶしい。
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飯豊のカタクリは大ぶりで力強い。
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デポしてあった自転車が見えたときは心底ホッとした。温身平から飯豊山荘、そして梅花皮荘へは下りがほとんどとなり自転車の利点が生かせる。飯豊山荘の先で今朝会った新潟からの単独行者が歩いていた。石転ビ沢をやって自転車も使わず我々より先行するのだから、かなりの健脚なのだろう。梅花皮荘には16:23に到着した。

梅花皮荘からの飯豊の眺め。
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今日は長かった。11時間近くの行動だったが、そのうち滑降したのは休みを含めても1時間弱しかない。このアプローチに要する長い時間と距離が、ノーマルルートに飽きたらず深山を求める山スキーヤーとテレマーカーを呼び寄せ、そうでないものを遠ざけることになっている。しかし苦労はしても、歩ききった者には満足感と充実感が与えられるのだ。さて梅花皮荘の温泉で汗を流してから帰るとしよう。

自転車2台の積載状況。
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今回感じた点。
※自転車は下りは楽だが登りでは結構体力を使う。今回は標高差が大きいのでなおさらだ。私の自転車は3段変速の通勤快速号。18段変速のマウンテンバイクが欲しい。
※兼用靴は長い歩きと自転車漕ぎには不向き。私は今まで出来なかった所に靴擦れが2箇所も出来て痛い思いをした。それに荒れた登山道の歩きではバランスを崩しやすく疲れやすい。次回はゴム長靴で歩くことを検討してみたい。
※状況によるがアイゼンとピッケルを持たずに軽量化するのも選択肢のひとつだと思う。少々重くても装備を充実させるか、装備を絞って軽量化しスピード山行とするかだ。

GPS記録(データは和○さん提供)
赤=登り 青=下り 緑=自転車(なぜかGPS記録が地図と一部ずれている)
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by torasan-819 | 2010-05-20 03:42 | 山スキー | Comments(6)
Commented by yossy1904 at 2010-05-22 21:12
スゲー、やりましたねー!
実はこの週、石転び沢を誘われてましたが、迷ったすえ月山へ。
同じ日、対照的な場所を滑ってたんですね。。
Commented by torasan-819 at 2010-05-22 22:58
yossy1904さん
石転び沢も考えてましたか。
この時期になると滑られるエリアも限られてくるので、皆さん考えることは同じですね。
Commented by utinopetika2 at 2010-05-23 22:08
緊張した空気が伝わってきます。
すんごい斜度ですね。
このような斜度でもスキーで登れるとは知りませんでした。
それにしてもタフであります。
Commented by torasan-819 at 2010-05-24 06:28
utinopetika2さん
ゾクゾクするような高度感ですよ。
石転び沢も同様の斜度です。
いやもう少しキツイのかな(笑)
Commented by おおさとくん at 2010-05-24 14:41 x
すごい!毎週毎週ビックな山行を達成されていることに感動しています。写真もバツグン、ラストにかたくりの花、なんてやさしい人なんですか、ワンダフルの一言です。
Commented by torasan-819 at 2010-05-24 21:48
おおさとくん
ビッグはおおげさでして、結構多くの皆さんがされていることです。
とはいえ毎週となるとなかなかオイラもしんどいです(笑)
花は詳しくはないけど好きなんです。
特に山に行って見る花はイイデスね。
これからですよ山の花が咲いてくるのは。
是非花を見に登ってみてください。


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