2010年 08月 27日
蔵王横川本流からナンバ沢を遡行 ~ 2010年8月22日
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山域山名   蔵王山・横川ナンバ沢
山行期間   2010年8月22日(日)
山行形態   沢登り
地形図    蔵王山
天候      晴れ
参加者    6名(L: Yoshikiさん・ナマステさん・加○さん・odamakiさん・河○さん・トラ山)
行程      刈田駐車場8:10=南蔵王林道=舟引橋9:30-9:42~一枚石沢出合10:26~横川堰11:00~
         滝(12m)11:30~二俣(入ナンバ沢出合)13:03~二俣14:19~刈田峠(登山道)15:11~
         刈田駐車場15:51=不忘山林道=船引橋17:30
行動時間   6時間09分
移動距離   約6.8km(図上計測) ※うち沢区間約4.7km
累積標高差 約+660m -60m(図上計測) ※うち沢区間約+570m -30m
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22日は白峰会のHさんの企画でナンバ沢の沢登りの計画があり、以前よりナンバ沢が気になっていた私としては、渡りに船とばかりに同行させてもらうことにした。Hさんのプランは、刈田駐車場のあたりから一枚石沢を下降し、横川堰、ナンバ沢を登って源頭を詰めるというもの。ナンバ沢は上流部で二俣になるが、どちらにするかは現地の状況次第とした。始めはナマステさんと河○さんと私の3人であったが、日曜日が近くなるとさらに3名が参加することになった。そのうちの1人Yoshikiさんは、沢登りも山スキーもクライミングも何でもこなすオールラウンダーで、沢登りでも数々の沢を遡行してきた方だ。Yoshikiさんは「TOUHOKU YAMASKI SAWANOBORI」というホームページを持っていて、私も以前から見させてもらっていたが、一緒に行動するのは今回が初めてなので楽しみである。




Yoshikiさんの提案で一枚石沢の下降はゴーロ歩きが長いので、車を回して下から横川→ナンバ沢と登ろうということになった。刈田駐車場に1台デポし、もう1台に6人が乗り込みエコーラインを山形側に下る。蔵王開拓集落から県道263号に抜けて東へ走ると、やがて道は未舗装の南蔵王林道へと繋がる。県境の舟引峠を越えて再び宮城側に入り少し下ると、やっと横川にかかる舟引橋に着いた。刈田駐車場からはなんと約43kmの迂回路となった。ちなみにこの林道、山形側は南蔵王林道だが宮城側は不忘山林道という。

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準備をして橋のたもとから横川に降りる(9:42)。水量が少ないなと感じる。しばらく雨が降っていないからだろうか。しばらくは緩やかなゴーロが続く。やがて最初の滝(4m)が現れた。手前に釜を持つもののナメ滝であり、水量も少ないので難なく越えることができる。ゴーロにところどころナメを交える沢床を歩いていく。今年は異常なほどの暑さで、今日も下界はむせ返るような残暑が続いているが、こと沢登りに関しては沢中にいる限り暑さ知らずである。

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入渓して30分ほどで小さなゴルジュ状になってくる。Yoshikiさんによると、ここのゴルジュが面白いとのことだったが、今日は水量が少ないのですんなり歩けてしまい少々拍子抜けする。水量が多ければへつりや泳ぎとなり、楽しい?ゴルジュ帯なのだろうと思う。ゴルジュ帯を抜け少しすると、左真横から一枚石沢が合わさる(10:26)。ここで小休憩とする。一枚石沢はと見ればなるほどゴーロのようであるが、水量も情けないほど少ない。地形図で横川はこの出合から上は二ツ石沢とされており、さらに上は入ナンバ沢とされているが、日本登山大系では大きく難場沢とされている。

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一枚石沢出合から上も緩やかな沢が続き、ゴーロとナメそしていくつかの小滝を越えていく。すると前方で、唐突に沢が行き止まりになっているようにも見えた。よく見ると沢は左からほぼ直角にナメ滝(15m)で落ちているのだ。水量があまりにも少ないので単なる斜面にしか見えなかったのだが、よくよく見るとなるほど滝である。水量が多ければ見事な斜瀑となろう。

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この滝を登ると横川堰だ(11:00)。ここを見て下流の水量の少なさが理解できた。沢の水の9割方は水路へと導かれていたのだ。この堰は宮城県側の沢から山形県側の農地へかんがい用水を送っている。県を越えてかんがい用水を送っている例は全国でもここだけだという。この沢中において人工物とはいささか興ざめの感もあるが、しっかり管理されている状況を見ると、今もって重要な役割がある用水路であることは確かなようだ。

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横川堰からもナメがあり平瀬が続くがやがてゴーロになる。右から支沢が落ちているが、苔の生え具合などを見ると湧水のようだ。飲んでみると冷たくて美味い。さらに15分ほど歩くとまた右から支沢が合わさり、その先に滝(12m)が見えてきた(11:30)。この滝の直登は難しいが、Yoshikiさんが左岸からトップで登りロープを出してくれたので楽に越えることができた。他の記録によると右岸から乾いた岩を斜上する人もいるようだが、かなり微妙なのではないだろうか。

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滝の先はナメがあり、右から支沢を合わせるとやがて淵があった。水深が深くて水が濃い青緑色となっていて、覗きこむと岩魚らしき魚影が走るのが見えた。淵と思ったのだが、2段(3m2m)の小滝へと繋がるところを見ると、小滝にはふさわしくない大きな釜ともいえそうだ。ここの左岸のへつりは微妙そうだし、右岸は泳いだとしても最初の一手が出ず滝には取り付けそうにない。しかしじっくり見ていると、左岸の細かいスタンスを拾えば何とかへつれそうに思えた。やってみると何とか滝まで寄れたので、後は樋状の滝を跨ぐようにして登ることができた。次の滝(4m)もあえて微妙な左岸を直登して遊び、後続を右岸からシュリンゲを出して引き上げる。全員滝の上に出たところで休憩とした。

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遡行を再開するとナメの後に二俣(13:03)が現れた。左俣は地形図では入ナンバ沢となっているが、左俣の方が刈田駐車場の近くに詰め上がれる。しかし今日は1:3で水量の多い右俣へと進み、源頭を刈田峠まで詰めることとした。右俣を少し登るとまた左から沢が合わさり変だなと思ったのだが、後から調べるとどうもこのあたりが「貫通丘陵」という地形らしい。3mの滝ではロープを出してゴボウで抜いたりしながら小滝をいくつか越えていく。支沢が左、右、左と交互に合わさる。次の左からの支沢へ試しに入ってみたが、やはりヤブこぎが長くなりそうなのですぐ本流へと戻る。地図とコンパス・高度計で現在地点を推測するのだが、それに加えYoshikiさんは周囲の地形や遠くに見えるピークやコルから的確に現在地を割り出している。また動物的勘というのだろうか、ヤブこぎで周囲が見通せなくてもドンピシャのルートを取るのだという。

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沢は源頭に近づくにつれいよいよ細くなってきた。右から3mの滝で合わさる二俣(14:19)となるが、右俣は前山のピークへ向かうようなので左俣へと進む。その次にまた現れた二俣(14:36)も左俣へと進む。沢に木が被さるようになり、いつしか腰をかがめ枝をかいくぐるようにしてヤブこぎをする。水流も無くなりあたりの見通しもきかないが、沢筋であろうと思えるところを時には四つんばいで這いながら、ひたすらヤブを漕いで高度を稼いでいく。勾配が緩くなってきたと思ったら、笹の上に頭が出て見通しがきくようになり左手に刈田岳が見えた。もう少しだとばかりに笹をかき分け漕いでいくと、ほどなく刈田峠の登山道に出た(15:11)。

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登山道をエコーラインに向けて下る。エコーラインを沢装備のままでぞろぞろ歩く我々は、道行くドライバーには奇異に見えたかもしれないが気にもならない。15:51に刈田駐車場着。デポしておいた車で船引橋へと向かう。朝とは逆の宮城県側不忘山林道から向かったが、船引橋(17:30)までは約47kmであった。一枚石沢の下降をカットできたので楽はできたが、その代わり時間とガソリンは消費する。ナンバ沢の遡行を考える諸兄は、この記録などを参考にしつつルートを選択されたい。また、この沢を登る人は希だと思うが、釣り人はある程度入っているようなので、時間帯によっては配慮が必要だろう。

ナンバ沢は取り立てて大きな滝もなく、比較的地味な沢という印象であったが、エコーラインなどで下界の喧噪と習俗が山頂まで持ち込まれた夏の蔵王にあって、それらとは隔絶された本来の蔵王を堪能できたのは何とも楽しいことであった。また、横川堰の歴史を当時の人々の思いも想像しながら考えてみると、また単なる沢登りを超えて味わい深いものが感じられる。次回はもっと水量の多いときに登ってみたいものだと思いながら、薄暗くなり始めた不忘山林道を下った。

                  ルート図
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by torasan-819 | 2010-08-27 01:47 | 沢登り | Comments(3)
Commented by yossy1904 at 2010-08-28 19:43
torasanさんのレポートは、いつも自分が登っているような臨場感があります。
今回も楽しく読ませていただきました。
ことし、岩トレ・沢トレに満足に参加できなかったので本チャンに出かける勇気がなかなか出てきません。
このまま沢に行かずにシーズンを終えそうです・・
Commented by torasan-819 at 2010-08-29 06:27
yossy1904さん
沢に行かないなんてもったいないです(笑)
9/5に企画がありますが行きませんか?
Commented at 2010-08-30 21:41
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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