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2010年 12月 31日
読書 「朝日・飯豊連峰の沢」
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沢登りは日本独特の登山形態だという。古来生活のため信仰のためなど様々な目的で未だ道の無い山稜を目指す時、人々にとって沢を詰めるというのは自然な成りゆきであったのだろう。そんな沢登りに私が魅せられたのは、一般登山ではなかなかうかがい知ることのできない山懐深く入り、源流域の素晴らしさに触れることができるからだ。何度も登ってよく知っているつもりの山であっても、沢から登ると新鮮な驚きと発見があり感動がある。この2年間でいろいろな沢に登ることができたが、さほど難しい沢には登っていない。もちろんどんな沢でも危険はあり侮ることはできないのだが、技術的体力的な難しさでいえばあまりそうではないということだ。私は齢50を過ぎてから沢登りを始めた。若ければどんどん難度の高い沢へと向かっていくこともできるのだろうが、もうそうはいかないのは私自身がよくわかっているつもりだ。それでもやはり登ってみたいと思う憧れの沢はある。その中に朝日と飯豊の沢がある。朝日連峰と飯豊連峰はともに豪雪地帯であり、その山肌は急峻な谷によって深く削られている。そのため厳しい険谷が多く、入渓するパーティーには総合力が要求される。そんな訳で私にとって朝日と飯豊の沢は実現困難な沢となっているのだ。それでも自分にも登れそうな沢はないかと思って求めたのが本書だ。17本の沢が掲載されているが、沢のエキスパートである著者の豊野則夫氏をもってしても一筋縄ではいかない沢が多かったようだ。それでも何本か私にも挑戦できるのではないかと思える沢はある。行きたいという気持ちと怖いという気持ちが胸の中にないまぜにある。そうなのだ沢は自然の中に剥き出しで無防備な自分をさらすことなのだ。だから怖いとも恐ろしいとも思う。しかし目を閉じると沢を登る自分がいる。渓流を歩き滝を攀じると沢は刻々と表情を変える。私はますます沢の深みにはまっていくのである。

by torasan-819 | 2010-12-31 10:08 | | Comments(0)


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