2011年 08月 22日
====================================================================== 山域山名 北アルプス 神通川水系 金木戸川 小倉谷 山行期間 2011年8月13(土)~17日(水) 山行形態 沢登り 地形図 笠ヶ岳、三俣蓮華岳、下之本、長倉 天候 14日晴れ 参加者 4名(L:博○さん・裕○さん・samさん・トラ山) 行程 13日 白石18:30=磐梯熱海IC19:30=富山IC23:30=新穂高温泉24:30 14日 新穂高温泉6:00=第1ゲート6:40-6:45~第2ゲート8:00~取水施設9:50~小倉谷出合10:00-10:20~ 4m滝10:50~10mトイ状滝11:13~2段7m滝12:28~15m滝13:00~広河原13:06~15m淵14:40~ 6m滝15:30~10m斜瀑16:20~幕営地16:30 行動時間 14日 9時間45分 移動距離 未計測 累積標高差 未計測 ====================================================================== 博○さんから小倉谷と聞いたとき全然ピンとこなかった。日本に沢は無数にある、いったいどこの沢だと思ったら、北アルプスの沢で4日間かける計画だという。えっそんな沢に自分が入れるのかと心配になった。なにしろ1泊の沢でさえ2回しかやったことが無く、2泊以上は未知の世界なのだ。しかも沢のグレードは3級上だというし。しかし、沢登りをやり始めて3シーズン目の自分としては、このレベルの沢をいつかやってみたいとは思っていた。そんなわけで思い切ってパーティーに入れてもらうことにした。 地図で場所を探してみると、北アルプス主稜線の西に位置する笠ヶ岳を源とする沢で、忠実に詰め上げれば笠ヶ岳の山頂に到達する。入渓点となる出合からの高度差は、実に1,700mにもなり、当然のことながら沢泊りを前提としての遡行となる。今回の計画は沢2泊と笠ヶ岳山荘1泊となっているが、ネットで記録を探すと沢1泊+山荘1泊や沢2泊という記録もあり、なかには沢1泊だけという猛者もいるようだ。我々は沢2泊に山荘1泊というゆったりプラン。はてさてどんな沢旅になるのか、期待と少々の不安を胸にその日を迎えた。 =13日= お盆とはいえ仕事だったので出発は18:30になってしまった。磐梯熱海ICで高速を降り博○さん、裕○さんと合流し、私の車で高速をひた走る。新穂高温泉には24:30頃到着。しばらく前に到着していたsamさんが寝て待っていた。外で軽く入山祝をやっていると、午前2時前だというのにヘッデンを点けた登山者がスタートしていく。彼の目的地はどこなのか。 =14日= 車の中で3時間弱寝て午前5時に起きると、辺りは登山者やバスが到着していて賑やかになっていた。私の車とsamさんのバイクを無料駐車場の方にデポし、samさんの車で金木戸川林道へ向かう。 第1ゲート 第2ゲート 素堀のトンネル 眼下に見える金木戸川 国道471号から双六川沿いの道に入り、5キロ以上進んで民家が無くなると金木戸川林道になる。沢登りなのか釣りなのか既に7・8台の車が止まっている。残念ながら第1ゲートは閉まっていた。通常ここから先は鍵を持っている関係者しか入れないのだが、開いているときがあるのだという。その場合は第2ゲートまで入れるらしいが、今日はここから入渓点まで延々約13キロも歩かねばならない。右下に金木戸川を見ながらテクテク歩いていく。のんびり歩いたので第2ゲートには1時間14分もかかってしまった。ところでこの林道には素掘りのトンネルが何箇所もあり、山懐深く入っていくこと感じさせる。後から地元ナンバーの軽トラが走ってきて我々を追い越したと思うと止まった。乗せてくれるという。いやはやこれは有り難かった。結局かなり上の方まで乗せてもらうことができた。金木戸川の岩は白くて水が青く輝き美しい。その支流である小倉沢はどんな沢だろうと期待がふくらむ。 取水施設 小倉谷出合 泳いで渡渉する 水力発電所の取水施設には9:50到着。第1ゲートよりここまで約3時間だったが、軽トラに助けてもらえなければ4時間はたっぷりかかっただろう。ちなみにこの取水施設から上部はすべて禁漁区となっていて、目立つ看板がそれを知らせている。右岸の踏み跡を少したどると金木戸川に降りるので、そのまま河原を進むとすぐ小倉谷の出合だ。ヘルメット・ハーネスなど沢装備を装着する。対岸の小倉谷へは金木戸川を渡渉しなければならない。今日の水量はおそらく普通程度だろうが、歩いて渡るのは無理な水深。泳ぐしかないが増水すればそれも不可能になる。今回の計画でもここが渡れない場合は潔く撤退としている。 いよいよ小倉谷の遡行開始だ。陽の光を受けきらきら輝くエメラルドグリーンの水は美しいが、ここを泳いで渡るとなると気も引き締まる。博○さんがトップで水に入っていく。私は平泳ぎを始めたが、浮かんだザックが後頭部を押すので息継ぎしづらい。横泳ぎに切り替えたところ問題なく泳げた。この経験からこれ以降ザックを背負っているときは、横泳ぎを使うこととなった。各々のスタイルで全員無事に渡渉完了。 小倉谷に入渓 さすがに北アの沢はスケールが大きい 沢には大岩が多い。自分がこれまでやってきた沢より明らかに大きく、スケール感が違うことに最初はとまどう。自分にとってこの規模の沢を登るのはほとんど初めてなのだ。なるべく遡行記録を付けようと思っていたのだが、すぐそんな余裕はないことに気付く。とにかくsamさんの遡行スピードが速い。先行してすぐ見えなくなってしまい、大岩の上に座って我々を眺めながら待っている。博○さんと裕○さんはマイペースだが、こちらも同じように歩くと記録をしている余裕はなくなってしまう。ビールに清酒に焼酎と安物の嵩張るシュラフなど、詰め込みすぎたザックは18キロにもなり、沢登りにあるまじき重さとなって肩に食い込む。皆についていくのが精一杯となってしまった。そんなわけで、この記録で表記する滝の高さなどは、遡行図など詳細な記録の載っている豊野則夫著「北アルプスの沢」(以下、「北アの沢」とする)に準ずることにする。 最初の4m滝 レールだろう 10mトイ状滝 最初から懸垂下降 最初の4m斜滝は右から越えた。泳いで取り付けそうだがそこまですることもない。歩いていくと沢中にレールとおぼしき物体を発見。森林軌道でも昔あった名残なのだろうか。10mトイ状滝が見えてきた。手前の3m滝を左から越え、続いて10mトイ状滝を右から巻きにかかる。先行するsamさんを追っていくと、なんと既に沢床へ懸垂下降で降りているではないか。高さは4mほどだが初っぱなから懸垂下降になるとは思わなかった。しかし降りてみるとすぐ先の斜面を普通に降れるようになっている。この懸垂下降はちょっと勇み足ということか。小倉沢下流部は両岸が迫っているところが多く、樹木も被さり陰影のある沢で、白い岩肌と緑の渓流の対比の美しい渓相だ。あえて水に浸かりクールダウンしながら小滝を思うままに越えていく。 2m滝と釜 2段7m滝 4m滝でのショルダー 5m滝も左の大岩をショルダーで超える 2段7m滝が現れるが、右岸をそのまま歩けば容易に越えられる。直ぐ4m滝となるが両側は大岩で簡単に登れそうにない。右が可能性がありそうだと見ていると、samさんがこっちを向いて「ショルダー!」と言う。は?俺?と思ったが意味が飲み込めた。今日のパーティーでは一番ガタイが良い(体重が重い)俺に下になれということなのだ。samさんを肩に乗せて立ち上がるとsamさんは岩の上に容易に上がることが出来た。後続はお助けテープの世話になる。博○さんはせっかく持ってきたキャメロットとアブミを、ここで使いたかったとぼやく。samさんによると3段ショルダーまでやったことがあるという。つまり3人で組んだショルダーをもう1人が登るのだから、5m程度までは届くということだろう。次に廊下状のゴルジュの先にある5m滝も左からショルダーだ。もはやショルダーの台は当たり前のように俺の役。肩では足りずに頭の上に乗ってsamさんは這い上がった。しかし振り返ってみると右岸を巻けたんじゃないのこれ(笑) 15m滝 広河原 15m淵と3m滝 ロープで後続を引く 両岸の狭まる間に右から轟々と落ちる15m滝が見える。もちろん直登など出来ないので手前右から巻く。降り立った沢は開けた河原となっていた。北アの沢で広河原と記されているところだろう。その後はしばらく小滝やナメが続き、お遊びで泳いだりしながら遡行を続ける。ゴルジュ帯の入口に着いたときは既に午後2時半を過ぎていた。奥にかかる3m滝の手前には廊下状に淵が15mほどある。泳ぎが好きな自分が空身でロープを引いて滝手前の左壁に取り付く。水中にスタンスを見つけ5mほどの壁を登る。ザックと後続をロープで引いて左壁に上げる。しかし水を吸って20キロはあるだろう自分のザックの重いこと。その後は微妙なトラバースをして滝の落ち口に乗ったが、このトラバース部分は左から小さく高巻くことも出来たようだ。そろそろ幕営地も探さなければならないが、この辺りにはなかなか適地が無さそうだ。 右岸から落ちる30m滝 虹が架かる 6m滝 10m斜瀑 右岸から30mの滝となって支沢が落ちている。本流に落ちるところでは水しぶきで虹を架けている。なんとも美しく見事だ。この滝の直ぐ先に淵があり、左へ直角に近く曲がる沢が6m滝となって落ちている。空身のsamさんが右岸をへつり滝の水流左を直登する。続いて博○さんも登り後続をフォローする。裕○さんがへつり中に淵へ落ちたり、重いザックのつり上げにちょっと手こずる。そうしてると今度はロープが水中の流木か何かの隙間に挟まったようで、どう引いても外れなくなった。水中の潜って外すのも無理なので、やむを得ずsamさんのロープを5mほどナイフで切断するしかなかった。ハプニングがあり時間もかかったが、全員滝の上に上がることが出来た。次の3m滝を左から巻き10m斜瀑の水流左を直登すると、午後4時半も近くなっていた。 幕営地 焚き火を眺めながら 博○さんが決めた幕営地は、おそらく北アの沢でも幕営可能地と記されている場所だろう。増水すれば逃げるしかない場所だが、沢の中では贅沢も言ってられない。雨は降りそうもないので大丈夫だろう。裕○さんと整地をしてタープを張ると快適な寝場所になった。焚き火を起こして渓流で冷やしたビールで乾杯する。皆さんどこに入れてたのというくらい、酒やつまみが出てくる出てくる。心地よい時間を過ごした後シュラフに潜り込むと、渓流の音を聞きながら8時頃には眠ってしまった。 中編に続く
by torasan-819
| 2011-08-22 23:03
| 沢登り
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Comments(6)
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lc4adv at 2011-08-24 19:55
画像を拝見すると、沢水の色と言うか透明度が東北の沢とは違うような感じですね。
それにしても北アルプスの山容同様、沢も岩も大きくダイナミックですね。
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utinopetika2 at 2011-08-25 13:39
長いアプローチに水泳と、入渓するだけで疲れてきそう。
スケールのデカイ沢、ヒトがとても小さく見えますね。 今度、ご一緒させてください・・・なんて絶対に言えない沢です。 確かな技量があるからこそ、成し遂げられたのでしょう。
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torasan-819 at 2011-08-26 01:48
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torasan-819 at 2011-08-26 01:52
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torasan-819 at 2011-08-26 01:55
utinopetika2さん
おっしゃるとおり、これでアプローチが楽ならもっと入渓するパーティーがいるはずなのですが。 入渓するまでが3時間以上の歩きですからね。 今回の山行でも他のパーティーには全然会いませんでした。 ところで私も連れて行ってもらったようなものなんですよ♪ |
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