2012年 06月 29日
蔵王の岩峰ロバの耳を歩く ~ 2012年6月26日
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山域山名   蔵王連峰 熊野岳(1,840.5m)
山行期間   2012年6月26日(火)
山行形態   無雪期一般登山
天候      快晴
参加者    単独
行程      賽ノ磧駐車場6:54~濁川7:32~かもしか温泉跡7:47~ロバの耳岩9:05~熊野岳9:41~追分10:24~
         かもしか温泉跡11:13~濁川11:35~賽ノ磧駐車場12:05
行動時間   5時間11分
移動距離   約11.7km
累積標高差 約±1,100m
装備      日帰り軽装
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26日も午後から仕事なので、蔵王へと向かうことにした。ウド採りも含めると、蔵王にはこの1週間で4回目となる。午後から仕事、午前中だけ仕事ということが度々あり、そうなると近場で半日山行可能な蔵王が活動フィールドとなる。蔵王といえばスキー場に樹氷、そしてなんといっても「お釜」がイメージになっている。観光開発により地元が潤ってきた経緯もありそれはそれでいいのだが、そのイメージが強いため蔵王というものが一面的にとらえられ、その深い魅力を知ろうとされていないような気がする。今日はロバの耳ルートを歩く。昨年は熊野岳からロバの耳岩を往復し、ロバの耳ルートの上半分を歩いたが、今回は下から通して歩くのが目的だ。このルートの起点はかもしか温泉跡で、熊野岳東尾根を登りロバの耳岩を越え北蔵王縦走路に交わるまでだ。しかし、しばらく前に登山道としては通行禁止にされていて、注意看板には「落石のため危険につき」とある。現状はというと、かもしか温泉跡から丸山沢を越えてからの踏み跡が不明瞭になっていて、どこが登山道なのか今ひとつはっきりしないようだ。しかし、それも尾根に取り付くまでの200mほどのことなのだ。以前はよく登られていたということもあり、現在も知る人ぞ知るコースとしてそこそこ歩く人がいる。以前の地形図にはロバの耳コースが表示されていたが、ついに最新の地形図からは削除されてしまった。そんなロバの耳コースに踏み込むとすれば、これはやはり「自己責任」ということになるのだ。



                         ひよどり越えを濁川へと下る
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                         ヤマオダマキ
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                         濁川を渡渉する
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エコーラインの賽ノ磧の駐車場から歩き始める。今日も足下は長靴だ。道の脇の花が気になり、ちょくちょくカメラを向けているので結構時間がかかる。ひよどり越えを下っていくと、濁川の手前ではヤマオダマキが咲いている。色々な花が気になり、濁川までの間に30枚近く撮ってしまった。登山道は濁川を対岸に渡るのだが、架けられていた簡易な木橋は壊れている。毎年壊れては直されているのだが、今年はまだそのままだ。こんなとき沢の渡渉に長靴が役に立つ。左岸を登りまた下ると丸山沢を渡る。ここにはしっかりとした橋が架けられている。
                         
                         分岐の標柱
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                         中央右よりが噴気地帯でその右が丸山沢の雪渓
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                         踏み跡は不明瞭になる
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                         左手の尾根筋へトラバース
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ほどなく登山道は右から峩々温泉からの道を合わせ、その先で標柱があり分岐になる。このまま進めば追分コースで名号峰、熊野岳へ至り、左へ折れるとロバの耳コースとなる。左に入るとすぐ石積みがあるが、これはかもしか温泉の建物があった名残だ。再び丸山沢を渡り踏み跡を追って登ると、右手は地形図で新噴気口と表示されている噴気地帯になる。ここまで来ると、もはや踏み跡は不明瞭になりわからなくなる。

ところで蔵王は活火山である。17世紀から19世紀にかけてはかなり活発に噴火を繰り返していた記録があり、その後も活動を続け、近年では昭和15年に小噴火が発生している。大きな噴気も度々発生しており、仙台管区気象台が火山活動を常時監視している。過去マグニチュード9クラスの地震があった後は、例外なく火山の噴火があったという。それがどの火山でいつになるのかはわからないのだという。噴火は必ず予兆があるというので、常時監視体制があることは心強いと思う。

                         尾根の急登にはトラロープ
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                         ペンキマークが出てくる
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さて、丸山沢の右俣と左俣の合流点付近の右岸斜面となるこの噴気地帯は、蔵王の中でもっとも噴気活動が活発な地域であり、あちこちから噴気音とともに蒸気とガスが噴出し、黄白色の硫黄昇華物が付着している。ここでは野湯を楽しむことも出来るが、ガスと落石には気を付けなければならない。上部は急峻な岩壁になるので左にトラバースしながら、左手の尾根に寄っていくと踏み跡らしきものがある。急登で滑りやすいが誰かが張ったトラロープがあり、登る人がそれなりにいるような感じだ。ただしロープはあくまでも補助とすべきであり、体重を預けるような使い方は避けた方が無難だ。岩には○や→のペンキマークもあり、それらを追えばルートを誤ることは無いだろう。ちょっとしたクライミング気分で登り上げると、肩にはロバの耳コースの倒れた標柱がありひと息つく。

                         倒れていた標柱
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                         岩の尖塔の間から噴気地帯を見下ろす
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                         ロバの耳岩が近づく
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                         コマクサの可憐な花
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                         左手下は振子沢の源頭部
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                         間もなくピークの岩場を登る
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                         ピークより東を望む
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前方にはロバの耳岩のピラミダルな姿が見え、新鮮な景観が広がる。また新たな蔵王の魅力にふれた気分だ。ここは噴気地帯の西側崖の上部になり、近寄って腹這いになり下を覗き込むと眼下に野湯が見えた。ただしあまり安易には近づかない方がいいだろう。この後は丸山沢の右岸となる尾根をたどっていくが、ロープやペンキマークに赤テープもあり、ルートを間違うことはないだろう。ハイマツのあるところではツマトリソウが最盛期でイワカガミも多い。砂礫のところではコマクサの花が咲き始めていた。ロバの耳岩は火成岩のピークで、今もって植生が見られない岩塔である。ピークへは岩登りそのものになるが、岩の表面はしっかりしていて凹凸が多いので、不安無く登ることが出来るだろう。

                         ロバの耳岩ピークを振り返り見る
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                         丸山沢源頭部
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                         五色岳とその東斜面
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                         お釜
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                         熊野岳避難小屋
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ロバの耳岩のピークで360度のパノラマを楽しむ。ここから見る蔵王の景観は新鮮で、登ってきた者でしか味わえない眺めである。ここからいったん小コルに下るが、この辺りにもコマクサは多い。見頃は7月上中旬だろうか。右に丸山沢の雪渓、左に五色岳を見ながら熊野岳へと登る。山スキーで五色岳東面を滑るとすればラインは?などど考えながらの急登も楽しい。浮き石が多いので落石を起こさないよう、落石にあわないように注意しよう。やがてお釜の湖面が見えてくると、登山道の十字交差も近い。熊野岳避難小屋では休憩したりカメラを構える人たち、そして道には登山者が何人も行き交っていてにわかに賑やかになってくる。今日はここまで誰にも会わなかったのだ。朝日や飯豊を眺めに熊野岳山頂まで行くが、薄雲で霞みよく見えない。

                         雁戸山へと北蔵王縦走路が続く
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                         追分の標柱
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                         追分コース途中から見えたロバの耳岩
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                         沢沿いにまだ咲いていたサンカヨウ
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                         噴気地帯から岩壁への取り付きライン(下部は不明確)
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分岐に戻って左に折れ、北蔵王縦走路を自然園の方へ歩く。庭園のような自然園を過ぎるとほどなく、追分の十字交差になる。細い山道を右に折れると、追分コースをかもしか温泉跡までひたすら下るのみ。このコースも登山者は多くないようだが、途中で登ってくる単独男性とスライドする。かもしか温泉跡まで下れば、後は今朝来た道を逆にたどって戻るだけだ。午後から仕事ということもあり、休みらしい休みも取らず歩いたが、普通に今日のコ-スを歩くならば、7時間はかけて楽しみたいところだ。また、熊野岳から馬の背、刈田岳を経て大黒天に下る方が時間は短くてすむだろう。裏技として刈田岳に自転車をデポしておけば、さらにスピーディーに下山が可能だ(マロ7さん実行)。

冒頭にも書いたが、ロバの耳コースは通行禁止とされている。しかし現実に歩いている人もいる。もちろんロバの耳コースをことさら推奨するわけではない。整備された登山道と違い、誰しもが歩けるコースというわけでもない。しかし、危険なコースというほどでもない。そもそも登山道で絶対安全な道などないのだ。要は歩こうと思った人が自分で判断し、自己責任で歩くということだ。ただ思うのは、この素晴らしいコースを埋もれさすのは、あまりにももったいないということだ。

                         ルート図
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by torasan-819 | 2012-06-29 10:55 | | Comments(13)
Commented by 加ト幹事長 at 2012-06-30 06:57 x
相変わらずのご活躍で蔵王を荒らし・・じゃない、歩きまくってますね(爆)こちらも相変わらずコメントのしようがありませんなぁ。
もう七月ですかぁ・・夏休みになったら(あんの?)どっか尾根歩きでも行きましょう。。アッシー君が迎えに来てくれないと山へ行けない、そして遊ぶ金欲しさにバイトもしないとダメな俺ですが・・(涙)
Commented by 海谷 at 2012-06-30 15:21 x
素敵なコースですね!!
「お釜」周辺は現在の地図に載っているコース以外歩いたことがないので、是非行ってみたいと思います。
Commented by sharizaka at 2012-06-30 19:17 x
ロバの耳コース制覇ですね。
昨秋、噴気孔からロバの耳へ行こうとしたのですが、方向が良くわからず、今になってみれば丸山沢をちょっとだけよじ登って降りました。左だったんですね。道らしき踏み跡もなく、一人だったので諦めました。またチャレンジしたくなりました。
Commented by torasan-819 at 2012-06-30 20:58
加ト幹事長さん
耐えて忍んで山に行ける日をじっと待つのじゃ(。。)(゜゜)ウンウン
アッシー君は任せといてくだされい。
沢にもいきませう。
Commented by torasan-819 at 2012-06-30 21:01
海谷さん
お釜の外縁の五色岳を回るコースも良いですよ。
観光客がかっ歩する刈田岳周辺とはまったく違った蔵王本来の姿を見ることが出来ます。
Commented by maro4070 at 2012-06-30 21:16
個人的な意見ですが…。
ロバの耳コースはこのままでいいと思いました。
何年か前に行った時に、宮城県にこのような素晴らしいコースがあるのだから整備してと思いました。
でも、今の状態なら、コースは荒れもせずこのままで良いかなと。
ただし、ここは自己責任ですから皆さんよろしくお願いいたします。
Commented by torasan-819 at 2012-07-01 01:28
sharizakaさん
それは残念でした。あの噴気地帯はもはや道はありませんから、当てずっぽうで正解のルートを探すことは困難ですね。
今度は取り付きがわかったので大丈夫ですよ。
ロバの耳コースは歩いてみる価値のある面白いルートです。
Commented by torasan-819 at 2012-07-01 02:28
maro4070さん
お気持ちわかりますよ。
知る人ぞ知るでいいのかもしれません。
でも正式に再開しようという動きもあるようですよ。
現状ではmaro4070さんも書いたように、ワタクシも本文に書いたとおり「自己責任」ですが。
Commented by 加ト幹事長 at 2012-07-01 12:46 x
久しぶりに昨日行ってきましたが、むしろ温泉マニアの皆さまの方が入山者としては多いのではないでしょうか?硫黄結晶エリア付近に白ペンキが湯船方向を指しているのが見えましたので・・・まぁ、壁に突き当たったら左へトラバースすればトラロープも見えますからね。そこだけクリアすればですよね。
でもねぇ蔵王登山の素晴らしさはここ抜きに考えられませんから、整備するってんじゃなく、どんどん人が入って欲しいと願ってます。
それとひよどり越えの道の石が結構ひっくり返ってました。クマが蟻の巣を探してたのでしょうか・・その先にはちょっぴり糞もありました。クマって器用!
Commented by torasan-819 at 2012-07-01 15:08
加ト幹事長さん
昨日ですか!こっちは小阿寺沢で沢登りしてたんですよ。
たしかに噴気地帯に入り込むのは野湯目的が多いでしょうね。
でもそこからロバの耳岩に登るのは、かつてロバの耳コースを歩いた人が多いのではないかな?
整備ですがワタクシも「整備」とは書いてないし思ってもいないんです。
誰しもが安全に歩けるように整備するなんて無理なことですし、もしやるとすれば手すり付きの階段にでもしなければなりませんからね。
そうなったらもはや登山道ではないですから。
要するに「落石注意」でも「上級者コース」でも看板に書いて、あとは自己責任でどうぞが良いのではないかと思うんです。
自分が歩けないのは登山道を整備していない方が悪いなんていう、勘違いな人が入り込むのを牽制すればいいのかなと思うんです。
そういう意味では加ト幹事長さんも同じような考えなのかな。
ひよどり越えの石は気がつかなかったですね。
ワタクシが歩いた後にクマがそうしたのか(;゜〇゜)
Commented by Toby at 2012-07-02 12:56 x
おぉ!平日のロバ耳ってこれだったんだぁ。
写真だけ見るとけっこうハードなコースですね。
それだけに満足度も高そうだなぁ。いつかアタックしてみます。
敗退したらトラさん連れてってください<(_ _)>
Commented by torasan-819 at 2012-07-02 20:02
Tobyさん
お二人なら問題ないと思います。
野湯も楽しんでもらいたいけど、これは好きずきですし更衣所もなにもありませんし(笑)
穏やかなルートの多い蔵王の登山コースの中では、ちょっと異色のコースです。
加ト幹事長さんもコメントしているように、蔵王の魅力を味わうには必要なコースかなと思いますがどうでしょうか。
Commented at 2014-08-20 20:59 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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