2012年 07月 13日
苔とナメの石筵川 ~ 2012年7月9日
f0170180_13108.jpg

======================================================================
山域山名   安達太良山・石筵川
山行期間   2012年7月9日(月)
山行形態   沢登り
天候      晴れ時々曇り
参加者    2名(L:トラ山・あんみつさん)
行程      駐車場6:35~銚子ヶ滝入口6:50~銚子ヶ滝降口(滝往復)7:11-7:25~入渓点7:29-7:39~15m2段滝8:46~
         7m滝9:23~12m3段滝9:41~8m滝10:04~二俣11:22-11:38~奥の二俣11:41~ヤブ12:08~
         登山道12:35-12:51~和尚山分岐(三角点往復)13:59-14:12~渡渉15:18~銚子ヶ滝入口16:00~駐車場16:13
行動時間   9時間38分
移動距離   16.4km(GPS計測)
累積標高差 ±1,188m(GPS計測)
装備      日帰り沢装備(ロープ30m×1)
======================================================================
石筵川(いしむしろがわ)は安達太良山とその西にある船明神山を源とする沢で、渓相が美しいことから沢登りの対象とされている。「日本の渓谷'96」にも紹介されており、山岳雑誌に取り上げられることもあることからか、それなりに遡行者がいて記録も豊富な沢だ。今日のパートナーはあんみつさん。彼女の沢登り経験はそれほど多くはないが、身体能力が高く何でもこなす彼女のことだ、初級の沢とされている石筵川はなんの問題もないだろう。とはいえ自分も石筵川は初めてであり、昨日の沢登り教室は水量が多くて中途退却しているくらいなので、1日経過したとはいえ少々心配ではある。いずれにしても実際に行って見なければわからないと、車中泊の道の駅つちゆを後にして石筵川へと車を走らせた。





                         見えにくい道路脇の銚子ヶ滝入口案内板
f0170180_1101556.jpg


                         上にある銚子ヶ滝入口と東屋
f0170180_0314049.jpg

                 
石筵川に入るには、まず銚子ヶ滝を目指すことになる。R115から母成グリーンラインに向かう道に入り、約10kmほど走ると、銚子ヶ滝入り口の案内板がある。しかし、道路脇の林の中に少し入って設置してあるので、この時期はなんとも見つけにくい。自分も通り過ぎてしまい戻りながら見つけた。案内板の道路向かいになるカーブの内側には、10数台は駐められそうな駐車場がある。支度をして案内板から斜面を登り始めると、すぐ舗装道路に出る。この道は車で走れるのだが、まだ朝早いので入り口となる石筵ふれあい牧場のゲートが開いておらず入ってくることが出来ない。しばし舗装路を歩くと右側に、また銚子ヶ滝入り口の案内板と東屋があり、数台分の駐車スペースもある。歩き始めてここまで15分だからたいした距離ではない。案内板に従い銚子ヶ滝への道に入る。

                         銚子ヶ滝(48m)
f0170180_0341451.jpg


                         しばらくはゴーロ歩きが続く
f0170180_0353755.jpg


                         あるものは何でも利用する
f0170180_0404795.jpg


                         大岩の間を歩く
f0170180_042910.jpg


                         あんみつさんは安心して見ていられる
f0170180_044123.jpg


林の中を歩き安達太良山への登山道分岐を過ぎると、銚子ヶ滝の降り口がある。石筵川に入渓するのは銚子ヶ滝の上流からなのだが、せっかくなので見に降りることにする。酒を入れる銚子に形が似ていることから、その名前が付いたという滝を見てなるほどと納得。48mの高さがあるという。登り返して登山道に戻り沢へと下りていく。和尚山への登山道は石筵川を渡渉し対岸へと向かうが、その少し手前から入渓することにした。ハーネスを付けヘルメットを被ると、気持ちは沢登りモードに切り替わる。遡行を開始してしばらくは緩やかな流れでゴーロの沢歩きが続く。水はきれいであまり大雨の影響は感じられないが、沢の規模からするとやはり水量は少し多めのように感じる。自分は少し水が冷たいと思ったが、あんみつさんは感じないという。こちらは素足に沢足袋で、あちらはネオプレンソックスに沢シューズだから当たり前ともいえる。そのうち大岩が増えてきて数mの小滝も現れる。つるんとした大岩が多く、2m程度の小滝といえど簡単に登れないものもある。わざと難しそうなラインを登ったりして、楽しみながら遡行を続ける。

                         2段15m滝
f0170180_0453615.jpg


                         右壁をフリーで登る
f0170180_046525.jpg


                         倒木の掛かる2段目も右から登る
f0170180_0484852.jpg


                         緑が眩しいナメが続く
f0170180_0521695.jpg

f0170180_0534115.jpg

f0170180_0545663.jpg


あんみつさんは沢登りの経験は少ないようだが、バランスが良いし手足も長いのでひょいひょい登ってくる。遡行開始して1時間以上になり、滝はまだかと思い始めた頃やっと大滝が現れる。ここは2段滝で20mとの記録が多い。しかし自分には15m程度に思える。あんみつさんはクライミングもやっているのでトップを譲ると、右壁からフリーで登るという。気を付けてと声をかけるやいなや、スルスルと登ってしまった。自分も登り始めるが、中段の小テラスに体を乗せてから右上に乗り上げるところが、左の岩がハングしていて体を右に乗り出さなければならず、ちょっといやらしいと感じた。他の記録でも「フリーで難なく」や「ザイルを出して」と色々なのだが、どうしようかと思うのなら素直にロープを使った方がいいだろう。中段に残置ハーケンとシュリンゲがあるが、見たところかなり古いようなのでアテにしない方がいいだろう。上段も右から楽しく登ることが出来る。滝の上からは長いナメが続く。滑りやすい岩もあり、水流の強い日は気を付けたい。苔の緑が水流の白に映えて美しい。

                         7m滝
f0170180_0562811.jpg


                         4mとトイ状の複合滝
f0170180_0581521.jpg

f0170180_1028.jpg


                         10m斜瀑
f0170180_12292.jpg


                         やや流れが細くなった
f0170180_165441.jpg


                         二俣
f0170180_173487.jpg


小滝以外の滝はすべてあんみつさんにトップをやってもらう。滝登りは自分でラインを考えて登った方が楽しいからだ。とはいえもう難しい滝は現れない。7m滝は水流右を軽快に直登。4mとトイ状の複合滝は好きなところを歩く。10m斜瀑はシャワーも楽しそうだが、水量の多い今日は右から登る。この後は小滝がいくつか現れるだけだ。流れは徐々に細くなり、源頭に近づいたことをうかがわせる。C1,380mで二俣になり、左が船明神へと突き上げる本流で、右が安達太良山の南側に出る支流だが、水量は1:1のように見える。今日はいくらかでも下山所用時間を短縮するため、右へ入ることにしている。時間もほどよいので、二俣で昼食休憩とする。周囲にはネマガリダケが多いが、さすがにもうタケノコは伸びていた。先月下旬ならまだ採れただろう。

                         沢にヤブが被ってくる
f0170180_1142485.jpg


                         ヤブをかき分け泳いで進む
f0170180_1193278.jpg


                         ヤブから登山道に出る
f0170180_1172093.jpg


右俣へ進むと少しヤブっぽくなってくる。すぐ奥の二俣になりまた右へ入る。やがて水流は涸れ、屈んでヤブを潜るようにして進む。ついには土壁に突き当たり、その先は不確かな窪程度になった。稜線の登山道に出るため右手のヤブに突入する。ネマガリタケが密生したヤブはなかなか手強い。大汗をかきながらヤブこぎしていると、和尚山が背中に見えてきて方向がずれていることに気づく。いつの間にか安達太良山頂方向に向き、登山道と平行に登っているようだ。右に方向を修正してやっと登山道に飛び出た。ヤブこぎした時間は30分弱だったが、上手くルートを取ればもっと短い時間ですむだろう。

                         和尚山
f0170180_122289.jpg


                         左から船明神山、鉄山、安達太良山
f0170180_1255674.jpg


                         和尚山の分岐
f0170180_128247.jpg


登山道に出てやれやれと沢靴を脱ぐ。小休憩の後、和尚山を目指して稜線歩きを始める。こちら側から見る安達太良山や船明神山の景観は、いつもと違って新鮮な感じがする。安達太良山は百名山ということもあり登山者が多いのだが、この和尚山からのルートは道も細く登山者が少ないことをうかがわせる。シャクナゲやゴゼンタチバナなど、花を見つけては撮りながら歩く。快晴だが気温は思ったほど上がってないので助かる。枝が被っていて頭や腕を何度も擦ったので、歩くときは下ばかりでなく上にも注意が必要だ。稜線を歩いて目指した和尚山は、ピークがはっきりしない山で山名板等も見あたらなかった。地図を見ると登山道の分岐の近くが山頂のようだ。分岐に下げてあった案内シートに、真っ直ぐ行くと三角点とあったので、自分だけ三角点を見に急いで往復した。分岐からは下り一方。しばらくは岩が多い道なき道だがルートは明瞭。勾配が緩くなると森の中を気持ちよく歩けるが、これがまた長く感じる。沢音が聞こえてくると、石筵川の渡渉も近いとわかる。

                         ハクサンシャクナゲ
f0170180_1341478.jpg


                         ゴゼンタチバナ
f0170180_1375934.jpg


                         渡渉点
f0170180_141327.jpg


石筵川でひと息ついて沢水を飲む。後は今朝歩いた道を戻るだけだ。あんみつさんは途中でフキとミズにタラの葉を採り、重いザックを担ぎご満悦。安達太良山域の放射能は低く、今年はタケノコ採りもOKだったくらいなので問題なし。駐車場に戻り今日の沢登りを終えた。あんみつさんは今日誰にも会わなかったことに驚いていたが、東北の山の特に平日はこんなもんだよと答える。帰りは温泉に入って汗を流してから、東京へ帰るあんみつさんと別れた。

石筵川はなかなか美しい沢だった。15m滝が核心といえるが、ロープ確保するなど配慮すれば初級者も楽しい沢登りができるだろう。ただし、今回より水量が多い状況になれば、格段に難しくなりグレードが上がるのはもちろんである。石筵川は全体の行程が長いので、早出を心がけ時間に余裕を持つことと、遡行者にある程度の体力が必要となる。なかには沢泊まりを楽しみながら、2日間で遡行するパーティもあるようだ。二俣を右か左かは下山ルートの取り方にもよるが、車が2台あれば沼尻登山口に1台をデポすれば楽が出来る。今回は源頭まで詰めたが、そこまで登らずに枝沢を利用し、早めに和尚山への稜線に上がる選択肢もある。過去の記録を見ると、源頭のヤブこぎは15分から1時間半とかなり幅がある。ヤブこぎは体力勝負であり、何よりルート取りが重要ということだろう。なお、6月上旬あたりに二俣から左俣を登ると、雪渓の上を歩いてヤブこぎなしに稜線に出られたとの記録もある。

                         ルート図 ( 赤:往路 青:復路 )
f0170180_188151.jpg


                         遡行図(作成予定)

by torasan-819 | 2012-07-13 05:32 | 沢登り | Comments(10)
Commented by ranger3yuji at 2012-07-14 11:19
いやー、写真見ていて緊張、肩に力が入りました。
すごいですね。
Commented by sho at 2012-07-14 17:15 x
あんみつさん、凄いですね。暑くなるこれからが最高ですね。
Commented by torasan-819 at 2012-07-14 17:53
ranger3yujiさん
岩場で2m以上落ちればケガ以上のリスクがあるため緊張しますね。
自分では滝の直登に「簡単」なところはないと思っています。
でもね、これがまた面白いんですよ滝を登るのは。
Commented by utinopetika2 at 2012-07-14 17:53
お二人とも凄いですねぇ。
私の場合、腰が引けてきます。
もう少ししたら、いくぞぉ~。
Commented by torasan-819 at 2012-07-14 17:56
shoさん
クライミングは結構女性で上手な人が多いですよ。
男は腕力任せに登ろうとする人が多いのですが、それではすぐ行き詰まってしまうのです。
女性はもともと腕力にあまり頼らないので、全身を上手く使い体重移動をして上手に登るのです。
これからはシャワークライミングと泳ぎが楽しみです。
Commented by torasan-819 at 2012-07-14 18:11
utinopetika2さん
沢登りは2年前に姥滝沢でご一緒してからご無沙汰ですね。
落ち着きましたら声掛けしますので、都合が合えばよろしくです(^_-)-☆
Commented by maro4070 at 2012-07-14 20:17
おっおっ、9時間38分で 16.4kmとはすごいですねぇ。
これでも初級とは、あんみつ姫の運動能力は姫以上だよー。(^o^)
Commented by torasan-819 at 2012-07-14 22:04
maro4070さん
そうなんです彼女は運動能力に優れているので、覚えと上達が早くなんでもこなしてしまいます。
でも山は人それぞれ、自分の楽しみ方で登ればいいんですよ。
Commented by yossy1904 at 2012-07-16 23:29
深緑とナメの写真、いいですねー。
怪我のため今年は沢はやらないつもりでしたが、こういうのを見るとやはり行きたくなります。
今年も姥滝沢、あるのかな~?
Commented by torasan-819 at 2012-07-17 07:04
yossy1904さん
夏はやはり沢登りしたくなりますよね。
大滝沢を登りたいというリクエストもあるので企画しようかなと思っているのですがいかがですか。


<< 蔵王振子沢と五色岳東稜尾根探索...      吾妻大滝沢で沢登り教室 ~ 2... >>