2013年 12月 15日
刈田岳井戸沢の雪崩について
f0170180_19314358.jpg

この週末はいい感じで雪が降っていますが、私は所用があり山はお休みです。先週の雪崩について、とある方から新しい画像を提供していただいたので掲載してみます。画像の提供者はToshihitoさんというボーダーの方で、我々の翌日の9日に刈田岳に登り滑ったようです。画像には前日の雪崩全体が写っていたので、雪崩の発生状況について考えてみました。
※画像はすべて、クリックして切り替わった画像の右下の「+」を、再度クリックすると拡大します。




トップ画像が9日撮影の井戸沢源頭ですが、井戸沢の北側から雪崩の全景を捉えています。雪庇が出来ていますが、この部分は冬季必ず雪庇になります。山形側からの西風が雪を飛ばし、こちら宮城側に雪庇を延ばします。6~7日に降った雪は、風で井戸沢側に運ばれ降り積もり、本来の積雪量よりさらに深くなっていたと思われます。それまでの雪面の上に、風で飛ばされたさらさらの雪が載り、ウインドスラブと呼ばれる状態ではなかったかと推測されます。旧雪と新雪との境界はまだ結合していないので、そこが弱層となり不安定な状態になっていたのでしょう。刺激があればいつでも滑り出す一触即発の状態です。そんなところに滑っていったのですから、雪崩れるのは当然と言えば当然です。斜度は30度程度なので、面発生雪崩が発生しやすい35~45度からは外れていますが、だからといって雪崩れないわけではないのです。事実、井戸沢はよく雪崩れることが以前から知られています。

                         雪崩全体
f0170180_1124269.jpg


                         8日の滑降想定ライン
f0170180_1237054.jpg


                         前日の画像
f0170180_1932192.jpg


                         雪庇上部より撮った画像では下の方にデブリは見えない(右端が加○氏)
f0170180_19402078.jpg


                         雪崩上部から破断箇所を見上げた画像
f0170180_13131494.jpg


前の記事では、スキーカットで雪崩を発生させる前に、既にその下部で雪崩が発生していたのではないかとの考えもありました。しかし、雪庇の上部より撮った画像をよく観察すると、井戸沢の斜面に雪崩が発生しているようには見えません。このことから、スキーカットが直接の引き金となって雪崩が発生した可能性が非常に高いと判断します。雪がそれほど不安定な状態だったというわけで、スキーでなくとも、ツボ足でもスノーシューでも発生したかも知れません。

この日は乾雪でしたが、まさに先月北アルプスの真砂岳大走沢で発生した雪崩と同じタイプの、「面発生乾雪表層雪崩」ではなかったかと思われます。真砂岳の雪崩については、日本雪崩ネットワークに詳しい調査速報があります。いずれにしても、我々の注意が足りなかったということであり、こんなことでは命がいくつあっても足りないと思い知った次第です。雪山にしてもバックカントリーにしても、雪崩に対しては臆病なくらいに気を付ける必要があります。それでも起きるときは起きるのでしょうが。誰でも自分が雪崩に遭遇すると思って山には登らないでしょう。しかし、明日は我が身と肝に銘じる必要がありそうです。

by torasan-819 | 2013-12-15 13:14 | 山スキー | Comments(0)


<< 山と渓谷1月号(後烏帽子岳遭難...      雪崩に冷や汗の刈田岳 ~ 20... >>