2014年 03月 25日
吾妻山・県境尾根縦走(雪洞合宿) ~ 2014年3月21日・22日
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3月の合宿は毎年連休に合わせて行われる。3連休をフルに活用しての2泊3日で検討したものの、諸々の事情で結局1泊2日の吾妻縦走となった。泊まりは避難小屋かテント泊か雪洞か選択肢はあるが、自分としてはやはり雪洞に泊まりたい。雪洞雪洞と言っていたら、意見が通って雪洞合宿となった。もっとも今回のルートは、会でも5年前まで雪洞合宿として実施していたので、先輩は何回も経験済みである。自分はと言えば昨年の単独縦走の1回だけなので、今回の合宿で雪洞の経験値を上げたいとの思いがある。合宿参加者は4名と小人数になったが、雪洞はコンパクトにすることが出来る。低気圧が来ているのが懸念材料だが、大荒れにはならないようだ。予定どおり縦走を行うことになった。
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 山域山名   吾妻連峰 中大巓(1,963.6m) 藤十郎(1,825m) 東大巓(1,927.9m) 昭元山(1,892.6m) 烏帽子山(1,879m)
          ニセ烏帽子山(1,836m) 家形山(1,877m)
 山行期間   2014年3月21日(金)・22日(土)
 山行形態   山スキー
 天候      21日曇り・22日晴れ
 参加者    4名(L:和○さん・鈴○さん・○井さん・トラ山)
 行程      21日 天元台・湯元駅8:40-9:20=リフト終点10:10-10:25~人形石11:23~藤十郎11:55~東大巓13:10~
              兜山・昭元山コル14:02~雪洞設営地14:07
          22日 雪洞8:08~昭元山・烏帽子山コル8:50~烏帽子山・ニセ烏帽子山コル9:32~家形山11:38-11:55~
              慶応山荘12:35-13:18~あづまスキー場跡上部13:58~高湯温泉14:44
 行動時間   21日 3時間42分  22日 6時間36分
 移動距離   21日 6.5km  22日 11.2km (GPS計測)
 累積標高差 21日 +420m -441m  22日 +543m -1,597m (GPS計測)
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=21日=
                         連休初日だがあまり混んでいない湯元駅
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                         中大巓の東斜面をラッセルでトラバース
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                         人形石に到着
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                         視界のない緩斜面を下る
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福島市内で集合し天元台へと向かう。福島から電車とバスを乗り継いで行くことも考えていたが、大○さんが車で送ってくれることになりだいぶ楽になった。9:20のロープウエーに乗り込む。1本目のリフトはすんなり乗れたが2本目3本目のリフトはまだ準備が終わってなく、それぞれ10分ほど待たされた。ゲレンデトップでシールを貼り、人形石へ向けて歩き始める。昨日の雪で所々ラッセルとなる。スキー場の係員から人形石までロープが張ってあると聞いていたが、縄に赤布を付けたものが斜面をトラバースして延びているのを見つけた。以後は縄を横に見ながら人形石に着いた。ガスってはいるが視界は50m程度はあるだろう。風もそれほど強くない。吾妻連峰の尾根は平坦なところが多く、視界が無い時は慎重にルートを見定める必要がある。コンパスで東へと方向を定めて歩き出す。しばらくは下り緩斜面なので視界があればシールを剥がして滑りたいところだが、今日はシールを貼ったまま歩くことにした。

                         左前方が藤十郎のピーク
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                         弥兵衛平の手前で青空が見えた
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                         弥兵衛平にある古いツアー標識
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                         東大巓のピーク北側を通過
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籐十郎のピークを左手に見て進むと次の小ピークが前方に見える。今度はその小ピークを右にしてコルに下降し昼食休憩とする。風は思ったより強くないので、こんな平坦地でも休憩することができる。視界があればなんということもないのだが、視界が無ければ地形に変化が乏しいだけに一気に難しくなる。なお、人形石からここまでは一部にわずかな登りがあるだけなので、シールを張らなくても来ることができる。弥兵衛平は地形図では少し登り勾配だが、ガスって目標となる東大巓も見えず、平坦でだだっ広い雪原にしか見えない。歩いていると何枚かの古いツアー標識を見つけることができる。以前はガスっていてもツアー標識を目印に歩くことができたのだろうが、今はわずかに残るだけであり無理なこととなった。何十年と吾妻を歩き慣れている和○さんであっても、度々GPSでルートを確認するほどだ。東大巓に近づくとぼんやりとピークが見える。そのピークの北側をトラバースして歩く。なお、人形石からここまではあまりラッセルもなく、風を背に受けながら順調に歩いてくることができた。

                         兜山手前にあった標識
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                         兜山から樹林帯に入る
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                         雪洞設営地を決定
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今日のように視界が良くない時、東大巓から兜山への尾根に乗るのには慎重に方向を見定める必要がある。兜山の南斜面をトラバースしていくと、昭元山とのコルから樹林帯に入る。低気圧のお陰か、樹林帯の中はパウダーのラッセルとなる。稜線を北側に乗っこして昭元山の北斜面に入ったところを雪洞ポイントとした。降り積もった柔らかいパウダーは50センチほどもあり、程良い斜度の斜面なので思わず滑りたくなってしまう場所だ。樹林帯で風も直接当たらないので、雪洞を掘るのにも好適地なのである。雪洞は場所の選定が重要なので、よく考えて選びたい。

                         さっそく掘り始める
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                         内部を掘っている鈴○さん
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                         天井と床を仕上げタナも造る
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                         外も整地する
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                         雪洞が完成
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始めは斜面を垂直に落として全面の壁を作る。その壁に入口となる横穴を掘り始める。1mほど掘り進んだところで、今度は左右に横穴を延ばす。今回は4人なので入口が1箇所の横穴式雪洞なのだ。下の方の雪も思ったほど固くなっておらず、スノーソーも余り出番が無い。シャベルでどんどん掘ることができる。ある程度中が広がれば2人で掘ることができるので能率が上がる。天井と床を仕上げ、棚を4箇所作って入口にツェルトを下げて完成。1.8m×3.6mほどの雪洞作成に1時間40分かかったことになる。なお、雪洞を掘ると雪が付いて融けてびしょ濡れとなる。雨具とゴム手袋が理想だが荷物になるので、今回はゴム手袋だけとした。

                         食事の準備
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                         夕食のメインは白菜鍋
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雪洞の床には銀マットを敷き、さらに各自のマットを敷く。広さは4人のザックと人間が入ってちょうどというところ。外気温がかなり下がっても雪洞内はほぼ零度を保つ。暖かくはないが寒くはないというところだろうか。夕方になって風が強くなり雪が舞ってきた。雪から水を作り食事をして午後8時過ぎにはシュラフに潜り込んだ。

                         GPSトラック ( 21日分 )
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=22日=
                         雪洞内での朝食
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                         シールトラブルをビニルテープで応急処理
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                         2日目のスタート
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                         昭元山北斜面をトラバース
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 小用をもよおして目が覚めた。時計を見るとまだ午前0時半。起きたくはなかったが朝まで持つはずもない。仕方なくシュラフから這い出しヘッデンを点けて驚いた。雪洞の入口から雪が吹き込んで積もっている。確認すると、扉にしていたツェルトが入口上部の雪とともに落ちたようだ。外は結構な勢いで雪が降っている。シャベルで雪をかき出しツェルトを取り付け直した。すっかり冷えた体でシュラフに潜り込むと、周りの幸せそうな寝息が聞こえてきた。朝は午前6時半過ぎに起床。外は穏やかで青空が見えている。天候は回復したようだ。さあ食事をして出発しよう。昨夜の雪は軽いパウダーとなって積もっている。この時期としては最高の雪質といえるだろう。しかし、吾妻稜線の縦走では滑降の場面はあまり無い。今日もシールを付けた歩きとなる。装備を確認すると鈴○さんのシールが剥がれていた。ビニルテープで応急処置をする。始めのうちは昭元山の北斜面トラバースで、新雪をラッセルしながら進む。

                         昭元山をバックに
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                         鏡沼のある平坦地
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                         烏帽子山南面トラバース
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                         ニセ烏帽子山へ登る
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                         ニセ烏帽子山山頂
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烏帽子山とのコルに出ると、左手に鏡沼のある平坦地が見える。コルから少し高度を上げて烏帽子山の南斜面をトラバースしていく。昨日とはうって変わって天気が良いので、真っ白な斜面の照り返しが眩しいほどだ。烏帽子山からニセ烏帽子山への尾根筋も樹林の中はラッセルとなる。昨年の縦走ではこの尾根筋に雪洞を掘ったことを思い出す。昨年はニセ烏帽子山の山頂部に発達する雪庇を避けて南斜面をトラバースしたのだが、今回はラッセルを嫌って雪庇の上をトレースした。重いザックを背負い交代でとはいえ朝からラッセルし続けているので、我々の足もだいぶ疲れてきている。

                         家形山と一切経山
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                         家形山南面の肩に出る
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                         コルへと滑り降りる
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                         コルは風で雪が飛ばされている
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                         沢へ滑り込む
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今回の縦走最後のピークとなる家形山が近くなってきた。登りもこれで最後となる。急登を頑張り、斜度が緩んだところで進行方向を南東に変える。樹林の中で周囲の山が見えないが、コンパスで確認すれば間違えることはないだろう。樹林帯を抜けて家形山の南斜面の肩に出る。一切経山と五色沼が目の前だ。ここからは風の通り道になるので風が当たるようになる。シールを剥がして五色沼のコルへと滑り降りる。コルは風が強くて雪が付いていないのでスキーを持って歩く。大岩の所まで来るとさらに風は強く爆風となる。歩くのも大変で耐風姿勢を取るほどだ。風から逃げるためには急いで下降するしかない。滑り降りて沢筋に入ると、さっきまでの風が嘘のように穏やかになる。

                         今年は積雪量豊富だ
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                         あづまスキー場跡を滑る
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                         高湯温泉街へと滑り降りる
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                         安達屋旅館前の薬師堂が終点
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慶応吾妻山荘で昼食休憩とした。管理人の大柿さんが入れてくれたコーヒーを飲み、ついついゆっくりしてしまった。後はいつものようにスキーを走らせる。あづまスキー場跡に出ると、旧ゲレンデの雪はモナカになり始めていた。スキーで高湯温泉の薬師堂まで滑り安達屋の前に降りた。大○さんに迎えに来てもらい高湯温泉を後にする。なお、本数は少ないが、高湯温泉から福島市内までのバス利用も可能だ。

                         GPSトラック ( 21日分 )
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                         全体ルート
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さて、今回の縦走メンバーの○井さんだが、1年間の福島暮らしを終えて3月末に元の職場に戻ることとなった。我々が連れ回したこともあり、沢登りに山スキーと密度の濃い1年間であったことと思う。いや、○井さん自身がアクティブな山登りを求めていたこともあるだろう。だからこそ、目を見張るほどの進歩があったのだと言える。今シーズンから始めたばかりの山スキーでは、最後に吾妻を雪洞で縦走してもらった。初級卒業試験といえるかもしれない。今後はさらに経験を積みステップアップしてもらいたい。いずれは○井さんの計画で山スキーや沢登りに行きたいものである。そこまでなってもらえれば、我々も1年間を供にした山仲間冥利に尽きるというものである。

by torasan-819 | 2014-03-25 19:51 | 山スキー | Comments(12)
Commented by utinopetika2 at 2014-03-26 22:09
雪洞に興味津々です。
会得しておくと安心ですね。
それにしても、おおきな雪洞です。
Commented by torasan-819 at 2014-03-27 07:26
utinopetika2さん
そうなんです我々が雪洞合宿する目的もそこにあります。
アクシデントがあっても雪洞を掘って1晩2晩ビバークできれば死ぬことはありませんから。
utinopetika2さんもやってみませんか?
Commented by マロ7 at 2014-03-27 07:52 x
○井さん,お里帰りですね。(^o^)
この1年、東北のために頑張っていただきありがとうございました。
さらなる、ご活躍をお祈りいたします。(^o^)
昨年の吾妻姥滝沢3班・隊員
Commented by torasan-819 at 2014-03-27 18:48
マロ7さん
勿体ないというか惜しいというか仕方ないですね。
本音はずっと福島にして欲しいくらいなんです…
でも山に沢に福島には来ると言ってますので、マロ7さんも是非一緒に○井さんと沢登りなどしましょう!
Commented by madokau at 2014-03-28 06:42 x
マロ7さん トラ山さん
マルイです。
あっという間の1年でした。
昨日アパートから荷物を出し、今日が仕事納めとなります。
復興支援という理由で来たはずでしたが、東北のためというよりは自分のためになった、本当にいい経験でした。

今後も機会を見つけてこちらに出没するつもりなので、よろしくお願いいたします。
Commented by NON at 2014-03-29 07:49 x
でっかいザック背負って雪洞泊・・・みなさん凄いわ
へなちょこな私には厳しいかも、雪洞のお食事美味しそう

Commented by 煙突おじさん at 2014-03-29 19:08 x
昔は,天元台大沢駅は山スキーの定番コースでしたが、
弥兵衛平らのガスには大分悩まされました。忠ちゃん転がしの急斜面が
懐かしいです。3月には珍しく吾妻山系は,新雪の深雪で皆さん楽しかったようです。吾妻縦走コース、懐かしく楽しく写真を拝見しました。4月8日にスカイラインが開通するので,恒例の東吾妻蒲谷地ヤマスキーを実施します。参考アドレス http://blogs.yahoo.co.jp/kurtuk303/62392416.html 
Commented by torasan-819 at 2014-03-29 22:47
madokauさん
もう今頃は帰還したのでしょうね。
感情をあまり表に出さない貴女でしたが、うちに秘めたる情熱は熱いと感じていました。
我々とは少々離れましたがたいした距離ではありません。
こちらこそ声をかけていただき、山や沢をご一緒させてください。
Commented by torasan-819 at 2014-03-29 22:50
NONさん
歩く体力は歩くことでしか鍛えられないと思います。
どんどん歩いて地力をつけられれば、行ける山の範囲も広がりますよ。
NONさんが雪洞泊したら、美味しい料理を作るのでしょうね!
Commented by torasan-819 at 2014-03-29 22:56
煙突おじさん
懐かしんでいただきこちらもアップしたかいがあるというものです。
東吾妻蒲谷地ルートはまさに煙突おじさんの恒例ツアーですね。
盛況と成功をお祈りします。
Commented by fck_mototyan at 2014-04-01 13:05
雪洞掘り。トンネル掘りが好きな僕には堪らん>_<
Commented by torasan-819 at 2014-04-01 18:00
fck_mototyanさん
シャベルを見るとすぐ掘りたくなるタイプなんですね!
ワタクシと同じです(笑)
今度は是非一緒に掘りましょう(^^)v


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