2014年 05月 27日
北アルプス 針ノ木雪渓を滑る ~ 2014年5月24日
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物事にはよく日本三大何々というものがある。日本を代表するものを三つあげるというもので、日本三大河川であれば信濃川、利根川、石狩川となる。雪渓でいえば日本三大雪渓は白馬雪渓、剱沢雪渓、針ノ木雪渓とされている。しかしこれにはいささか疑問を抱いており、なぜ飯豊の石転び沢雪渓が入らないのかと思っていた。そんなわけで三大雪渓を滑ってみたいと思っていたのだが、今回ようやく針ノ木雪渓に行く機会を得た。針ノ木雪渓は、北アルプス後立山連峰の最南端の山である針ノ木岳に突き上げる。針ノ木岳は標高2,821m、富山県と長野県にまたがるピラミッド型の端正な山容であるという。自分としては久しぶりの北アルプスであり、石転び沢雪渓と滑り比べも面白いだろうと向かうことにした。

 山域山名   北アルプス 針ノ木岳(2,821m)
 山行期間   2014年5月24日(土)
 山行形態   山スキー
 天候      晴れ
 参加者     4名(L:和○さん・菅○くん・あんみつさん・トラ山)
 行程      無料駐車場6:01~登山口6:18~スキー歩行7:01-7:11~最終堰堤7:23~赤石沢出合7:39~マヤクボ沢出合8:56~2700mより滑降10:29~
          マヤクボノコル11:11-11:25~針ノ木岳12:05-12:50~滑降12:54~登り返し12:56-13:23~滑降13:36~マヤクボ沢出合13:51~
          最終堰堤14:09~登山口14:45~無料駐車場14:51
 行動時間   8時間50分
 移動距離   12.2km (GPS計測) ※登り返し含む
 累積標高差  ±1,968m (GPS計測) ※登り返し含む





                         扇沢無料駐車場を午前6時過ぎにスタート
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                         立山黒部アルペンルートの扇沢駅
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                         針ノ木岳登山口
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                         針ノ木沢の橋を右岸へ渡る
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余裕を持って金曜日の午後から出発する。自宅を午後2時半に出ると二本松で集合し3時半に出発。東北道~北関東道~上信越道~長野道とひた走り、姨沢SAで3人車中泊だ。しっかり7時間近く寝て午前4時前に起床。安曇野インター出口で東京からのあんみつさんと合流し、登山口の扇沢へと向かう。あんみつさんは今回のメンバーの紅一点で、ただひとり針ノ木雪渓の経験者でもある。針ノ木岳へは立山黒部アルペンルート扇沢駅が登山口になる。駅のすぐ下は舗装の有料駐車場(24時間まで千円)なので、下にある砂利敷きの無料駐車場に車を入れる。朝早いのに既に外周は埋まりつつあった。この駐車場は標高1390mほどあるのだが、暖かいこともありそんな感じはしない。登山口は扇沢駅左側にある作業車専用ゲート脇の針ノ木遊歩道入口だ。前方には雪山が見えるが、針ノ木岳はまだここからは見えないという。一部車道に出たりしながら歩き、左手の沢に降りてコンクリート橋を渡る。この沢は高瀬川支流の篭川上流部になり、地形図には名称がないが針ノ木沢というらしい。

                         右岸をトラバース
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                         スキーに切り替える
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                         最後の堰堤を越えた辺り
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                         デブリで荒れた雪面には小石が多い
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                         順調に高度を上げていく
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                         後には爺ヶ岳が見える
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針ノ木沢を右岸に渡ると雪渓が現れるが、土が出ているところもありしばらくはツボ足で歩く。右岸斜面をトラバースし、沢なりに左に回り込むと前方に針ノ木岳が現れた。左岸前方に大沢小屋が見えてきた辺りでシール歩行に切り替える。最後の堰堤を越えると、沢の水流はすっかり雪渓の下となった。前後には何パーティーかの登山者やスキーヤー。沢底から見上げる両岸の感じは石転び沢によく似た雰囲気だが、やはり積雪量は石転び沢の方が多い。雪面は凸凹でゴミも多いが、この時期の雪渓下部は石転び沢でもどこでも同じようなものだろう。快晴で風もないので暑い。後ろを向くと爺ヶ岳のキリッとした姿が見える。斜度が増してくるとデブリ跡の残る斜面はガタガタで小石もかなり多い。下りの滑降がちょっと心配になる。

                         マヤクボ沢出合
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                         急斜面へ向かう
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                         急斜面はツボ足で登る人も多い
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標高2100mを超えた辺りから雪面は真っ白になってきた。数日前に降った新雪が化粧直しをしてくれたようで、美しいフラットな雪面にリセットされている。標高2250mのマヤクボ沢出合からは、左の針ノ木峠へと登る登山者も多い。マヤクボ沢を登っていくと勾配がかなりきつくなってくるが、雪は適度に緩んでいるので自分はシール登高を続ける。後続の和○さんと菅○君はツボ足で登ることにしたようだ。特に菅○君はスプリットボードなのでスキーのようには登れない。急斜面をジグを切って登っていくと、あんみつさんが途中でツボ足に切り替えた。自分はまだスキーアイゼンも付けていないが、何とか登れるのは慣れの問題もあるのだろう。もちろん雪が凍っていれば自分だって無理になるが、今日の雪なら落ちても大丈夫だろうと、後続を待たず登っていく。

                         2人が登ってきた
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                        針ノ木岳の山頂を目指す
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                         スバリ岳南斜面のドロップポイント
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                         山頂へのトラバース箇所
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                        いつも元気なあんみつ女史
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急斜面を登り切ると勾配が緩み、右手上にスバリ岳の美味しそうな斜面が見えた。振り返れば針ノ木峠を挟んで蓮華岳が見える。他のメンバーはしばらくかかりそうなので、先に軽く1本いただくことにする。スバリ岳南斜面を2700mまで登りドロップ。小手調べの標高差100mほどの滑降だ。降りて少し待つとあんみつさんが登ってきたので先に行ってもらう。後続2名が登ってくるのをしばらく待ってマヤクボノコルへひと登り。コルからは目の前に立山三山と剱岳、眼下には黒部湖の素晴らしい眺め。マヤクボノコルから針ノ木岳山頂へはスキーを担ぐ。途中でトラバースするのかどうか迷う箇所があったが、下から単独行者が登ってきてルートがわかりホッとする。このトラバースは滑ったら下に見える黒部湖までさようならかもしれない。雪が緩んでいたのでブーツを蹴り込みしっかりしたステップを作れたが、それでも下を見ると尻がムズムズした。

                         針ノ木岳山頂
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                         後続の2人はトラバ-ス中
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                         和○さん視点からの菅○君
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                         槍ヶ岳方向
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                         槍ヶ岳をアップ
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                         立山と剱岳
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                         後立山の峰々
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針ノ木岳の山頂は思ったよりなだらかだ。何人かの先客が眺めを楽しんでいた。自分もと眺めてみるが、悲しいかな北アルプス3回目の自分には山の名前がわからない。それでも登ったことのある槍ヶ岳は見つけることができたが、他の山は識別できないのが情けない。でも目にはしっかり焼き付けたので良しとしよう。遅れて後続の2人が登ってきたが、菅○君が調子悪いという。症状からしてどうも高度障害にも思える。行動は出来そうなのでひと安心。穏やかな山頂で昼食を食べながらゆっくりと45分過ごした。さていよいよ待望の滑降だ。

                         山頂より滑降ポイントに下降
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                         ドロップポイント
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                         ザラメ雪で快適な滑降
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                         登り返しての2本目
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                         自分のシュプールを見上げる
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山頂からの下降は登った稜線の反対側を下る。皆は稜線を下ってコル状の尾根から滑ることにしたが、自分は山頂直下の40度ほどのルンゼを滑ることにする。条件が良ければ滑ろうと考えていたのだ。今日はザラメの好条件で、今日滑らないでいつ滑るのという感じだ。まだ1本しかトレースのない斜面にドロップすると、気持ちよくターンが決まる。あまり下がらないうちに右へトラバースし、また稜線へと約170m登り返す。上から滑ってきたテレマーカーが転倒し、横の斜面を落ちていったがなかなか止まらない。150mは落ちたように見えた。ここはザラメでもそんな斜面なのだ。こちらは急登にひと汗かいて稜線に登り上げる。尾根で下ってきた仲間とスライドし、今度は先ほどのルンゼの1本手前を滑ることにする。ちょっと雪庇があり直下が急なせいか誰も滑っていない。よし、いただきとばかりに飛び込む。この快感はやった者にしかわからないだろう。

                         スキーの下りは速い
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                         ガンガン滑る
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                         水を得た魚の菅○君
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                         小石があってもお構いなし
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                         またたく間に雪渓下部に
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                         左岸に見える大沢小屋
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                         最後の歩きは暑かった
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                         トロリーバスが発着する扇沢駅の裏側
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滑り降りてきた仲間と合流すると、あとは針ノ木雪渓を流すだけ。マヤクボ沢出合を過ぎると、時折カリッカリッと小石を踏むようになるが、避けようもないほど多いので諦める。あっけなく最終堰堤まで滑り降りてしまうと針ノ木雪渓も終わりだ。今朝スキーに切り替えた地点より下の標高1670mまで滑ってツボ足に切り替えた。東北人の我々には初夏にも感じられる陽気の中のんびりと歩く。車道に出てからはそのまま車道を辿り扇沢駅に到着。車と人で賑わう扇沢駅は、いかにも下界に降りてきたという感じがした。

※装備について…この時期に針ノ木雪渓を登ろうとするなら、アイゼンとピッケルは必要装備になる。今回自分はスキーアイゼン、アイゼン、ピック付きストックとしたが、雪が緩んでいたこともあり実際に使ったのはピック付きストックだけだった。しかし、山はどのような状況なのか実際に登らないと判らない。装備はしっかり準備すべきだろう。

※日本三大雪とは…渓針ノ木雪渓はたしかに素晴らしい雪渓だった。なんといっても山頂からの北アルプスの山々の眺望が素晴らしい。三大の「大」は長さや高さだけではなく、景色や訪れる人の数にもよるのだろう。そうすれば日本三大雪渓と呼ばれるのも肯ける。しかし、それにしてもなのだ、個人的には石転び沢雪渓はそれ以上ではないかと思っているのだ。東北人の東北へのひいき目かもしれないが。

                         GPSトラック( 赤:往路 青:復路 )
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by torasan-819 | 2014-05-27 20:14 | 山スキー | Comments(12)
Commented by sharizaka at 2014-05-28 20:38 x
素晴らしいですね。北アルプスの山並みを一望できるところで滑れるなんて。
それにしても急斜面ですね。自分にはちょっと怖いな~、でもいつかは滑ってみたいです。
また週末は楽しんできてください・・・・私は仕事してます。
Commented by torasan-819 at 2014-05-29 07:40
sharizakaさん
そうなんです景観が素晴らしい!なんといっても北アルプスなんです。
斜度は最大45度近くありましたがザラメで安定していたので問題なしと判断しました。
あのドロップの瞬間が何ともいえません(笑)
来シーズンは是非「クラブ45°」へ(^^)V
Commented by utinopetika2 at 2014-05-29 08:00
w(@o@ )w オオォォ!!
さすが北アルプス、凄い高度感ですね。
黒部湖を背にしたカットをみただけでムズムズしてきます。
ただただ感心しています。
Commented by lc4adv at 2014-05-29 09:28
凄まじい高度感。黒部湖が入ると特に。いやぁ~、堪んないでしょうね。
北アルプスは最後、雲ノ平に行って以来30年ぐらい御無沙汰してます。
体力があるうち行かねばなりませんね。画像を見てそう思いました。
Commented by NON at 2014-05-29 16:51 x
針の木へいらしてたんですね。
それにしても凄い雪渓 北アルプスの絶景を見ながら滑るってステキですね。
私はその頃 上高地でまったりしてました。
初立山滑走は悪天候で断念、来年に持ち越しです。
Commented by torasan-819 at 2014-05-29 20:47
utinopetika2さん
ムズムズ感を楽しんできました(笑)
この高度感はやはり北アルプスですね。
とはいってもそろそろ年齢も考えないといけないかなと(^^ゞ
Commented by torasan-819 at 2014-05-29 21:03
lc4advさん
体力があるうちに…私もそう思います。
今年はいくつか考えている山行がありますが、来年はないというくらいの気持ちで向かうつもりです。
焦るわけではありませんが、今やれることを目一杯やりたいと思っています。
Commented by torasan-819 at 2014-05-29 21:06
NONさん
そうなんですよ~
北アルプスの山々を眺めて、あの山も滑りたい、あの斜面も滑りたい、あのルンゼも滑りたい状態でした(笑)
NONさん上高地にいたんですか。槍ヶ岳も滑りたいです!
Commented by leviathan05 at 2014-06-01 00:26
凄いなあ・・・ 私も写真を見て尻がムズムズしてきます。(笑)
三大雪渓はよく知りませんが、地元びいきで?石転びの雪渓は良いなあと思います。 
Commented by torasan-819 at 2014-06-02 05:26
leviathan05さん
皆さんのご意見では日本三大雪渓に「匹敵」するということで落ち着きました(^^ゞ
土曜日に行ってきましたので後日レポアップします。
Commented by morino1200tb at 2014-06-02 23:02
ヒャー、こりゃ凄い。
お尻ムズムズどころか下を見たとたんに固まってしまいそう。
アルプスは今年も夏に行きたいものですぅー(^^)
Commented by torasan-819 at 2014-06-03 04:45
morino1200tbさん
この高度感が良いんですよね(^o^)
来月も行きたいと思っているんですが、どうなりますか。
morino1200tbさんもぜひどうぞ。


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