2017年 04月 22日
月山・肘折ツアー ~ 2017年4月16日
f0170180_03462983.jpg

月山のスキールートの中でも肘折ルートは最長のロングツアーになる。とはいえ距離は20キロ程度で驚くほどの長さではない。しかし、大きな標高変化とそれに伴う雪質の変化、大きな月山が徐々に遠くなっていく印象的な景観、アップダウンを繰り返しながらの斜面と沢の滑降など、変化に富んだ素晴らしいルートであるといえる。時期はその年の積雪の状況により4月上旬から4月下旬が適期といえる。ただし、肘折に下りてからどうやって戻るかが少々厄介である。我々はいつも肘折に車をデポして別の車で月山の姥沢に移動するという方法でやっているが、そのためには前日に肘折に移動するなどの手間が必要となる。その他には肘折に1泊して泊まった旅館に送ってもらう(ある程度の人数が必要)、ジャンボタクシーやマイクロバスを手配しておく、時間はかかるがバスや電車を使う(半日~1日かかる)など、いくつかの方法で実行している人達がいる。手間をかければ肘折デポ方式が一番経済的だが、姥沢の車の回収に問題がある。なぜなら、姥沢への県道は4月上旬に開通するが、おおむね4月末までは午後7時から翌朝7時まで通行止めであり、肘折から戻って午後7時までに姥沢の車を降ろすのはかなり困難だからだ。昨年は姥沢に上がった車をサポート隊に志津に降ろしてもらった。今年も当初計画の4月9日はその予定だったが、天候のため16日へと1週間延期したことによりサポートが受けられなくなった。そのため、志津に車を置き4人がジャンボタクシー(13,000円程度)で姥沢に上がる計画とした。懸念なのは月山西斜面のアイスバーンと風だ。予報によると16日の気温は高めなのでアイスバーンが緩むことを期待できる。稜線は20ⅿ以上の風になりそうだが、月山さえ越えればあとは何とかなるので決行することにした。


山域山名   月山(1,984m) 小岳(1,226m) 大森山(791.2m)
山行期間   2017年4月16日(日)
山行形態   山スキー
天候     晴れ時々曇り(月山上部はガスと強風)
参加者    4人(L:トラ山・S木・K澤・U井)
行程     姥沢P7:10=リフト上駅8:22~月山10:08-10:26~千本桜10:58~清川橋11:34-12:00~
       念仏ヶ原避難小屋12:43-12:50~小岳13:36-13:49~赤沢川二俣14:00~ネコマタ沢源頭14:26~
       大森山コル15:20~大森山頂15:40-15:52~林道16:05~朝日台(肘折)16:32
行動時間   8時間10分
移動距離   20.1km (GPS計測)
累積標高差  +1,297m -2,446m (GPS計測)
参考データ  肘折積雪深137cm(4月15日アメダス)





           姥沢は青空
f0170180_02491083.jpg


           リフト上駅より歩く
f0170180_23003124.jpg


           月山の山頂はガスの中
f0170180_23032447.jpg


           中央寄りのルートで登る
f0170180_23055394.jpg


           山頂小屋で風をしのぐ
f0170180_02472384.jpg


15日は肘折の某所でテント泊とした。仕事を終えてから夕方の新幹線に飛び乗った千葉のU井さんも、さくらんぼ東根駅からK澤くんの車で無事合流した。午前4時に起床し朝日台にK澤くんの車をデポしたが、同じ目的と思われる車が既に1台デポしてあった。月山姥沢への移動は100キロほどで約2時間かかる。志津の県道ゲートは7時きっかりに開けられ姥沢へと上がる。3人を降ろすと自分は志津へと下り、車を停めると通りかかった単独のスキーヤーに乗せてもらい姥沢へと戻った。昨夜ハタと思いつきヒッチハイク作戦に変更したのだが、親切な方に感謝である。リフトに乗って上の駅からは8時22分に歩き始めた。先行パーティーがいくつも見える。風はあまりないが月山の西斜面はガスがかかり上の方は見えない。西斜面がカリカリのアイスバーンの場合は滑落に要注意だが、今日は雪面が緩んでいるので不安はない。シールのまま登っていき、途中でK澤くんとU井さんがスキーアイゼンを装着。ほとんどのパーティーは夏道ルートのようだが、我々だけが中央寄りのラインで登っている。上部のアイスバーンを回避するためと、ブッシュがいくらか出ている右手に逃げて早めに尾根に上がろうという考えだ。前後にいたはずの他のパーティーは、いつの間にか追い越したようで姿が見えなくなっていた。見下ろすと斜面下部にはゴマ粒のように登山者が見える。やがてガスで視界が効かなくなったが登り続けた。尾根に上がると滑落の心配は無くなったが、今度は風に叩かれ時折足を止めて風に耐える。強風によろめきながらも頂上小屋に到着した。リフト上駅からは1時間46分だったが、条件が良ければ1時間半程度だろう。建物の陰で風を避けひと息つくが、しばらくしてもほかの登山者はやってこない。どうやら山頂まで到達したのは我々だけの様子。



           ガスの中を手探りの滑降
f0170180_02542812.jpg
               

           やっとガスが薄れてきた
f0170180_02563160.jpg


           千本桜の上にて
f0170180_02574548.jpg


           千本桜の急斜面
f0170180_03420787.jpg


           大斜面を滑る
f0170180_03503256.jpg


           立谷沢川へと滑り込む
f0170180_03542898.jpg



           沢床を滑る
f0170180_03561671.jpg


           清川橋
f0170180_03592637.jpg


山頂の東側は滑降に適した大斜面だが、このガスではどうにもならない。コンパスで方位を確認し、山頂小屋から南へトラバースしてから東に進路を変える。位置を確認しパーティーがばらけないよう注意しながらゆっくり降りる。雪質は良いので何とももったいない。高度を300m以上落とすと、やっとガスが薄れてきて視界が得られるようになった。飛ぶようにスキーを走らせて千本桜の上まで滑降する。これから辿るルートが一望できる眺めにはいつもながら感激する。肘折ルートが初めてのU井さんとK澤くんに眼下の風景を説明する。千本桜の急斜面はフラットな面ツルで最高のゲレンデだ。急斜面の先は夏道のある広い尾根を辿るのが普通のようだが、自分は右手の斜面をダイレクトに立谷沢川に滑り込むのを好む。風を切り風となって豪快に斜面を疾駆する。素晴らしい!まったくもって素晴らしいとしか言いようがない。次々と滑り降りてきたメンバーには「今日のお楽しみはこれで終わり」と言ったが半分本当のことだ。立谷沢川は口を開けているところもあるが特に問題ない。清川橋すぐ下流のスノーブリッジで渡渉して昼食休憩とした。



           念仏ヶ原
f0170180_04015366.jpg


           念仏ヶ原避難小屋
f0170180_04055176.jpg


           月山を背に(合成画像)
f0170180_04064910.jpg


           小岳を目指す
f0170180_04234585.jpg


           小岳にはいつもクラックが入る
f0170180_04254047.jpg


           赤沢川支流
f0170180_04275288.jpg


           ネコマタ沢を見下ろす
f0170180_04340299.jpg



           急斜面の滑降
f0170180_04343076.jpg



シールを貼り直して沢筋を登り念仏ヶ原に出ると、太陽を反射して神々しく光る月山を背に歩く。平坦で広い念仏ヶ原は歩いても風景があまり変わらないので余計長く感じる。念仏ヶ原避難小屋は屋根の一部しか出ていなかったが簡単に見つかった。ここまでで全行程の約半分だ。小屋は西川山岳会が先週泊まったので2階入り口が掘られていた。小屋からを後にしてひと登りすると小岳を目指す。手前の小ピークを越え小岳のピークを過ぎたところでシールを剥がす。小岳から赤沢川の支流に入って沢沿いに滑り、二俣に出ると右岸斜面をツボ足で登る。ここには先行者のトレースがあり、ここまでの区間で見かけなかったのは何故だろうかと思う。978mピークを巻くように赤砂山手前の小ピークとのコルに降りる。コルから小尾根へトラバースしても良いのだが、ネコマタ沢を源頭から滑るためさらに数10m登る。クラックに注意しながら滑り降り後続に合図をすると、急斜面に臆することなく次々に滑り降りてくる。ここの滑降は後半部のハイライトである。



           小尾根に乗る
f0170180_04390111.jpg


           大森山を登る
f0170180_04422562.jpg


           大森山で最後の休憩
f0170180_04460119.jpg


           朝日台が見えてきた
f0170180_04463501.jpg


           やったーとK澤くん
f0170180_04492051.jpg


           ゴール地点
f0170180_04503575.jpg


           いでゆ館で汗を流す
f0170180_04530624.jpg



二俣から左岸斜面をツボ足で登り、小尾根の北側をトラバース気味に進んで大森山の下に到着。大森山の急斜面にも雪が十分残っており、キックステップで一歩一歩登っていく。ここが最後の登りだが疲れ切った足にはこたえる。やっと山頂に到着すると、もう登りは無いと分かった仲間の顔に安堵の表情が見えた。最後の休憩をすると急斜面を滑り降りて林道に出る。平坦でスキーの走らない林道を進み、途中からショートカットして急斜面を朝日台に下りると車のデポ地点までは一投足だ。先着した自分は仲間の健闘を称え握手で迎えた。肘折到着は16時32分と計画より約1時間早かったのは、月山のガスを抜けてからは条件も良く、仲間の足並みもそろいトラブルも無かったからだろう。肘折温泉いでゆ館でゆっくり汗を流し、途中で食事をすると新幹線で帰るU井さんを見送り、車の回収に姥沢へと向かった。来年以降も肘折ルートを踏破できるよう健康と体力を維持し続けたいものである。なお、後でわかったことだが、同じ日に肘折ルートを計画していたパーティーがあった。肘折で見かけた車がそうである。強風のためリフト上駅休憩所で停滞していたが結局断念したとのこと。その他にも北月山ルートを諦めたパーティーなどもあったようだ。そこからすれば我々は幸運だったと言える。

※月山肘折ルートの適期は4月上旬から下旬までと考えている。その年の積雪量によっては5月のゴールデンウィークでも可能な場合はあるが、温暖化の昨今でその可能性は多くない。積雪量が少々多くても雪消えが早いからだ。最後まで雪を繋いで滑るには肘折のアメダス積雪量が70センチくらいなら確実、50センチでギリギリ、それ以下になると土の上を歩くようになる箇所が出てくるだろう。さすがに4月も中旬を過ぎると、肘折の積雪量は1日当たり平均で7~10センチ、日によっては10数センチも減っていく。1週間で50~70センチも減ることになるので、アメダス積雪量を見ながらツアー予定日の積雪量を予測することになる。ツアー日の天候が良いとは限らないので、勤め人にとって月山肘折ルートの条件が整うのは4月中に1回か2回しかない。思ったよりチャンスは少ないのだ。



              GPSトラック
f0170180_05051185.jpg




by torasan-819 | 2017-04-22 05:45 | 山スキー | Comments(2)
Commented by fck_mototyan at 2017-05-11 20:29
来年こそは、、、鳥海から月山をらうらめしそうに眺めてました。
Commented by torasan-819 at 2017-05-12 06:50
fck_mototyanさん
私が以前やったように肘折からのピストンなら単独でやれますのでいかがですか?


<< 月山・品倉尾根 ~ 2017年...      東吾妻山・蒲谷地下り ~ 2... >>