2018年 01月 16日
西吾妻山・若女平コース ~ 2018年1月13日
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13日は吾妻山の若女平へ向かうことにした。数日前にまとまった降雪があったので柔らかい新雪を滑ることができると期待したのだ。しかし、考えが浅かったことをのちに思い知ることになる。まだ底ができていない雪は深過ぎ、かえって困難となり苦労をすることになった。


山域山名   吾妻連峰 西吾妻山(2,035m) 若女平コース
山行期間   2018年1月13日(土)
山行形態   山スキー
天候     晴れのち曇り
参加者    5人(L:トラ山・M戸・K玉・M司・F井)
行程     天元台湯元駅7:50-8:18=リフト終点9:10-9:33~凡天岩11:25~西吾妻山11:57~西吾妻小屋12:30-13:10~
       若女平16:15~細尾根16:50~小坂18:35~西吾妻スカイバレー20:27
行動時間   10時間54分
移動距離   7.9km
累積標高差  +278m -1,267m





             天元台スキー場から蔵王連峰が見える
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             中大巓の直下までリフトで登る
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             ゲレンデトップからスタート
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スキーで若女平を下る場合は天元台スキー場を利用する。ロープウェイとリフト3本で楽してゲレンデトップへ登ることができる。料金は2,300円になるが、天元台高原新サポートクラブ(新規4,000円・継続3,500円)に入ると、4回分のチケット(2年間有効)が付いてくるのでリーズナブルだ。自分はアルブ天元台で継続手続きを済ませた。9:20に標高1,820mのゲレンデトップに到着。我々以外に山に入るのは、山スキーの単独男性のみのようだ。準備しているとM司さんがシールがスキーに貼りつかないという。彼女のシールはコルテックスというノリ(グルー)を使っていないタイプ。見るとシール面に黄色いものが付着していたので聞くと、粘着性を増すものを塗ってきたのだがそれが良くないようだとのこと。黄色いものをスクレーパーとスキーのエッジで削り落とすことにした。しかし、全部は取れないのでテープで巻いて補強することにした。最後まで持ってくれるだろうか。問題があれば行動にすぐ影響を与えてしまう道具類については、新しいものをブッツケ本番で使うのはリスクがあるのでやめたほうがいい。

             膝ほどのラッセルが続く
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             鞍部に出ると展望が広がる
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             凡天岩と天狗岩のある2,044ⅿピーク
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             凡天岩を目指す
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             トップはラッセルの女王
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             振り返り見る吾妻連峰の主脈
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             凡天岩
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             見渡す限り我々しかいない
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             西吾妻山へ登る
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             平坦でどこが山頂か分かりにくい西吾妻山
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             西大巓
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             東斜面のシュプール
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             樹氷の中を西吾妻小屋へ向かう
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やっとスタートすると先ほどの単独男性がまだいる。深雪の単独ラッセルに戸惑っていたらしく、聞くと若女平だという。我々もだというと、ラッセルして先に進む我々の最後尾でついてきた。積雪量は多く、スキーでも膝上から太腿のラッセルとなる。ここの経験者は自分だけということもあり、尾根に出るまでは自分がトップを務める。尾根に出ても風はほとんどない。素晴らしい展望が広がりメンバーは感激の様子。今度は交代でラッセルをしていく。なだらかな斜面を登り梵天岩を経由し、少し下って西吾妻山へと登り返す。M司さんは若いだけあって登りラッセルにも強く「超気持ちいーい」と言いながらぐんぐん登っていく。後続の男性陣は追いつくどころか引き離される始末なので、我々は彼女をラッセルの女王と呼ぶことにした。平坦な西吾妻山の山頂を経由し、北方向へ下り始めると西吾妻小屋がすぐ見えてくる。西大巓の東斜面には何本ものシュプールで、今まさに滑降中のボーダーも見える。



             西吾妻小屋に到着
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             かなり埋まった登山道標識
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             若女平へは下りラッセル
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             ほとんど滑りにはならない
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             昔のツアー標識
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             若女平の手前でシールを貼る
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             やっと若女平
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西吾妻小屋にはまだ誰もいなかったが、昼食を取っていると続々とスキーやスノーシューの登山者がやってきた。グランデコスキー場から西大巓を経由して登ってきたのだろう。ちょっとゆっくりしてしまったので、下山を急ごうということで若女平へと歩き出した。計画より遅れてはいたが、先週7日には若女平を何パーティーか下っている情報も得ており、積雪は増えたがそれほど問題ないだろうとこの時点では考えていた。今思えば小屋での昼食がターニングポイントで、結果論だが予定変更して天元台へと戻るべきだった。ある程度進んだところでシールを外して滑るつもりだったが、底が無い雪でスキーでもずぶずぶと沈むので下りラッセルが続く。斜度が出てきて少し楽になったが、今度は転倒者が続出した。深雪で転倒すると起き上がるのが難しく、体力を消耗し時間がかかってしまう。ひとり転倒するとレスキューなどで10~15分かかるので、4回であれば1時間くらいはすぐに経過してしまう。とにかく転倒しないようにと呼びかけたが、それでも転倒してしまい時間ロスが積み重なっていく。これはまずいと思ったが、もはや距離的にも時間的にも戻れないので、ひたすらラッセルを続ける覚悟をする。ようやく若女平に入って標識を見つけたのが16:15。なかなか距離を稼げない現状に、途中で日が暮れることが確実になってきた。もはや焦っても仕方ないと腹をくくることにする。



             ついにヘッデン行動になった
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             藤右エ門沢に架かる橋を除雪して渡る
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             ようやく到着
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             所用時間約11時間の山行だった
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雪が良ければツリーランとなる林間も下りラッセルで歩く。急斜面を下った先は細尾根になり、このルートの核心でもある。細尾根は東側が崖に近い急斜面なので明るいうちに通過したかったが、ついに暗くなりヘッデンを点けて通過することになった。行動スピードはさらに低下したが、ここは安全第一でゆっくり通過するしかない。疲れているK玉さんのザックは自分が担ぐことにした。何とか全員無事通過してホッとするがまだ先がある。植林地に入るとラッセルも浅くなり歩くのが少し楽になる。次の核心である「小坂」の急斜面は心配したとおり難航した。ただでさえ急なのにヘッデンでの下降である。深雪のせいでスピードは抑えられるが、転倒するとかなり面倒なことになる。ここでは疲労の色が濃いK玉さんがかなり苦戦した。しかし、ボードの経験はあるがスキーはまだ2シーズン目というM司さんはというと、こんな状況でも楽しそうに皆に声をかけてムードメーカーになっている。本来ならかなりシリアスな場面なのだが、彼女の明るさにパーティー全体が和むことによって、この局面を切り抜けることができたように思う。やっと急斜面を下降しきると残りは500mほどで、トラバース気味に藤右エ門沢へと向かう。藤右エ門沢の橋には、いかにも不安定そうな1m以上の雪が積もっている。渡るしかないので先頭の自分が渡り始めたが、突然足元の雪が崩れて沢に転落してしまった。沢までは3m近くあったが怪我もなく着水。ブーツには水が浸入したが何とか這い上がった。M司さんが橋上の雪を除雪しながら渡り後続も続いた。このアクシデントでも時間がかかり、ようやく西吾妻スカイバレーの除雪終了点に出たのは20:27だった。



                GPSトラック( 登り:赤 下り:青 )
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今回はビバークには至らなかったが、もう少し条件が悪ければそうなった可能性も否めず、自分の状況判断とリスク管理の甘さを痛感する山行となった。まだまだ未熟者であり精進が必要ということだ。自分の過去記録を読み直すと、2013年の若女平でも深雪の下りラッセルで苦労していた。まだ5年前のことなのだが、この経験を忘失していたのは本当の意味で学んでいなかったという事なのだろう。

さて、今回の各人の状況だが、M戸さんは「ヘッドランプでのスキーは初めてで大変だったが良い経験になった」とのこと。一番大変な思いをしたK玉さんは「景色に心の底から感動、技量の無さを猛省しつつ多くの助けと声掛けにずっと感動、ゴール到着時の安堵と達成感は何ものにも代えがたい、またこの素晴らしい世界に同行したい」とのこと。M司さんは「それほど疲れもなく楽しかった」とのことで流石です。スキー上級者のF井さんにはサポート役に徹してもらい助かった。ずっと最後尾でついてきた単独男性(仙台のI崎さん)には、転倒者の救出などで随分と手伝っていただき感謝。彼の感想も「楽しかった」だった。いやはや皆さん大したものだ。



by torasan-819 | 2018-01-16 00:49 | 山スキー | Comments(14)
Commented by fck_mototyan at 2018-01-17 13:06
トラ山さん、お疲れ様でした。大変なツアーになったようですね。記事を公開するのに少し躊躇したかと思いますが、同種のトラブルを防止する上で、たくさんの人が参考になったかと思います。ノートレースの深雪での時間ロスの具体的な要因や、橋に積もった雪を踏み外したのではなく中央を歩いて崩壊して転落する事があるなど、自分の認識ありませんでした。私は同じようなトラブルを無くすにはゴンドラ、リフトは使用せず、下から歩く!だと思いました。( ̄^ ̄)ゞ
Commented by 米沢の高橋です at 2018-01-17 16:22 x
トラ山さん、今年もよろしくお願いいたします。
という間もなく、13日は私たち、後追いでした。会のツアーコース赤旗立てで9:00のロープウェイで上がり、天元台の会の小屋に点検で回って北望台歩き出しは10:40でしたからだいぶ後でしたが、最低鞍部から(かもしか展望台を経由したため)太っといトレースをありがたく使わせていただきました。まさかトラ山さんパーティ御一行だったとは。
私たちは元々西吾妻小屋泊りの宴会山行で、今回はブルーシートを張って(沢のタープというより、ホームレスの人の住まい状に閉鎖して)、トラ山さんたちがまだがんばっている頃から温かく飲んで食ってしてました(スミマセン)。
14日は迷ったのですが、やはりあの大雪に敗けてしまい天元台に引き返しました。サイト拝見して正解だったと思っています。
また、私も、藤右エ門沢の橋から同じような状況で落ちたことがあります。渡りかけてすぐだったので沢岸の雪の上に落ちましたが、単独でしたし、沢の中に落ちたり、石に頭を打ったりしていたら・・・・ と思ってゾッとしました。その後はヤバそうな時には板を外して渡渉しています。飛び石があり、水量も少ないので板を投げてポールで支えて問題なく渡れます。次回?のご参考まで。
雪が多いのも善し悪しですが、少なくて遊べないよりはずっとマシですね。今年も安全に楽しく登り滑り遡行しましょう~!
Commented by 柴田です at 2018-01-17 19:20 x
中々 楽しんでますね 俺も誘ってくださいね。
Commented by teku at 2018-01-17 20:41 x
お疲れ様でした。年末は雪が少なくヤブ修行でしたが・・。
ちなみにコールテックスはアクリルベースやシリコンベースの接着面のタイプのシールを作っていますが通常のノリのタイプのシールも作っています。それぞれ長所短所があり色々作っているわけですが接着力に関しては通常のノリのタイプが優れています。コールテックスの回し者ではありませんが一応名誉回復の為申し添えます。装備は必ず長所と短所があり裏表ですのでそこを理解して選び使い慣れると良いですね。
Commented by torasan-819 at 2018-01-18 07:23
fck_mototyanさん
暗くなる前は焦りましたが、暗くなってからは開き直ってゆっくり行動しました。天候が安定していたのでその面での心配はありませんでしたし。この記事を書くにあたり、あらためて過去の事例を検索してみると、若女平では深雪やルートミスでのビバークなどがちらほら見つかりますね。我々もそうなる可能性はありましたが、夜とはいっても真っ暗にはならず雪明りでぼんやりと見えることと、ルートは何回か踏んでいるので分かっていたことから下ることができました。トレースはありませんからルートが分からなかったら厳しいでしょうね。それこそビバークするしかありません。単独の場合は自分の心配だけですが、パーティーの場合は人数分だけリスクが増します。そのことは今回に限らず十分に理解していたつもりでしたし、実はこのツアー途中でもメンバーに話していたのです。単独と違いパーティーは楽しいのですが、多人数による難しさと怖さもありますね。下から歩くというかピストンは特に未踏のルートの場合は安心確実ですね。fck_mototyanさんみたいな方ばかりであれば今回も下から登ったかも。しかし、そんな体力の人はそうはいませんので、やはりリスク管理が重要かと思います。
Commented by torasan-819 at 2018-01-18 07:47
米沢の高橋さん
そうだったんですか!天元台からはもう誰も来ないのかなと思っていました。ビバークなどしてお騒がせするようなことにならなくてホッとしました。我々が必死にラッセルしていたころは宴会ですかあ(羨ましい)。
高橋さんも藤右エ門沢の橋から転落しましたか。私だけではないのですね(笑) 橋を除雪してみてあらためて思ったのですが、とにかく細い!その上に雪が被さるように幅広く積もっているんですね。一見して雪が崩れるというか倒れそうな感じがしたので、ストックもつかずに中央をソロソロと渡ろうとしたのですがダメでした。最初から雪を切り崩しながら渡れば良かったのでしょうが、もう少しでゴールという気持ちもありましたので。これまで何度も雪の積もったこの橋を通過していたのですが、今後は気軽には渡れなくなりそうです。また情報などありましたらよろしくお願いします。
Commented by torasan-819 at 2018-01-18 07:51
柴田さん
まあ楽しみました。と言えるのも全員無事帰宅したからですが(^^;)
なかなか柴田さんに満足していただけるような企画もないのですが、これはというルートの際は僭越ながらお声がけさせていただくやもしれません。その節は宜しくお願いします。ところで最近柴田さんの情報が少ないのですが、どの辺に行っているのでしょうか?
Commented by torasan-819 at 2018-01-18 07:59
tekuさん
深雪を存分に味わってしまいました。多くのショップでは今回のコルテックスのようなノリタイプでないシールばかりを勧めると聞きます。でも厳冬期はやはりノリかなと思っています。扱いの問題もあるのですが、何人ものトラブルを見てきましたから。まあノリでもトラブルはありますけども。その辺のことは今度行ったときにでも聞かせてください。
ところで彼女が粘着力を増すために塗ったというものが何なのか不明です。ショップに勧められたのかと聞くと、ネットで探して買ったというし商品名も分からないしでかなり怪しいです。何なのか突き止めてみなければ。
Commented by デンキ at 2018-01-20 16:04 x
トラ山さん、こんにちは。
なかなか大変な山行だったようですね。

ところでコールテックスのシールですが、私も愛用していますがM司さんは何を使っていましたか?
CT40(のり面がオレンジ色)を4,5年使っていますが純正のグルーをシーズン初めに塗るだけでこれまでトラブルはありません。
通算、100回以上の張り剥がしに堪えています。
興味が有るので是非教えてください。

因みに、純正グルーは無色透明です。
Commented by 〇司 at 2018-01-21 20:26 x
こんにちは。
トラ山さんにかわりまして、コルテックス、Whizzzを使用していた本人がお答えいたします。
スキーへの張り付きが思わしくなくなってきたために、Whizzzテープを使用してリペアしました。
粘着は復活(むしろ強く)しましたが、その際に使用したシートが良くなかったようです。
純正シートの代用として、自分で購入したナイロンシートを使用していたところ、粘着が強くなった分なのか、ナイロンシートの塗装のようなものが剥がれ、ベタベタにくっついてしまっていた状態でした。(そのシートは今までは普通に使用していたものです)
純正のシートを使用していなかったわたしの責任ですね。
ご迷惑をおかけしました。
Commented by デンキ at 2018-01-21 21:24 x
○司さん、お答えありがとうございます。

なるほど、そういう事でしたか。
CT40の後釜にウイズを待機させていたので気に成っていました。
シールそのものの問題では無かったのですね。安心しました。
コールテックス、張り剥がしの際雪を付けないようにすれば粘着力にが落ちることは有りませんよね。
同行者が雑な扱いをするとすぐに剥げてきますが。

こちらは鳥海山をホームにしています。
遠方ですが此方にもいらしてください。
Commented by torasan-819 at 2018-01-22 07:47
デンキさん
ちょっと勘違いしていました。Whizzzは糊タイプなんですね。CT40のような吸盤タイプと思っていました。ワタクシの早とちりです。コルテックスWhizzzがダメということではない様ですね。グルーリペア時での扱いが問題だったようですね。M司さんコメントありがとうございました。
それでもワタクシの場合は従来のノリタイプをまだ当分は使うと思います。自分の山スキーはツアーが多いですし、様々な条件での信頼性という点で従来のノリタイプにまだ軍配が上がるかな。性格的に扱いが雑になりやすいワタクシにはその方が良いようです。あくまでも個人の感想です。
Commented by 加ト幹事長 at 2018-01-23 08:23 x
昨日パソコンを会館まで宅配してもらってセットアップ完了、試運転中です。
(ナニヤッテンダ?)
それにしても大変でしたね、お疲れさまでした。
でも深刻にならず妙に楽しそうなのである意味よかったですネ。
同行できなくて残念でした、いや~みんなタフだね(感心感心)。。
Commented by torasan-819 at 2018-01-23 23:36
加ト幹事長さん
おや?そんなことをしていて宜しいのですか?
この日は参加の皆様に新雪の天国と地獄を垣間見ていただきましたよ。
ビバークしたくなければ頑張って歩くしかないので必死の行軍でした(笑)


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