カテゴリ:本( 28 )

2016年 12月 04日
読書「富山県警レスキュー最前線」
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山岳レスキューに関しては日本一といわれる富山県警察山岳警備隊だが、その隊員の手記をまとめた本が「富山県警レスキュー最前線」だ。遭難事故について、救助する側の視点で書かれているのだが、彼らがどんな思いで捜索に当たっているのかが読むほどに伝わってきた。昭和40年に発足した富山県警山岳警備隊だが、これまで約5千人を救助してきたという。彼らに助けられた者は多いのだが、その一方、救助や訓練活動中の事故で3人の隊員が殉職しており、そのことについても触れられてる。山岳警備隊員は体力も技術も一級のレベルが求められるので、隊員を志す人は登山をある程度やっていた人達なのだろうと漠然と思っていた。しかし、本書を読むとまったくやっていなかった人もいることが分かりちょっと驚いた。体力には少々自信があった若者も、初めての訓練で打ちのめされ自分の不甲斐なさを思い知ることとなる。しかし、決意と覚悟と厳しい訓練によって、一人前の警備隊員になっていく。読んでいて胸が熱くなった。

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by torasan-819 | 2016-12-04 23:23 | | Comments(2)
2015年 12月 18日
会報725 No.46
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会報がやっと出来た。毎回のことだが校正作業に時間がかかった。始めは意気込んで作業を開始するのだが、残念ながらその勢いは続かない。作業がズルズルと後延ばしになったというわけだ。言い訳になるが、小さな山岳会にとって毎年の発行を継続するのは結構大変なことなのだ。それでも何とか年が変わる前に発行できたのは喜ばしい。会報No.46は184ページになった。2014年の山行の中から、山スキー41、雪山5、沢登り17、無雪期登山36の、計99編の記録が収められている。山スキーが多いが、その中には雪洞縦走での合宿なども含まれている。

福島登高会は華々しい山行とは無縁の山岳会だが、地元の山を中心に地道に活動を続け、その記録を丹念につけている。ネットでも記録を公開しており、会のHPでは40年前の記録を見ることも出来る。会長の編集後記には「記録はホームページや会報により、多くの登山者に還元される。それが登山界の発展に寄与し、次世代へと引き継がれ、会の発展にも結びついてゆく。」とある。そのような考えのもと、これからも会報を発行し続けたいと思うのである。

※会報の「725」という名称は、ホエーブス社のストーブの中でも小型なモデルの「725」からいただいている。かつて登山用ストーブと言えば、ホエーブスというほどの定番ストーブであった。
《 以前の会報 》 No.45 No.44

by torasan-819 | 2015-12-18 00:58 | | Comments(4)
2015年 12月 10日
読書「極限への挑戦者」
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ラインホルト・メスナーは、言わずと知れたというかなんというか、私などがどうこう論評などできようもないほど、遙かな高みにおられる(ように思える)方です。今年の冬から春にかけて読んだのだが、なんというか圧倒される思いがした。読了後に感想を書こうと思ったのだが、どうにも言葉が出てこない。いや、月並みな言葉はいくらでも出せるのだが、いざ書こうとするとまったく筆が進まない。結局そのままズルズルと現在に至る。そんな訳でもう書くのは止めた。読みたい方は是非読んでください。メスナーを特別に神格化したり、あがめ奉るつもりは無いが、少なくとも自分などはとうてい到達し得ない世界に身を置いた方なので、襟を正して読ませてもらいました。

ラインホルト・メスナー 生年月日:1944年9月17日
「ラインホルト・メスナーは、イタリア・南チロル出身の登山家、冒険家、作家、映画製作者。1986年に人類史上初の8000メートル峰全14座完全登頂を成し遂げたことで知られる。」 ※Wikiより引用

そういえば以前、メスナーの「ヒマラヤ運命の山」という映画も見ました。

by torasan-819 | 2015-12-10 22:28 | | Comments(2)
2015年 02月 19日
読書「それでも わたしは山に登る」
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田部井淳子さんの著作をまともに読むのは、実はこの本が初めてとなる。雑誌のエッセイを読んだり、テレビで話しているのを聞いたことはあるが、記憶にある限りでは著作を読んだことはない。だから田部井さんについての理解も、福島県出身で世界初の女性エベレスト登頂者ということくらいであり、テレビでの印象から気さくなおばちゃん登山家という程度の認識でしかなかった。そういえば、宮城県山岳連盟の記念行事で南蔵王の縦走があったとき、不忘山頂で一度だけ顔を見たことはあったかな。いずれにしてもその程度なのだ。

「それでも わたしは山に登る」は一昨年発刊された本で、図書館で見かけて何のきなしに借りてきた。思ったよりもというと大変失礼になるが、正直なところ読んで良かったと思えた本だった。まず文体が軽妙で気負いが無く、とても読みやすい。野山の花を語るような調子で、エベレストやアンナプルナのことを語る。極めて普通の日常的なことも、極限の環境での出来事も、田部井さんにとってはあたかも同じレベルのことのように思えてしまう。きっとこの方の人柄から来るのだろう。ごく普通でいながら静かにして熱い思いがあり、何より辛抱強く根気強くて忍耐強い。そんなところに、田部井さんの出自である東北の地域性を見てしまうのだが考えすぎだろうか。

本書では海外登山から地元のちょっとした山までの、幅広いエッセイ集となっている。前半では主に海外登山隊での出来事で、華々しい成果の陰に隠れてしまうような、ともすれば隠しておきたくなるような極めて人間臭いイザコザや悶着もエピソードとして書かれている。結局は収まるべきところに収めていくのだが、ぶち壊しにせず隊をまとめていく様子には感心してしまう。後半は東日本大震災での支援、そしてガンが見つかって余命3ヶ月と言われてからのことが描かれている。手術し抗ガン剤での治療をしながら、被災地支援のイベントや取材などに病院から直行することもありながら、淡々とその時自分に出来ることを重ねていく様は、読んでいてあっけにとられてしまう。あまりにもの淡々さに、自分は熱いものがこみ上げてきた。田部井さんはまさに「それでもわたしは山に登る」なのだ。単にポジティブという範囲を超えた、なんというのか今を受け入れつつも前に進むと言ったらいいのか。

田部井さんは人間的な魅力ある方であり、柔軟な思考の持ち主なのだろう。でなければ周囲の協力を取り付け、女子隊をまとめ率い、数々の海外高所登山を成功できはしまい。また、知名度があるとはいえ、被災地支援の輪にこれほど多くの協力者が現れることも無かっただろうと思う。周りを巻き込む力があるのだ。田部井さんは登山だけでなく、人生を軽やかに歩いていく人なんだなあとつくづく思う。とらわれることなく自由である。いやいや彼女だって人間であり、とらわれ縛られることもあるだろう。それでもまるで稜線を吹き渡る風のようだ。でも一番ぴったりな表現は「おばちゃん登山家」。いつまでもそうあって欲しいと思う。

=巻末の文章から=
力尽きるまで自分のペースで楽しく突き進む。
これが私のやり方だ。
生きていることはやっぱり楽しい。
歩くことが生きることだ。
目の前にある今を精一杯過ごすことが、わたしの歴史になってゆくのだと思う。

by torasan-819 | 2015-02-19 20:09 | | Comments(2)
2014年 11月 08日
読書「山小屋からの贈りもの」
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高桑信一氏は沢屋にして渓流釣師、カメラマンにして渓流ガイド、山村文化にも造詣が深いフリーライターだ。本書は飯豊連峰の避難小屋のひとつである門内小屋で、2012年の7月に小屋番をしたときのことを綴ったものである。自分にも馴染みのある門内小屋だが、あいにく泊まったことはない。縦走か山スキーの時に一時利用させていただいただけである。飯豊連峰の各避難小屋は夏山や紅葉シーズンに管理人が入る。その管理人は地元山岳会などのメンバーが務めるらしいのだが、ひょんなことから高桑氏が小屋番を経験することになった。山小屋それも避難小屋ということで、営業小屋ともまた違う「日常」がある。そんな日々を軽妙と言うか、時折下世話な話題も織り交ぜながらありのままに描いている。そんな文章は好き嫌いが分かれるような気もするが、自分としては十分面白いと思えた。小屋のことや縦走路を行き交う登山者、訪れる仲間との交流など、その風景が自分のことのように脳裏に映像となって浮かんでくるのである。遅読の自分としては珍しく数日で読み終えることができた。山にどっぷり浸かっている人、どっぷり浸かりたい人に読んでもらいたい一冊。



by torasan-819 | 2014-11-08 08:24 | | Comments(4)
2014年 10月 31日
読書「究極のサバイバルテクニック」
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10月下旬から11月中は外せない行事が重なり、なかなか山にも行けずにモンモンとしています。
気晴らしに読書ということで、7月から読み始めてまだ半分ほどだった書籍を読み進めます。
「究極のサバイバルテクニック」などという、B級ハウツー本にありがちな題名。
岳人に広告があったので、そう酷い内容ではないだろうと何とはなしに注文してしまった。
著者のベア・グリス氏はSAS(英国陸軍特殊部隊)にも在籍していたことがあるという、冒険家にして作家なのだという。
また、ディスカバリーチャンネルでは人気の出演者なのだともいう。
SAS出身というのが門外漢には何やら凄そうに思えてしまう。
しかし、世の中○○出身ということは当てにならないということも、経験上知っている。
そんな訳で期待半分冷やかし半分で読んでみた。

様々な状況におけるサバイバルテクニックが紹介されている。
この著者は本当にこんな様々な環境に遭遇したのかとも思うが、SASのサバイバル訓練ではそれが普通らしい。
著者はSASでサバイバルの基本から、夏山・氷点下・ジャングル・砂漠・海など、それぞれの状況で遭遇する危機に応じたテクニックの多くを身につけたようだ。
テクニックの大半は目新しいものではなく他のサバイバルハウツー本にもあるものだが、各所に著者独自の考えやコメントが載っていて面白い。
本書の中の「サバイバルの心理学」では著者の考え方が表れていて興味深い。
いわく、驚異的なサバイバル物語は「人間の気力」から生み出されている。
いわく、知識と気力のどちらかを選べといわれれば気力を選ぶ。
いわく、サバイバルできると確信することがサバイバルの最大の強み。
いわく、科学ではなく信仰が必要になるかもしれない。
なんだ最終的には気力かと思ってしまうが、やはりそうなのかもしれない。
極限状態での生と死を分けるものは。
いずれにしても自分は経験したくはないのだが、少々山をやっている自分にとって「覚悟」は必要なのだと思う。

著者は「世界は美しく広大で、力強く多様性に満ちている。それらを理解し守り楽しむ責任がある。」という。
すなわちそれが「冒険」であり、その冒険を行うがために必要なツールがサバイバルテクニックなのだ。
そういう意味では単なるハウツー本ではなく、啓蒙の書のような感さえする書籍であった。
とここまで感想を書いたが、あまり構えないでハウツー本として読むのが気楽なのかな(笑)

by torasan-819 | 2014-10-31 22:18 | | Comments(7)
2014年 06月 09日
読書「クライマー魂」

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「クライマー魂」という何ともストレートな題名に引かれた。著者は木本哲さんという方なのだが、読んで初めてこの方がクライミングの世界では凄い方であり、日本の登山界を代表するひとりなのだとわかった次第。自分はあまりトップクライマーが誰それとかいうことには疎いのだ。450ページにもなる分厚い本には、木本氏が山の世界に入り、数々の経験を経て成長していく過程が描かれている。山を始めてがむしゃらに登っていた氏が、山から学び仲間から学び、葛藤しながら成長していく。氏は「山は常に学びの場である」と書いている。それは裏山でも8000mの高峰であってもだ。また「困難を克服していく行為そのものが持つ愉しみ」とも書いている。本木氏がずっと求め続けてきたものは、冒険であり未知のものに挑戦することにより得られる強烈な「生」の実感なのかもしれない。これから真摯に山に、特にクライミングに取り組んでみようという人には好書だろう。




by torasan-819 | 2014-06-09 22:18 | | Comments(0)
2014年 06月 09日
会報725 No.45
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福島登高会の2013年の活動記録として、会報725のNo.45が先月発刊された。
出来上がった会報を手に取ってみると、厚みがありずしりと重い。
ネット全盛時代ではあるが、活字の重みというものは紙の本になってより増すように思う。

全192ページで、山スキー29、雪山3、沢登り11、無雪期登山57の、計100編の記録が収められている。
沢登りと山スキーが主体の山岳会だが近年は沢登りが減少傾向であり、会報の掲載記録数からもその傾向が読み取れる。
会員の山行は福島県内が大半で、その他は宮城山形など近県が多いのだが、小さな山も丁寧に登って記録しているのは地元の山岳会ならではだろう。

発刊時点で15名の小さな本当に小さな山岳会ではあるが、今なお週1回の集会を続けているという現代では希少種とも言うべき山岳会である。
冬山合宿、春山合宿、沢登り合宿と年3回の合宿を行っているが、小規模の山岳会としては珍しい部類だろう。
しかし、沢登り教室を毎年開催して沢登り人口の拡大に努め、震災後継続して福島県の山岳放射線量調査に取り組んでいるなど、小さいながらも特色のある山岳会でもある。

巻頭言には、「40年前、私たちが福島登高会を結成した時のように、理想を掲げ意気盛んに目標とする山岳会を作ろうとする人たちが現れる時代が来ることを願っています。」とある。
福島登高会が結成されたのは1975年8月。時代は移ろい大きく変化し、結成当時の熱き青年達も老いた。しかし、その意気は変わらず山を見つめ続けている。
将来、地域の山を四季を通じて登ってみたいと思う者が現れたとき、この会報がその一助となることを願って止まない。

※会報の「725」という名称は、ホエーブス社のストーブの中でも小型なモデル725よりいただいている。
  かつて登山用ストーブと言えば、ホエーブスというほどの定番ストーブであった。



by torasan-819 | 2014-06-09 20:40 | | Comments(2)
2014年 02月 21日
読書 「ヤマケイ入門&ガイド バックカントリー スキー&スノーボード」
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山と渓谷社の技術書とガイドブックが一体化した入門&ガイドシリーズの第4弾で、昨年11月に2,079円で購入した。
少しずつ読んでいたが、バックカントリーにおけるスキー&スノーボードの技術と知識をギュッとまとめた好書である。

63項目におよぶ技術解説は1項目が見開き2ページで、図解も豊富に使って上手くまとめられている。
また、ルートガイドも50エリアを収録してあり、まだ行ったことのないエリアをあれこれ想像してみるのも楽しい。

「入門&ガイド」というだけあって内容的には初~中級レベルなのだろうが、ベテランであっても初心に立ち返り読んでみる価値は大いにある。
技術解説編の最後の項目は「今、実践あるのみ」となっている。
本書をしっかり読み込んだなら、あとは実際のバックカントリーで実践すべしということなのだ。

by torasan-819 | 2014-02-21 00:24 | | Comments(3)
2013年 12月 07日
会報725 No.44
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福島登高会の会報725のNo.44が発刊された。
2012年の山行記録集なので9月頃には発刊と考えていたものが、校正作業などに時間がかかり12月となってしまった。
全156ページで、山スキー20、雪山2、沢登り14、無雪期登山43の、計79編の記録が収められている。
会員の2012年の全山行回数は138回なので、半分以上の山行が記録として残されたことになる。
たった14人の山岳会であり、諸事情からなかなか山に行けないメンバーも多いが、山岳会として会報が発刊できたのは喜びである。
なお巻末には、会として継続して取り組んでいる、福島県の山岳放射線量調査結果を添付している。

自分の山行記録も多数載っているが、そのすべてはこのブログに掲載したものである。
校正作業で読み返し、紙の上の活字になってまた読み返すと、まざまざとその時の状況が思い起こされる。
反芻することにより、自分の中でそれぞれの山行がより深化し、またあらたな命を与えられたような気がする。
編集後記には、「登山は計画から始まり、実行し記録として整理することによって完結する」とある。
いろいろ考えはあるだろうが、我々はそんな考え方で山に登っているのだ。

※会報の「725」という名称は、ホエーブス社のストーブの中でも小型なモデル725よりいただいている。
  かつて登山用ストーブと言えば、ホエーブスというほどの定番ストーブであった。

by torasan-819 | 2013-12-07 09:57 | | Comments(0)