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2009年 07月 23日
風雨の飯豊連峰縦走(その2)
19日(日)
予定コース 御西小屋~御西小屋~北股岳~地神北峯~頼母木小屋

山小屋の朝は早い。午前4時前に目が覚めた。しばらくシュラフの中にいるが、あたりの人がゴソゴソ起きだしたので、我々も起きる
ことにした。我々の朝食はピラフだ。足りないカロリーは、各自持参の行動食で補充する。昨日夜、パーティーで打ち合わせを行い、
今日の天候が回復しないのであれば杁差(エブリサシ)岳まで行く予定を短縮し、門内(モンナイ)小屋か頼母木(タモギ)小屋に泊ま
ることとしていた。さて今朝の天気はというと、相変わらずガスがかかっているし風もある。予定の短縮を決定し、目標を頼母木小屋
に変更、状況によってはその手前の門内小屋に泊まることも考えることにした。

湿気でデジカメ1台が不調に。もう1台はバッテリー温存と動画撮影のため、画像の撮影は控えることとした。そのため画像が少ない
です。それでなくとも激しい風雨で、まともな画像は撮れませんが。



6:10 出発
出発は小屋に泊まっていた人達の中でも遅い方になってしまった。他の人達は縦走の予定を変更し、下山に向かった人達もいるよ
うだ。小屋にザックを置き、サブザックで大日岳までピストンという夫婦もいた。我々はガスの中、主稜線を北に向かって歩いていく。
登山道がまだ雪渓の下になっている箇所が多い。雪渓の縁か平らになっている肩を歩くか、雪渓の上の斜面を高巻くか。その都度
判断しながら歩いていく。昨日歩けた雪渓が今日も歩けるとは限らない。ガスがかかって雪渓の先や下部が見えないと、なおさら
スリリングで正直怖い。何よりルーティングがいきおい難しくなる。何度も戻っては確認しつつ歩く。
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7:45 御手洗ノ池
8:53 烏帽子岳(2,017.8m)
登山道が稜線の東斜面の場合は、ウソのように風が当たらず歩くのも楽だが、稜線に出ると西から吹き付ける激しい風にさらされ
る。雨も横殴りの雨で顔に当たると痛いほどだ。晴れていれば飯豊連峰の雄大な眺めが得られたのであろうが、今日ただ白いガス
があたりを覆っているだけである。途中、御西小屋で話しかけてきた新潟の年配者4人パーティーを追い越す。どうやら彼らも、
頼母木小屋泊まりを考えているらしい。しばらく強風の中を歩いていると、2人連れが追い越していった。後でわかったが、新潟の4
人のうちの2人だった。
風雨の飯豊連峰縦走(その2)_f0170180_0585444.jpg


9:23 梅花皮岳(2,000m)
9:46 梅花皮小屋
梅花皮(カイラギ)小屋で休憩を取ることにする。先ほどの2人を含めて数人の先客がいた。ここで500キロカロリーほど体にチャー
ジする。体温を保つには、カロリーを取り行動することが大事だ。そのうち新潟の2人は遅れて到着した2人と合流し、また出て行っ
た。我々はゆっくりと30分近く休憩を取り、また風雨の中に身を投じる。梅花皮小屋の管理人によると、門内岳前後の稜線は激しい
風だという。覚悟の上だが、あらためて気を引き締める。門内小屋に着けば、そこで泊まるのも可能だ。

晴れていれば、梅花皮小屋のすぐ前からは石転び沢が見えるはずだが、もちろん今日は何も見えない。この石転び沢は、雪渓
の長大さでは日本有数の雪渓ルートだ。だが、事故が一番多いのも石転び沢らしい。落石や滑落、ガスがかかってのルートミスな
どだ。でも、いつか登ってみたい。先週梶川尾根の滝見場から石転び沢を見て、怖いと思うと同時に登ってみたいという気持ちが沸
いてきた。しばらく歩いていると、再度新潟の4人パーティーに追い着いたので、先に行かせてもらうことにする。

10:39 北股岳(2,024.9m)
11:28 門内岳(1,887m)
11:32 門内小屋
飯豊縦走路の中間あたりに位置する北股岳を過ぎると、門内岳までは下りが多くなる。途中男性2人のパーティーとスライドする。
門内岳から下ると門内小屋はすぐだ。2週連続して訪れた門内小屋だが、ガスがかかって風が強いのは同じだ。しかし、今日の風
は先週よりずっと激しく、しかも雨まじりだ。K・Yさんが小屋の利用を申請に別棟の管理小屋に向かうが、風にあおられなかなかた
どり着けないのが何か可笑しかった。笑い事ではないのだが。

小屋の中は、休憩と昼食を取る人達で混雑していた。誰しも考えることは同じ。我々はしばらく小屋の状況を観察したが、なかなか
スペースが空きそうもない。おそらく風雨の状況を見て、このまま泊まる人達も多いだろう。我々は相談し、このまま頼母木小屋まで
一気に縦走することにした。3人とも体力気力に問題はない。強風だが、ここまでも、登山地図のコースタイムより速く歩いてきた。
風と休憩を考慮しても、3時間あれば十分到着するはずだと判断。そうと決まれば話は早く、我々は小屋で一度も腰を下ろすことな
く、再度稜線の風雨の中に身を投じた。


12:02 扇ノ地紙分岐
12:53 地神山(1,849.6m)
門内小屋を出てから扇ノ地紙(オウギノジカミ)分岐まで、2人の単独行者とスライドした。男性と女性1人ずつ。この荒天の中、女
性の単独行者がいることに少々驚いた。この女性とは言葉を交わし、門内小屋までの時間を教えた。扇ノ地紙分岐の登山道が凹ん
でいるところで休憩とする。ちょっとの凹みでも風当たりが全く違う。疲労を抑えるためには、なるべく風にあたらないことが必要だ。
凹みに身をかがめて行動食を食べる。登山者の声が聞こえ、こちらに来るかと思ったが、どうやら分岐から梶川尾根を下山していっ
たようだ。

扇ノ地紙分岐を過ぎ、地神山の手前からさらに風が強くなったように感じる。激しい風雨が西側から吹き付け、斜面を上がってくる。
まさに雨が下から降るとはこのことだと実感した。そんな激しい風雨でも、ゴアテックスの雨具は我々の体を守ってくれる。もちろ
ん雨具の下の体は、汗や風で浸入した雨で濡れているのだが、風で体温が奪われるということを防いでくれる。もちろん、行動し
続けることが必要だが。ゴアテックスでなければ、これほどの行動はできないであろう。高機能ウエアに感謝せねばならない。

風がさらに強くなって問題が発生した。S・Hさんのザックカバーが吹き飛ばされそうになる。後続のオイラが何度なおしても同じだ。
スリングをカバーの上から回して胸で縛るが、それでもあまりの強風で徐々に剥がされてしまう。K・Yさんのザックカバーも少し剥
がされ、数度なおしたが、オイラのザックカバーは最期まで大丈夫だった。ちなみにオイラのザックカバーは○ン○ルだ。

13:15 地神北峰(1,790m)
14:01 頼母木山(1,720m)
14:16 頼母木小屋
地神北峰は、丸森尾根への分岐があるところだ。明日はここから下山することになる。今回の山行で、地神北峰から頼母木小屋まで
の風が、もっとも強かったような気がする。あまりの風の強さに、手をつき耐風姿勢で何度耐えたことか。先を行く2人も、風にあお
られまっすぐには進めない。2人は何度も何度も風に打ち倒される。オイラは体重のせいか、2人ほどは倒されないが、それでもヨ
ロヨロとやっと進むありさまだ。風速は確実に20m以上、25mくらいになるときもあっただろう。これほどの風の中を歩いたのは、オ
イラにとって生涯初めてだった。でも体力気力はまだまだ萎えていない。闘える。しかし、風との奮闘のせいで歩みは遅い。今回の山
行で、登山地図のコースタイムより時間がかかったのは、門内小屋から頼母木小屋までの区間だけだった。

頼母木小屋では、若い管理人さんがわざわざ管理小屋から出て迎えてくれた。この小屋に今日着いたのは我々が初めてだという。
もともと宿泊者は他の小屋に比べ少ないらしい頼母木小屋だが、さすがに今日は予定を変更した登山者が多かったのではないかと
思う。頼母木小屋は管理料が1,500円でビールは700円。他の小屋より安いのが嬉しい。小屋の1階にウエアなどを干す。寝るの
は2階にした。今日この小屋にたどり着くのは我々3人だけかと思っていたら、年配の夫婦が小屋に到着した。丸森尾根を上がっ
てきたという。旦那さんは別にしても、小柄な女性が今日の天候で歩くのは大変だったであろう。でもその2人は、さほど疲労の色も
ないようだった。かなり山慣れしている夫婦なのであろう。

我々の今日の夕食は、アルファ米とレトルトカレーにフリーズドライの卵スープ。この小屋は別棟の管理小屋の前に水が引かれてい
て、ふんだんに使うことができる。しかし雨のせいで少し濁っている。そのまま飲むのははばかられるが、熱を加えて料理に使うには
問題ない。年配の夫婦も夕食の準備を始めた。なんと焼肉をやるようだが、赤い丸缶に入った大柄なストーブを使い始めた。K・Yさ
んがホエーブスの725でしょうと話しかける。旦那さんによると40年ほど使い続けているというが、大切に使われ手入れがされてい
るせいか、きれいで状態が良い。ここまで使い込んでもらえれば、道具も幸せというものだろう。

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18:00就寝
結局この日の小屋は、我々と夫婦の2組5人だけだった。新潟の4人パーティーは現れなかった。高齢者のパーティーでは、この
風の中を縦走するのは困難だろうし、突っ込んでいなければいいがと心配になった。この小屋に向かおうとしたその他の登山者も、
天候により中止あるいは変更をしたのだろうと思う。さすがに今日は疲れた。食事を済ませると、S・Hさんが2階に上がっていった。
K・Yさんとオイラはそれからしばらくの間、持参の焼酎とウイスキーを飲みながら話していたが、さすがに眠くなってきた。外もまだ
明るいしちょっと早いとも思うが、寝ることにして2階に上がる。明日はぜいたく言わないから、せめて風がおさまって欲しい。

データ
行動時間 6:10~14:16 8時間06分
歩行距離 13.4km(GPS値)
累積標高差 +849m -1,209m(GPS値)

その3に続く…

by torasan-819 | 2009-07-23 17:02 | | Comments(2)
Commented by pot at 2009-07-24 01:43 x
気力体力充実ってかんじですね。
今年夏の集大成でしょうか、次が楽しみです。
でも新潟のパーティが心配・・
Commented by torasan-819 at 2009-07-24 07:05
potさん
新潟のパーティーの行方は、その3で明らかになります。
お楽しみに~


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