2009年 07月 24日
20日(月) 予定 頼母木小屋~地神北峰~丸森尾根~飯豊山荘 昨日早く寝たせいか、午前1時15分に目が覚めてしまった。疲れてはいても、普段の習慣からか長く寝ることができない。外では風 がビュービューと吹いている。朝までに止んでくれればいいのだが。雨音が聞こえないので、雨足は弱まったようだ。暗闇の中、シュ ラフにくるまり、まんじりともせずに過ごす。小用をしたくなり、ヘッドライトを付けて外のトイレへと向かう。雨は降っていないが、相変 わらずガスが濃い。 頼母木小屋のトイレは、真新しいバイオトイレできれいだ。排泄物(大)はおが屑と混ぜて生物分解する方式のトイレだ。そのために トイレ内に車輪の無い自転車のようなものが置いてあり、用を足したら前に20回以上、後ろに10回以上ペダルを漕ぎなさいとある。 その回転力でおが屑を撹拌する仕組みだ。小用の場合は、別処理になっていて、ペダル漕ぎは必要ない。トイレ協力金を入れる。 小屋に戻りシュラフに潜るが眠れない。しょうがないのでヘッドライトで登山地図を眺め、あれやこれや考えてみる。昨日の夜は暑い くらいだったが、今日はちょっと寒いくらいに感じる。小屋内の登山者が少ないこともあるだろうが、外気温も低くなっているのだろう。 そうこうしているうちに、いつの間にかまた眠ってしまった。 4:30頃 起床 二度寝から目が覚めると、外が薄明るくなっていた。起きることにする。出発予定は午前6時なので、十分な余裕がある。朝食はア ルファ米でのカニ雑炊とお茶。乾いていないウエアを片づけ、パッキングをする。毎日グチョグチョの登山靴を履く。気が滅入るがい たしかたない。 6:25 出発 ほぼ予定どおりに出発する。雨は降っていないが、ガスはまだ濃いのでカッパを着る。空が明るいので、天気の回復を期待する。昨 日強風の中を歩いた縦走路を、今日は逆に歩く。風が無いだけで、我々の足取りも軽い。西側のガスがサッと晴れた。飯豊に登って 初めて見る西側の風景だ。昨日登る予定だった杁差岳と、杁差小屋も見えてきた。急峻な山肌と深い沢が見える。飯豊の一部だが、 やっと目で感じることができた。 地神北峰に向けて歩いていると、向こうから4人の登山者が歩いてくる。新潟のパーティーだ。ほどなく接触し話しをすると、やはり 余りの強風に縦走を中止し、門内小屋に泊まったという。他にもそんな人達がいて、昨日の門内小屋は混んでいたようだ。彼らは これからエブリ差し岳まで行き、足の松尾根を降りるのだろう。昨日の遅れを取り戻すべく、小屋を早立ちして歩いて来たのだろう。 オイラも72歳になったとき、はたして飯豊の稜線に立てるだろうか?いや、立ちたいものだ。人生の、そして山の先輩である彼らに エールを送りたい。飯豊の3日間で何度も会い、そしておそらく、下界ではもう2度と会わないであろう彼らに。 7:16 地神北峰 地神北峰は丸森尾根へ下る分岐でもある。いよいよ主稜線を離れて山を下りるのだ。下り始めて少しすると、悔しいことに晴れてき たではないか。もう少し早く晴れていれば、もう少し遅く出発していれば、飯豊の峰々を眺めることができたのに。残念だがしかたな い。また登ろう。山とはそういうものだ。遠くに朝日連峰が、雲海の上から頭を出していた。 8:09 丸森峰 雨は降りそうもないし暑くなったので、少休憩を取りカッパを脱いだ。南側に見える尾根は、先週ピストンした梶川尾根だ。扇ノ地紙 のピークからすーっと延びている。丸森尾根には水場が1箇所だけある。夫婦清水といい、ここで水を補給した。丸森尾根も急な下 りというか、厳しい下りが多い。同行の2人はダブルストックだが、オイラはダブルアーム(自分の腕)だ。その方がオイラの場合、動 きやすくて良い感じなのだ。言葉で急とか激しいといっても、やはり自分で歩いてみないと飯豊の尾根道の厳しさはわからないと思 う。他の山だって急登はいくらでもあるだろうが、それが続く距離が違う。だからこそ登りがいのある山なのだ。 丸森尾根では、登ってくる人が7~8人いた。日帰り山行とおぼしき人や、泊まり装備の人など。女性の単独行者が1人いて休んで いた。今日は梅花皮小屋まで登るという。70歳くらいに見える単独の男性も登ってきた。登り方からして、かなりの健脚と見た。飯 豊には様々な人が登ってくる。ダイグラ尾根を始めとして、梶川尾根も丸森尾根もツアー登山など受付はしない。皆自分の飯豊に登 りたくてやってくるのだ。 S・Hさんが足の指が痛くて辛そうだ。昨日岩にぶつけたのが、今日になって痛み出したという。歩けないわけではないので、ゆっく り目に下ることにする。やがて飯豊山荘の屋根が見えてくる。普通の山だったら、斜め下に見えるという感じだろうが、飯豊は尾根道 が急なので、まさに「下」に見えるという感じだ。近そうに見えて、実は見えてからが長い。かなり時間がかかる。それでも少しずつ 高度を下げ近づいてくる。 10:55 丸森尾根登山口 やれやれやっと到着した。膝がガクガクだ。下山すれば我々の目的はひとつ。風呂に入ることだ。早く3日間の汗を流したい。登山 口のすぐ真ん前が飯豊山荘なので、ここの風呂に入りに行く。500円也。いや~気持ちがいい。源泉かけ流しの温泉だ。風呂から 上がれば飯だ。ちょっと奮発して岩魚焼定食にした。1,680円也。岩魚の塩焼きとフライが美味い。 帰路は心地よい疲れと共に、充足した気持ちで運転しながら帰ってきた。何とも満ち足りた気分だ。初めての3人パーティーで、足 手まといになったり、迷惑をかけることなく縦走できたこと。天候は悪かったが、それもひとつの経験とできたこと。そして、なんとい っても飯豊の懐深く、どっぷりとつかることができたこと。またこよう飯豊に。ガスで見えなくたってかまわない。急登を登り、そし て下り、自分の足で、飯豊にひととき居させてもらいに来よう。 データ 行動時間 6:25~10:55 4時間30分 歩行距離 6.5km(GPS値) 累積標高差 +254m -1,468m(GPS値) 合計 歩行距離 34.8km(GPS値) 累積標高差 +3,305m -3,301m(GPS値) あとがき… 今回の縦走は、激しい風雨をおして歩きました。実施するか中止するかは、その時の「現場」の様々な条件により、そのパーティー が自ら判断すべきものであり、そのパーティーしか判断し得ないものです。このブログを読んでいただいた方には、こんな山行もあ ったのだという程度に受けとめていただきたいと思います。 最期に、北海道トムラウシ山、美瑛岳で遭難され亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
by torasan-819
| 2009-07-24 22:39
| 山
|
Comments(4)
Commented
by
utinopetika2 at 2009-07-25 21:30
様々な想いを巡らせ、登られる方が多いのでしょう。
思いつきで登られる方は少ないような気がします。 人を拒むような山ではないとはいえ、やはり厳しそうです。 まして悪天候なら、尚更ですね。
0
Commented
by
torasan-819 at 2009-07-25 22:30
utinopetika2さん
日本の多くの山がそうであるように、飯豊山も信仰の山です。 昔も今も形こそ違えど、人は山から何かを感じるのでしょうね。 なにも山頂を目指すだけが山登りではないですから、飯豊もやり方ではゆったりとした登り方で楽しめるはずです。
Commented
by
pot
at 2009-07-27 10:47
x
Commented
by
torasan-819 at 2009-07-27 21:58
|
アバウト
カテゴリ
以前の記事
2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 more... お気に入りブログ
お山遊び 裏のお山で雪とたわむる ... 山より道具 草花と自然Blog Digital phot... ebiyanの南東北 山... 駅風呂やめました本舗 白石まちづくり Mixture アルコールストーブを創ろう 思い出を残して歩け。 フォトハウス in 福島 Six O'Clock kaiの気ままに山系アウ... mellow life 植野稔の自然遊悠学 イワ... 山について語るときに僕の... マウンテン・ソング・ブック ☆ Happy Pho... 日々是精進也 山ノート S H O P H O T O バイクで行く旅。2 山の子 ことりはうすブログ マロのページⅡ 山と野と ほわほわ山登り THE NATURE T... 宮城南部便り 農家の嫁の事件簿 +(ぷらす) yamaoyazy?の山歩記 ちょいと川へ のんびり写真館 水戸葵山岳会(会員による... tabi & photo... Mountain Rose -Enjoy Natur... Climb & Ride 新・自然遊悠学 伊藤知之のスキー通信 mountain nev... 船形山からブナの便り(ブ... 仙台山想会 紺碧の空へ あんだんて♪の、人生の忘... tabi & photo... 蔓兵衛の山と庭の日々 点描3 最新のコメント
メモ帳
マロのページⅢ
あの山に登ろう 自然に飛び込む~山形の自然満喫日記 すうじいの時々アウトドア みちのく遊山 はなゴンの中年まったり山登り みやぎ山・スキー日誌 いんちょの山登り Coffee Break 福島登高会(新) 福島登高会(旧) 白峰会 大江山岳会 本庄山の会 西川山岳会 フィエスタの谷 エコプロ のんびり~な日々 山田沢田岩田 petit message Toby's blog 煙突おじさんの山スキーと釣り 地図センター 飯豊朝日連峰の登山者情報 飯豊朝日連峰の麓から それゆけ とーちゃん ほんねのね 東北の山遊び 豊後ピートのブログ しぎはらの山々日誌 福島フォーラム ウォッちず きのこ専科 hebereke様の本格的登山隊 HITOIKI Blog 山と海の記録 あかねずみの月山だより 目指せ!立派なテレマーカー 東北の山~鳥海山 東北アルパインスキー日誌 専門天気図アーカイブ soloist 山道具道楽 まったりアウトドア 沢の風と空 その空の下で。。。 沢胡桃 登山用品店teku_teku ぶなの会 扉のページ 山で会えたら 山人小屋 逍遙溪稜会 山めし礼賛 熊プーの生活 山釣り紀行 東風の雑記帖☆「あしたはあした」 sanpei.soragoto まったりアウトドア 山の天気 飯豊族 山スキー・山登りと徒然日記 朋友会 fwix-rope 四季の山野草 春夏秋冬~東北の山巡り~ YASUHIROのマウンテンワールド 阿部氏のページ オドサマの採集食生活 野人に戻ろ 恒さんの"気ままに山歩き 山形の山や自然を写真で紹介 逍遙の四方沢話 那須の山だより ぽこけん WINDY EXCURSION 最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||