2010年 06月 27日
============================================================ 山域山名 飯豊連峰・鉾立峰(1,573m) 大石山(1,562m) 頼母木山(1,708m) 地神北峰(1,790m) 丸森峰(1,540m) 山行期間 2010年6月20日(日) 山行形態 一般登山 地形図 飯豊山・長者原・えぶり差岳 天候 曇り 参加者 3名(L:トラ山、Uさん、八○さん) 行程 朳差小屋5:29~鉾立峰5:56~大石山6:50~頼母木小屋7:40-7:51~頼母木山8:11~ 地神北峰8:52-9:02~丸森峰10:22~夫婦清水11:22-11:49~天狗平13:39 行動時間 8時間10分 移動距離 10.1km 累積標高差 +676m -1,882m ============================================================ 合計移動距離 30.5km 合計累積標高差 +3,235m -3,253m ============================================================ 飯豊の3日目も午前4時頃目が覚める。昨夜は9時過ぎに一度目が覚め、その後も何度か目が覚めてしまった。夜はずっと風が吹き時折雨が小屋の壁を叩く音が聞こえていて、うつらうつらしながら朝には風雨ともにおさまるだろうと何となく考えていた。外の様子をうかがうと、弱くはなってきたようだがまだおさまっていない。今日は5時に出発予定としていたが、少しでも天気が回復してからと考え出発を30分繰り下げることにする。今朝は各自の行動食を雪渓の水で作ったコーヒーで流し込み簡単な朝食とした。同宿した2組のパーティーに別れを告げ小屋を後にする。 ガスってはいるが空も明るいしそう悪くはない。いくらか風があるのがかえって爽快だ。昨日来た道を今日は逆にたどる。朝のすがすがしい空気のなか、ハクサンイチゲの花を見ながら歩くのは気持ちが良い。今回歩いた稜線では、大石山の足の松尾根分岐の少し南にあるハクサンイチゲの花畑が一番だった。既に頼母木小屋から来たという2人連れがカメラを構えていた。我々(八○さん除く)もしばし撮影に熱中した。私のカメラは小さなコンデジだが、Uさんは重いデジタル一眼を持ってきたのでここぞとばかりに撮っていた。 ガスはあるが雨は降っていない ウズラハクサンチドリは葉の模様が特徴的だ ハクサンイチゲの群落 計画では扇ノ地紙まで縦走し、そこから東に梶川尾根を下ることにしていた。梶川尾根の滝見場から石転び沢と梅花皮滝を見たかったのだ。しかし今日もガスがかかっているし、出発を遅らせたこともあり予定より時間がかかっているので、梶川尾根より40分ほど手前の丸森尾根から下山することに変更した。飯豊でも稜線からなら結構携帯が通じるので、山岳会に下山ルート変更について報告した。これで安心して丸森尾根に下れる。 振り返って見た朳差岳山頂はガスの中だった 頼母木小屋に着いたので休憩する。管理人さんにあいさつをしジュース(500円)を購入。甘い飲み物は久しぶりだが山だと特に美味い。小屋に昨日泊まったのは2パーティーだったとのこと。頼母木小屋は他の小屋より泊まる人は少ないようだ。空いていることが多いので穴場であるともいえる。 振り返り見る頼母木小屋 熱心に撮影するUさん 地神北峰への登り 地神北峰の分岐で東に折れると丸森尾根ルートだ。すぐ急傾斜の雪渓になるが、前方も左右も先の方はガスの中だ。先がどうなっているのかよく分からないのは怖い。アイゼンを付けて下るが、その急勾配に否が応でも緊張感が高まる。昨年7月に1度だけ丸森尾根から下ったことがあるが、その時は雪渓はなく道なりに下ればよかった。しかし今日は雪渓とガスでルートがよく分からない。しかも滑落したらどこまで滑るのか見当も付かない。とりあえず慎重に真っ直ぐ降りながらルートを探ることにした。 アイゼンを装着する いちばん急な斜面 少し登り返した 慎重にトラバースする 自分が先行して降りルートを探るが見つけられない。そのうちガスがいくらか薄くなり、下の方が少し見えてきた。沢と尾根がガスの合間から見えたが、どうももっと左だということで八○さんとも意見が一致した。UさんのGPSでもやはり左に登山道があるようだ。石転び沢以上ではとも思えるほどの急斜面というか雪壁とも表現できる斜面を、アイゼンとピッケルでゆっくり左にトラバースする。やがて何となく見覚えのある尾根が見えてきた。そして登山道の一部が現れている箇所を見つけた。近くには誰かのピッケルの跡もあるではないか。最近ここを通っている人がいるらしいとわかって少し安心する。さらに雪渓を下り登山道へと出た。やれやれと3人で一息つく。見上げれば稜線に突き上げる雪渓の上部の方がグンと急になっている(後で他の記録を見たらここをグリセードで下るのだという。う~んやるには勇気がいるなぁ。)が、その下はいくぶん斜度が緩くなる。いずれにしても全員無事下れたことにホッとすると同時に、もっとガスっていたらどうなっていただろうかと思う。迷ってしまう可能性もあっただろう。 登山道を見つけたぞ~ ここまで来ればホッと一安心 稜線は相変わらずガスの中だが、谷を挟んで南側にある梶川尾根が見える。いい景色にUさんはしきりにカメラのシャッターを切っている。景色を眺めているとふと気付いたことがある。沢の豊富な雪渓全体から霧が湧いている。それが沢の斜面に沿ってふわふわゆらゆらと昇ってくると、霧が霧を呼び合い集まり徐々に濃くなり、稜線近くのガスへと合わさっていくのだ。つまり雪渓がガスを生んでいるようなのだ。ということは雪渓が多くて気温がそこそこ高い日は必然的にガスが発生してしまうのだ。特に今日のように風の無い日は。こんな目の前で起きている自然の動きに気づけるのも、山登りをしているからこそであろう。 谷の向こうは梶川尾根だ ガスが湧き上がってくる アイゼンを外し登山道を歩き始める。再び雪渓が現れたが勾配はさほどでないのでそのまま下る。今度は余裕があるので勢いをつけて登山靴でスケーティングなど遊んでみる。丸森峰のあたりで登山者が休んでいるのが見えた。近寄ってみると男女2人で声をかけると丸森尾根を登ってきたという。今日は地神山をピストンの予定で来たが、雪渓を見てどうしようかと考えていたという。アイゼンとピッケルがないと危険ですよと話し我々は先へと進んだ。 最後の雪渓歩き 振り返ると稜線はガスの中だった 登山道は樹林帯の中へと入っていく。後から先ほどの2人が引き返してきたのが見えた。標高を下げると気温がぐんぐん上がり、樹林の中では風も当たらないので汗を絞られる。手持ちの水はもう無い。やっと水場の夫婦清水に着いたので休憩とする。水場は登山道からすぐのところにある。この時期は雪渓の雪解け水で冷たくて美味い。思わず頭からかぶると生き返るようだ。ただしこの夫婦清水は時期によってはちょろちょろ程度になってしまうから要注意だ。ところで下山中もただ歩いているわけではない。なにげに周囲に目を配りウド、コシアブラ、シドケを手に入れることが出来た。 サンカヨウ 垣間見える梶川尾根 ツバメオモト 尾根道をひたすら下る タムシバ 白いイワカガミ 後はひたすら下るのみ。標高が800mを切ると尾根道は岩尾根となり展望が開ける。かなりの急勾配(場所によってはほとんど崖)なので、手足をフルに使って降りるところも多い。八○さんは相変わらずひょうひょうと下ってくるが、Uさんはこの激しい下りに少々面食らっていたようだ。しかしこの上り下りがあるから、場違いなハイキング気分の輩は登ってこないし、本当に山好きで飯豊に登ろうという意志のある人しか登ってこないのだ。それにしても飯豊山荘の屋根が見えてからの長いこと長いこと。下れども下れどもいっこうにたどり着かないような気さえする。しかしそれでもいつかはたどり着く。13:39無事3人が下山できた。お疲れ様と握手する。 厳しい下り 下るにつれ晴れてきた あと一息だ ついに下山したぞ 飯豊山荘の温泉で3日間の疲れと汗を流す。気持ちいいことこのうえない。この充実感がなんともいい。食事はソバしかできないと言われたが、それでも我々にとってはごちそうだ。久しぶりに下界のソバをすするとこれまた美味い。今回は天候には恵まれなかったが、各々想い出に残る山行になったのではないかと思う。特に飯豊も本格的なアイゼンピッケルも初めてのUさんにとっては味わい深い山行となったことだろう。下山してからも余韻の残る山というものがある。飯豊はまさしくそんな山であるといえるだろう。 また登らせてもらおう飯豊に! 縦走ルート軌跡
by torasan-819
| 2010-06-27 16:36
| 山
|
Comments(4)
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utinopetika2 at 2010-06-28 22:26
「振り返ると稜線はガスの中だった」・・・この後姿、安堵と蕭条を感じさせますね。
本当にお世話になりましたぁ~長く楽しい山旅となりました。 ちょっぴり疲れたけど・・・体に刻み込まれた記憶っていいものですね。
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torasan-819 at 2010-06-28 22:38
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leviathan05 at 2010-07-06 23:59
以前からこちらのブログは拝見させていただいてましたが、(たぶん)初めてコメントさせていただきます。
この記事の1週間後(6/26)に足の松尾根から大石山・頼母木山付近へ行ってきました。 ハクサンイチゲはすでに散り始め、花期には遅かったようです。 代わりにヒメサユリやニッコウキスゲのつぼみを見つけてきました。 今、こちらのブログを見ていて、また登りたくなってきました。 ^^;
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torasan-819 at 2010-07-07 23:19
leviathan05さん
初めましてようこそ! そちらのブログも拝見させて頂いてました。 画像がきれいですね~憧れます。 カメラも腕も違うのはわかってますがそれにしてもです。 足の松尾根を歩かれているのですね。 そのうち飯豊でお会いできるかもしれないかな? これからもよろしくお願いします。 |
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