興味があって手に入れたものの読んでいない本が沢山ある。
手に入れてしまうと安心してそのうち読もうとなってしまう。
その辺に積み重ねておくからこれを「積ん読」という。
さて胆石で入院中は時間があったのでこの機会に読もうと何冊か持ち込んだ。
そのうちの1冊が「奇跡の6日間」だった。
アメリカの27歳の青年アーロン・ラルストンは2003年4月26日、単独でユタ州ブルージョン・キャニオンを探検していた。彼にとって難しくはないスロットキャニオン(岩の割れ目が水で浸食されて回廊のような空間ができたもの)を通過中に、突然落ちてきた岩に右腕を挟まれて身動きができなくなってしまう。来る人も希な場所で助けを呼ぶ方法もなく、ただ時間だけが1日、2日と過ぎていく。脱出するために手持ちのクライミング機材で工夫して試みるが岩を動かすまでは至らない。手持ちの水も残りわずかとなったときに彼は自分の尿さえ飲んで生き延びようとする。しかしそれさえ時間稼ぎにしかならずいったんは死を覚悟するが、彼は極限の中である決断をし実行する。そして6日目に奇跡的な生還を果たすのだ。ここまで書くと画像の義手の青年を見ればおおよその想像はつくだろう。アーロン・ラルストンは自分で自分の骨を折り、ナイフで皮膚を切り筋肉を切り動脈と神経を注意深く切断して自らを岩のくびきから解き放ったのだ。彼は様々な事を論理的に思考し常に最善の方法を考え実行しているが、つい読みながら自分だったら?とは考えずにはいられなかった。そういう現実に直面(したくはないが)しない限り自分がどう行動するかなんて分かりはしないのだが、自分も山登りをしているだけに色々と考えてしまう。350ページを超える本だがベッドの上で1日で読んでしまった。アーロン・ラルストンは半年後にはクライミングに復帰している。画像にあるようなピッケル形状の義手で冬山の氷壁も登攀した。彼には大人しくするという言葉はないようだ。