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2011年 05月 09日
鳥海山(吹浦口コース) ~ 2011年5月6日
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山域山名   出羽山地 鳥海山(新山)(2,236m)
山行期間   2011年5月6日(金)
山行形態   山スキー
地形図    鳥海山
天候      晴れ
参加者    3人(L:和○さん、長○さん、トラ山)
行程      大平小屋(6:15)~御浜小屋(8:50)~七五三掛(9:51)~千蛇谷(10:18)~大物忌神社(11:40-12:07)~
         新山(12:19-12:40)~七五三掛(13:30)~御浜小屋(14:17)~大平小屋(14:45)
行動時間   8時間30分
移動距離   16.0km
累積標高差 +1,500m -1,500m
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震災以降、しばらくは休み無しに働く日々が続いていたが、この頃やっと落ち着いてきた。しかしなかなか気持ちが山に向かわない。体も心も疲れていたからだろうか。でも山に登れば山から元気をもらえるはず。よし、山に登ろう。和○さん達が鳥海山に行くというので、相乗りさせてもらうことにした。神楽ヶ峰が3月6日だったから、ちょうど2ヶ月ぶりの山になる。2ヶ月の間に体重も4キロ以上増え、腹回りもだいぶボテッとしてきた。体をシェイプするのは大変だが、鈍るのは短時間であり簡単である。そんなわけで体力に一抹の不安を抱えながらも、1年ぶりの鳥海山に向かうことにした。

鳥海山の山スキーは、昨年湯ノ台口コース百宅口コースから登っている。今回は私のリクエストもあり、吹浦口(ふくらぐち)コースとなった。日本海を背にして鳥海山の西側の鳥海ブルーラインから登るルートだ。4月28日に開通したばかりの鳥海ブルーライン(鳥海公園吹浦線)だが、まだ全線開通ではなく国民宿舎大平山荘(1,000m)までとなっている。しかも駒止(548m)にあるゲートから大平山荘までは夜間通行止(17:00~8:00)となっているので、行程に余裕を持たせるため前日出発となった。交通規制については、山形県道路規制情報などから情報を事前に得ておきたい。

5日午後4時過ぎに大平山荘に到着。ここから上は終日通行止めで、開通は5月11日になるようだ。今夜は山荘の手前にある駐車場にテントを張らせてもらうのだが、既に同じ目的らしい車が何台も駐車していた。テントを張って宴会しているパーティーから少し離してこちらもテントを設営。その他のグループは車中泊らしい。テントに入りこちらも午後5時過ぎから宴会だ。いつもは簡単にすませることの多い食事だが、今日は長○さん(女性)がレタス鍋を振る舞ってくれた。食べながら飲みながら話しをしているうちに夜は更けていく。午後9時過ぎに就寝。





                    大平小屋からスタート
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                    高度感のある伝石坂の登り
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6日午前4時半過ぎに起床。今日も快晴のようだ。食事をしテントを撤収して準備をすると、たちまち6時を過ぎてしまう。既にスタートした人もいるようだ。大平山荘の斜向かいにある、無人小屋の大平小屋脇から雪面に上がる。道が開通していれば夏道の登山口(1,080m)から登るらしいが、今日はここからになる。6:15スタート。斜面の上から顔を出し始めた朝日がまぶしい。鳥海ブルーラインのカーブを、右から巻くように小尾根を登る。カーブのところで休憩している男女2人パーティーを抜くと、ほどなく急斜面に取り付くことになる。鳥海山でも屈指の休坂とされる伝石坂だ。昨日融けた雪面も朝は凍っているので、ジグを切りながらゆっくりと登っていく。斜面の途中で一息ついていると、ツボ足の若者が追い抜いていった。

                    暑くて汗が噴き出る
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                    日本海をバックに雪原を行く
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                    月山と鳥海湖
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                    御浜小屋
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1,300mあたりでひと息ついていると、先ほどの男女2人が追いついてきた。旦那さんらしき男性は山スキー三昧らしくて顔が真っ黒だ。もうひと登りすると斜度も落ち着く。以前はこの辺りに電波反射板があり、良い目標になったらしいが今は撤去されて無い。陽があたっているところは雪が柔らかくなってきたようだ。ピークを左から回り込むように登ると、左前方に昨年登った稲倉岳が見えてきて緩斜面に変わる。この先は樹木が1本も無い広大な雪原が広がる。ガスった時は迷いそうだが、赤の小旗が設置されている時はそれを目印にできる。雪渓には溝や段差もなく、なだらかな雪面が切れ目無く広がっていて、どこでも滑ることが出来るように思える。雪原ハイキングを楽しんで、いつしか稲倉岳が左手下に見えるようになってくると御浜小屋も近い。やがて扇子森への尾根に乗ると新山と外輪山が見えてくる。右手に空にぽっかりと月山が浮かんでいるように見えてきて、視線をそのまま下に移せば雪に覆われて真っ白な鳥海湖だ。御浜小屋は屋根近くまで雪に埋もれている。数人のスキーヤーが中で休憩中のようだ。我々は小屋の先で休憩とする。この辺りでやっと行程の半分を歩いたことになる。

                    左手に稲倉岳
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                    七五三掛から千蛇谷へ
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                    慎重にトラバース
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長○さんは山スキーを今年始めたばかりだが、そうは見えないほどスキーの扱いも慣れたものだ。しかし、今日はちょっとペースが上がらないようなので聞くと、股関節が痛むという。だましだましゆっくり登ろうと声をかける。今日は時間に余裕があるので、このままでも山頂まで行けるだろう。扇子森のピークを左からトラバースすると、いったん50mほど下ってからまた登り返すと七五三掛(しめかけ)に着く。このまま登れば鳥海山の外輪山へと続くが、今日は千蛇谷へ急斜面をトラバースして降り、千蛇谷から新山へと登る計画だ。40度以上はあるだろう斜面には、スキーとツボ足の浅いトレースが見える。しかし、まだ10時前の日の当たらない斜面は凍っている。滑落すればずっと下の千蛇谷まで止まらないだろう。スキーでのトラバースを避け、スキーを担ぎ、ブーツにアイゼンを付けてトラバースすることにした。かなり緊張感のあるトラバースだが、10分以上かけて慎重に歩き無事通過。和○さんは以前ここで滑落した人を見たというが、斜面に突起物がないので案外ケガはしないらしい。ここのトラバース中に、我々より上の方から斜面を降りてくる単独男性がいたが、足下がスノーシューなのには驚いた。この男性はトラバースを終え千蛇谷への降り口で5~6m滑落。後ろに続いていた自分は吃驚したが、ケガはなかったようでひと安心。しかし、スノーシューでここの斜面はかなり無理がある。千蛇谷へ降りてやれやれと休憩する。

                    千蛇谷を登る(左手ピークが新山)
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                    外輪山の岩肌が迫る
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                    大物忌神社に到着
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                    七高山を望む
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                    新山山頂
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千蛇谷を登っていくと右には外輪山の壁が覆い被さるようにそそり立ち、左前方には新山の荒々しい岩山が見える。千蛇谷は外輪山に沿ってゆるやかに左へ巻くように登っていく。後方を見れば千蛇谷を登ってくる山スキーパーティーが見えた。冬季限定の中島台ルートを登ってきたのであろう。自分も今年登りたかったが来年の課題としよう。千蛇谷には外輪山の雪庇が崩壊した大きなデブリが谷の中央近くまで落ちている。あまり右には寄らないようにしよう。それにしても良い天気で、谷にいると雪面の反射で四方八方から焼かれるようだ。2ヶ月ぶりの山スキーで、だいぶ疲れを感じてきた足に活を入れ登る。長○さんも頑張って足を運んでいる。新山に方向をとり急斜面をひと登りすると、雪に埋もれた建物の屋根が見えた。その屋根は大物忌神社で11:40到着。山頂まではあとひと登りだが、腹も空いているので昼食とする。日だまりでしばしの休憩の後、トレースをたどり右から巻くように山頂を目指す。12:20に到着した山頂には荒々しい岩が屹立している。岩の上に立つと360度のパノラマが広がる。東には外輪山の七高山が間近に見え、祓川から登ったのであろうか人が見える。

                    新山から千蛇谷へ
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                    長○さん
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                    和○さん
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                    千蛇谷雪渓を自在に滑る
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                    稲倉岳と中島台
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                    大平山荘が見えてきた
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山頂には長居せず下りることに。新山と外輪山との鞍部に滑り降り、新山の急斜面をトラバースしながら千蛇谷に降りる。そこからは美味しいバーンの滑降が始まる。一度に滑り降りてしまうにはもったいないほどのロケーションだ。何度か立ち止まりお互いを撮影しながら滑降を楽しんだ。七五三掛のトラバースは気温が上がって雪が緩んできているが、スキーではまだ厳しい。再びアイゼンを付けての緊張のトラバース。その後疲れた足にこたえる扇子森の登りをスキーを担いで歩き、御浜小屋の手前で休憩。眼下に広がる北斜面で数人が滑っているのが見える。このあとは下る一方で快適な滑降が続く。大雪原を3人で後に先に右に左に自在に滑る至福の時間。途中で2人連れのテレマーカーと前後する。やがて霞んではいるが日本海が前方に見えてくる。周りに見えるのは青空と海と雪原だけだ。スキーを流していけばやがて伝石坂の急斜面。最後のひと滑りを楽しんで林を抜けると14:45大平小屋に到着した。スキーを外して車まで歩くと、8時間以上におよんだ今日の行程も無事終了だ。股関節が痛いのに最後まで頑張った長○さんお疲れ様。我々を引っ張ってくれた和○さんに感謝。大平山荘で入浴(420円)し汗を流してさっぱりした。鳥海ブルーラインでお土産にフキノトウを採り帰路についた。

                    ルート図(和○さん提供データ) 赤:登り 青:下り
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by torasan-819 | 2011-05-09 07:27 | 山スキー | Comments(10)
Commented by 煙突おじさん at 2011-05-12 08:58 x
冒頭の写真が良いですね。
最近は鳥海山に行っていませんが
あの時の感激がよみがえって来ます。
七五三掛のトラバースの緊張感が伝わってきます。
やはりアイゼン装着が正解ですね。
Commented by utinopetika2 at 2011-05-12 10:00
2ヶ月ぶりの山は素晴らしい山行になったようですね。
景色が素晴らしいです。
雪解けが進んだ頃、また行ってみようかと思いました。
Commented by Toby at 2011-05-12 11:46 x
すっばらしいですね!二ヶ月ぶりの復帰、最高の青空♪山も粋なお出迎えしてくれましたね。
真っ青な空と白い鳥海、あぁいいなぁ♪( ´▽`)
ぼくらも狙ってたんですよ。予定が狂わなけりゃ、この日反対側をアタックしてるはずでした。
また晴れてくれないかなぁ(>人<;)
Commented by torasan-819 at 2011-05-12 20:22
煙突おじさんさん
鳥海山は様々なルートがあっていろんな楽しみ方が出来ますね。
今シーズンあと2回は行きたいと思っています。
久しぶりに登ってみませんか?
Commented by torasan-819 at 2011-05-12 20:23
utinopetika2さん
鳥海山は眺めてよし、登ってよし、滑ってよしですね。
まだ夏の鳥海山に登ったことがないので、今年は登ってみようかと思っています。
Commented by torasan-819 at 2011-05-12 20:26
Tobyさん
祓川を予定してたようですね。
まだまだ大丈夫ですからリベンジしてはいかがでしょう。
こちらは今度の日曜日にまた鳥海山に行こうかと思っています。
Commented by lc4adv at 2011-05-13 07:52
山スキーならではの絶景ですね。
滑降したくない気持ち判ります。
自分の山スキー経験は吾妻・安達太良・会津駒、尾瀬ぐらいで、鳥海だけは一度行きたいですね。
Commented by torasan-819 at 2011-05-13 12:40
lc4advさん
そうなんですこの絶景にハマってしまったんです。
スキーは相変わらず下手な自分ですが、景色を見たくて行ってしまうんです。
会津駒は行ったことがないので今年考えていたのですが、来シーズン狙うことにします。
この時期の鳥海山はツボ足の登山者もいるので、是非登ってみてください。
今月中に飯豊も考えています。
Commented by yossy1904 at 2011-05-14 13:37
われわれもGWの締めに鳥海を狙ってましたが、残念ながら悪天候で断念。6月第一週あたりでリベンジ予定ですが、それが板洗いになるかもしれません。
今月中の飯豊といえば、石転び沢っすか?
こちらは来週、清川行人小屋へまったりスキーツアーです。
Commented by torasan-819 at 2011-05-14 22:24
yossy1904さん
タイミングなんですよね~
実は明日鳥海山と考えていたのですが、天候が今ひとつなのでやめました。
今シーズンは月山に行ってないんですよ。
清川行人小屋に乱入しようかな(笑)


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