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2011年 07月 10日
蔵王振子沢 ~ 2011年7月10日
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山域山名   蔵王・濁川振子沢
山行期間   2011年7月10日(日)
山行形態   沢登り
地形図    蔵王山
天候      晴れ一時曇り
参加者    4名(L:ナマステさん・odamakiさん・Sさん・トラ山)
行程      賽ノ磧8:34~振子沢出合9:20~振子滝10:11-10:30~下段落口10:52~上段落口11:11-11:40~
         お釜外輪13:00~お釜湖畔13:10-13:27~濁川源頭13:40~濁川(大黒天下)15:15~大黒天15:24
行動時間   6時間50分
移動距離   未計測
累積標高差 未計測
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今年もナマステさんから声がかかり、昨年行った振子沢に同じ7月10日に登ることになった。自分は昨年に続き2回目の参加だが、この企画は毎年この時期の恒例となっているようだ。振子沢は蔵王のお釜から発する濁川の支沢のひとつであり、変化に富んでいながらも長靴でも登れる比較的易しい沢だ。振子沢という名称の元にもなっている振子滝という上段と下段の二つの滝があり、どちらも細い水流が落ちてくるときに風に揺られ、右に左に振れる様が振子のように見えるので振子滝といわれているようだ。




遅刻して賽の磧(さいのかわら)の駐車場に着くとSさんが1人。やがて大黒天に車をデポしてきたナマステさんとodamakiさんが戻りメンバーがそろう。今日のこの4人は、昨年の振子沢6人パーティーのうちの4人。Sさんは昨年振子沢で沢登りを初体験し、沢登り1年ぶり2回目が今年の振子沢だという。原発事故の避難民でもあるSさんだが、久しぶりの沢登りにいたって元気そのもの。

                    振子沢を正面にひよどり越えを下る
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                    ヤマオダマキ
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                    振子沢の出合(手前の流れは濁川)
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                    振子沢を登る
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駐車場から舗装された遊歩道を歩くと濁川右岸の最上部。かもしか温泉の索道が残るここは展望台にもなっていて、ほぼ目線の位置で対岸の振子滝がよく見える。ひよどり越えを濁川に向かって下っていくと、道の脇にヤマオダマキが咲いていた。濁川に下り上流へ向かうとすぐ振子沢と出合う。それほど水量が多くないので、渇水時期はうっかりして行き過ぎないよう注意したい。振子沢は濁川の左岸を直登していくので、取り付きからずっと段差や小滝を登り高度を稼いでいくことになる。しかし振子滝までは小滝しかなく、岩も比較的滑らないので長靴でも登る人がいるくらいだ。

                    難しいところはなく楽しく登れる
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                    振子滝の下で休憩する
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今日は梅雨明けも思わせるような青空で、首の後に日差しがピリピリと刺すように熱い。吹き出る汗を拭いもせず無心に沢を登るのが楽しい。やがて沢が平坦になると前方に振子沢が見えてくる。下の方ではもう終わりに近いタニウツギの花も、この辺りではちょうど満開だ。1年ぶりに会う振子滝だが、今日は風が無いので昨年とは違って水流は真っ直ぐ落ちてくる。滝の前で休憩にするが、女子からはサクランボやらラスクやらいろいろ出てくるので、こちらはテルモスに詰めてきた冷たいシャーベットをお返し。この暑い日に頭が痛くなるほど冷たいシャーベットはヒットだった。

                    下段の滝を巻いたところで
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                    タニウツギと振子滝
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                    ウラジロヨウラク
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                    上段の振子滝
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                    落ち口を左下に見ながらトラバース
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振子滝は上段と下段の2つの滝があるが、どちらも30~40mほどの高さがある。下段は右岸を巻くが岩がもろいので、落石には十分注意しなければいけない。滝の上に巻き上がると展望が広がり、左手には不帰ノ滝がどうどうと水を落としているのが見える。流れを横切り上段の滝を巻くため左岸の急斜面を登るが、この斜面は滑りやすいので滑落しないよう注意したい。上段の滝の落ち口の高さになったら、トラバースして落ち口を目指す。ここもロープを出すほどではないが、万が一足を滑らせれば真っ逆さまなので慎重に歩きたい。

                    落ち口の上で休憩
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                    蔵王とは思えない景観
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                    落ち口の岩
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                    岩稜地帯を登る
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                    アオノツガザクラ
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                    オノエラン
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落ち口の少し上で昼食休憩とする。周囲にはアオノツガザクラ、アカモノ、イワカガミなどが咲いている。落ち口を見に行くと、水流が岩で跳ね上がりジャンプするように落ちている。落ち口から下まで岩を伝うことなくずっと空中を落ちる振子滝の水流は、この落ち口の形によりそうなっていることがわかる。ここから上流は雪渓により磨かれたのであろう滑らかな岩が続いていて、独特の景観を形作っている。自分はなるべく水線通しで歩いていくが、女子は岩尾根歩きで先に進んでいく。ナマステさんはといえば後からのんびり歩いてくる。途中にあるゴルジュ区間は、水線通しで登るのは難しいので右岸の岩を歩く。そういえば昨年見事に咲いていた黄色の花キンコウカが、今年はまったく咲いていないことに気付いた。どうも今年は開花が遅れているようだ。

                    先行する女子2人
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                    雪と水の造形
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                    紫と白とその中間のハクサンチドリ
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                    気品あるコマクサの花
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                    コマクサ以外は生育できない環境
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二俣のところでそのまま右を行けば五色岳とロバの耳尾根の間の鞍部に出るが、今日は二俣の間の岩尾根を歩くことになった。地面が砂礫になってくると高山植物の女王といわれるコマクサがピンクの花を咲かせている。今日はこのコマクサに会いに来るのも目的のひとつなのだ。みんな思い思いにコマクサの写真を撮る。小さいコマクサも多いので踏まないように注意しながら歩く。それにしても何故コマクサは、こんな厳しい環境のところで生きているのだろうか。地面はザクザクの砂礫で根を張るのも大変だろうに。

                    ロバの耳岩
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振子沢の右俣を挟んで北側にはロバの耳の尾根だが、ロバの耳の頂部に4人の人影があるのを見つけた。手を振ると向こうも気づいて手を振り返してくれる。他にもロバの耳尾根からお釜へトラバース中が2人いた。現在では正規のルートではないこんな所を歩くのは、よっぽどの好き者だろう。もちろん我々が人のことは言えないのだが。そんなこんなで結構時間を浪費してしまい、昨年よりかなりゆっくりなペース。お釜の外輪東側は急ではあるが、沢靴でも登れる程度の斜面となっている。しかし岩質はもろくて崩れやすいので注意が必要だ。一部のエクストリームな人達は、冬季にお釜から振子沢を滑るらしいが、確かにこのお釜東側斜面は広大で面白そうだ。滑るならどんなラインかと想像しながら歩くのも楽しい。午後になって少し曇ってきた。雨が降るかもしれない。

                    水辺へと下る
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                    腰まで入ってみるoさん
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                    エメラルドグリーンのお釜の水
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                    お釜の縁を歩く
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崩れやすいお釜東側斜面を登っていくと、お釜外輪のピーク五色岳の少し北側に出た。外輪を反時計回りに歩き、お釜の水辺へと降り立つ。とうとう心配していた雨が降ってきたが、思い切って昨年出来なかったことをやってみた。それはお釜で泳ぐこと。思ったより水が冷たくないので気持ちよく泳げたが、こんなバカをやったのは自分だけ。さっぱり?してずぶ濡れのままお釜の縁を周ると、また陽が差してきた。

                    濁川の源頭部
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                    小滝の懸垂下降
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                    濁川を下降する
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大黒天までは馬の背に登り刈田岳を経由してもいいが、今日は昨年同様濁川を下降するつもり。ただし源頭部から忠実に下降すると、小滝ながらハング気味でロープが必要となる滝が2箇所ある。支点が取りにくいのだが、上の滝は残置シュリンゲ、下の滝は転石を利用し支点とした。その後の濁川両岸は今も激しい浸食と崩壊が続くもろい岩質で、蔵王の多彩な自然地形の一面を見せてくれる。

                    大黒天へと濁川右岸を登る
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途中で休憩していると地下足袋の青年が追いついてきた。大黒天から濁川に降り、濁川の左岸を登って五色岳を周り戻ってきたという。濁川の左岸から五色岳へのルートはちょうど気になっていたところ。そのうち歩いてみよう。さらに下降して濁川の右岸急斜面をひと登りすると、エコーライン脇の大黒天に出た。デポしておいた車に乗り込み賽の磧に戻ると、今日の振子沢ツアーも終了となる。帰りは遠刈田温泉で汗を流して帰った。

振子沢は沢登りとしては比較的易しい沢だが、振子滝や上部の岩稜帯など特徴のある地形、可憐なコマクサなどの花々、見慣れない角度からのお釜、濁川の荒々しい景観など、短いながら変化に富んだ山旅が楽しめる秀逸なルートだ。そんなところを歩かせてもらっているのだから、踏み荒らすことのないよう心して静かに歩きたいものだ。

※今回ルート図は作成しません。地形図を見ながら自分なりにルートを想像するのも楽しいと思います。

by torasan-819 | 2011-07-10 22:00 | 沢登り | Comments(10)
Commented by utinopetika2 at 2011-07-14 21:19
いいですねぇ~。
行ってみたかったなぁ~。
開けた明るい沢登がいいですね。
Commented by yossy1904 at 2011-07-14 21:33
3年前に遡行しましたが、第2振子滝のトラバースは少々怖かった記憶があります。
でも、そこから上は明るく開けて楽しい岩登りになるんですね。
そして最後はコマクサの群落・・、ん~、また行きたくなりました。
Commented by NON at 2011-07-14 23:27 x
来年は、蔵王振子沢ツアー参加希望です(=^_^=) ヘヘヘ

その時は、私にもテルモスアイスご馳走してください~
Commented by torasan-819 at 2011-07-14 23:41
utinopetika2さん
また機会があると思いますよ。
お声掛けしますのでよろしくです。
Commented by torasan-819 at 2011-07-14 23:43
yossy1904さん
そちらのブログの記事も読み返してみてましたよ。
同じ沢を書いても人それぞれポイントが違いますね。
蔵王にも沢は沢山ありますが、変化に富んだこの沢は秀逸だと思います。
Commented by torasan-819 at 2011-07-14 23:44
NONさん
あら~もう来年の予約ですか(^^ゞ
アイスOKですよ。
ところで石転び沢を登るとか…
Commented by maro4070 at 2011-07-15 07:03
んん、行きたかったなぁ~。
先日は、ロバちゃんから振子沢だけ眺めてた。
おらぁ、工事用ヘルメットだよ。(^_^)v
Commented by odamaki at 2011-07-15 19:19 x
頭がズキズキする程のキンキンのアイス、山で食べれるなんて最高でしたよ^^!
トラさんのお釜で泳ぐ姿がUPされていないのは残念だなぁ~
Commented by torasan-819 at 2011-07-15 22:54
maro4070さん
1日違いでしたね~
マロさんは今年はまだ沢登りしてないようですね。
夏はやっぱり涼しい沢でしょ!
Commented by torasan-819 at 2011-07-15 22:56
odamakiさん
小生のは見苦しくて出せません(^◇^;)
やはりアップに耐えられるoさんでなければ…
また沢登りしましょうね!


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