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2012年 03月 16日
![]() ====================================================================== 山域山名 吾妻連峰 吾妻山 五色沼(1,810m) 山行期間 2012年3月11日(日) 山行形態 山スキー 天候 晴れのち曇り 参加者 2名(L:佐○さん、トラ山) 行程 福島7:30=除雪ゲート前7:10-7:24~スカイライン横断8:27~水飲場8:41~山鳥山9:37-9:48~井戸溝10:17~ 慶応吾妻山荘分岐10:41-10:45~大根森11:14~五色沼・大岩11:40~ガンチャン落とし上部11:57-12:15~ 家形山避難小屋12:27-12:48~(続く) 行動時間 ? 移動距離 ? 累積標高差 ? ====================================================================== 吾妻連峰には多くの山スキールートが存在する。日本の山スキーの草創期といえる1920年代後半から、東京の大学山岳部などが五色温泉を拠点にし、ツアーを行うようになったのだという。しかし、以前はもてはやされたルートであっても、時代の移り変わりと共にほとんど使われなくなり、もはや完全に失われてしまったルートもある。今では五色温泉からツアーをしようなどという人は皆無だろう。なお、五色温泉は古い温泉であり華やかな時代もあったようで、その歴史を調べてみると興味深い。五色温泉から家形山へは登山道が延びているが、スキールートは登山道をある程度なぞりながらも、随所にスキーなりの線形となっていたようだ。家形山の東側には「ガンチャン落とし」という斜面があり、その名称に興味が湧き一昨年から滑ってみたいと思っていたのだが、クラシックルートを知ったことにより、どうせならガンチャン落としから五色温泉まで下りてみようと考えた。ネットで探しても近年このルートに踏み込んだ記録は、我が会の2009年の記録のほかには1件しか見あたらなかった。ネットに記録がすべてアップされるわけではないが、いずれにしても訪れる人は極端に少ないのだろうと思われた。そんなルートなので、事前調査のつもりもあり昨年11月20日に登山道を歩いてみたが、登山道でさえ自然に還りつつあるような状態だった。2009年にこのルートを下りた和○さんにこの計画を話していたところ、付き合ってもらえることになり11日の計画となった。これでルートの不安は解決されたと大船に乗ったような気になっていたところ、急に和○さんが行けなくなり佐○さんと自分の2名パーティーとなってしまった。和○さんから2009年のGPSデータはもらったが、山の状態は行ってみなければわからない。家形山から五色温泉まで7km以上にもなるルートを下り始め、家形避難小屋を過ぎれば、何かあったとしてもエスケープルートは無いのだ。救いは今日の天気予報が晴れで、風も穏やかということ。天候が原因で足が止められる心配は無さそうだ。よし大丈夫だろうと自宅を出たが、その時は今日のツアーが困難なものになるとは想像もしていなかった。 通行止めチェーンの先へ除雪作業が進んでいる ![]() 真っ青な空に雪の白が映える ![]() 始めは佐○さんトップで ![]() スカイライン横断地点 ![]() 福島市内で佐○さんを乗せると高湯温泉を目指す。今日参加出来なくなった和○さんだが、五色温泉で下山を待ち高湯まで送ってくれるという。お陰で五色温泉に車をデポしておく手間が省け、大変有り難いことだ。市街地を外れると、昨夜から今朝にかけて降った雪が路面を覆い始める。高湯温泉から上は雪が深くなるが、なんとか除雪終了点のゲートに到着。ゲートの先に延びている磐梯吾妻スカイラインは、4月8日開通に向け今シーズンの除雪が始まったようだが、日曜の今日は作業も休みだ。ゲート前で車を回し路肩に寄せて止める。準備をしながら見上げる空は真っ青で雲ひとつ無く、木々の枝に積もった雪がきらきらと輝いている。いつもどおり登山道沿いに登り始める。今日は我々が一番乗りのようだ。昨日のものと思われるトレースは、スノーシューのものだけ。それでもトレースが無いよりましで、軽いラッセルで標高を上げていく。新雪のふんわりと乾いた軽い雪に、何か心弾みうきうきしてくる。初めの数百mは佐○さんトップだが、交代してもらい少しは若い自分がラッセルを引き受ける。今日はかなりの長丁場なので、意識的にペースを遅くする。途中でバテるわけにはいかないのだ。スタート時に忘れたビーコンチェックのため立ち止まったくらいで、ほとんど休まずスカイラインの横断箇所まで登る。続いていたスノーシューのトレースだがここで途絶える。一息入れて佐○さんが放射線測定をする。 山鳥山よりうっすらと見える家形山 ![]() 大柿さんの緑布 ![]() 雪に埋もれた井戸溝の橋 ![]() 慶応吾妻山荘の分岐 ![]() スカイラインから上はノントレースとなる。雪も深くなり15~20センチ程度のラッセルとなるが、軽い雪なのでこのまま続けられそうだ。すっかり雪に埋もれた水飲み場の小沢も過ぎ、べた打ちされている緑布を目印に歩く。この緑布は慶応吾妻山荘の大柿さんが毎年付け直しているもので、ルートを誤る心配がないのでなんとも有り難い。正面に家形山が見えてくる山鳥山で、また一息入れ放射線測定。雪で橋が埋まっている井戸溝を過ぎ、登りをひと頑張りすると慶応吾妻山荘の分岐だ。昨日から泊まり客が無いらしく、山荘の案内板には定休日との看板。新雪ラッセルはあるものの、ここまで計画通りの時間で登っていることを確認する。このまま五色沼まで一気に行くことにする。 大根森も今年は雪が多い ![]() 大岩手前の急登 ![]() 五色沼の大岩 ![]() 氷結の五色沼 (クリックで拡大) ![]() 家形山 ![]() 山荘分岐からもノントレースだが、ラッセルの深さはそれほど変わらない。急斜面をトラバースして登り上げると大根森だ。ここはいつ来ても風で雪が飛ばされ地面が見えているのだが、今日はほとんど雪で覆われている。眼下にはこれから下るクラシックルートの樹海が見えている。急斜面をジグを切りながらもうひと登り、尾根に出ると家形山が間近に見えた。五色沼の大岩到着は計画より20分早かった。ラッセルがなければずっと早く着けただろう。ガンチャン落としは、ここと家形山の間のコルの北斜面のことだ。コルまで何とか雪がつながっていたのでスキーで下る。無線で和○さんに予定どおりであることを伝える。見上げる家形山の北東斜面はべっとりと雪が付き、滑れば楽しそうにも思えるが、この斜面は過去に雪崩で何人も亡くなっているところ。近くにはその遭難碑がある。さらにこれから向かう家形山避難小屋は、以前は家形ヒュッテという2階建ての立派な小屋があったところで、家形ヒュッテは数度の雪崩の結果、結局取り壊され現在の避難小屋が後年建てられたのだという。だから今でも家形山避難小屋のことを、家形ヒュッテと呼ぶ人は多い。家形山北東斜面とガンチャン落としはそんな斜面なのだ。なお、当時の家形ヒュッテについては野原森夫氏のHPが詳しい。 ガンチャン落としのコル ![]() シールを外して滑降準備 ![]() ガンチャン落としを見下ろす ![]() 新雪の下はガリガリのバーン ![]() 滑ればあっという間のガンチャン落とし ![]() 雪に埋もれた家形山避難小屋 ![]() 佐○さんがガンチャン落としの斜面を見て、今年は雪が多いせいか斜度が緩く見えるという。いつもなら滑り出しがもっと急だということらしい。見るとなるほど30度ほどの一定勾配で下の樹林帯まで続いている。しかも長さは思ったほどではない。斜面は固いバーンの上に、昨日からの新雪が薄く乗った状態。雪崩が怖いので雪質チェックの結果、現時点では安定していると思うが、余計な斜行はせずに直線的に滑ることにした。自分が最初に飛び込むが、数ターンしてバーンに引っかけ大転倒する。佐○さんも同じようなところで転倒。雪質の変化についていけないとこうなる。あっという間に斜度のあるところは終わり、スキーを流すとすぐ家形避難小屋に着いた。到着は12:27だが、計画では12:30にしていたのでここまでは予定どおりだ。 口を開けている小沢もあり気を抜けない ![]() 急斜面はフカフカの雪 ![]() 沢筋に入ってしまう ![]() 自分は家形山避難小屋に来るのは初めてだ。しかしネットで見たどの冬季画像よりも、深い雪に埋もれているように思う。今年は降雪の最盛期が1ヶ月遅れている感じなのでその影響か。天気も良いし風も穏やかとくれば、外でのランチタイムが楽しい。もっともパンと飲物程度なのだが。さていよいよツアールートをたどることにする。とはいっても辺りを見ただけでは、どこがルートなのか皆目わからない。頼りは地図とGPS、そして3年前に一度だけ下った佐○さんの記憶。何度もこのルートを下った和○さんでさえ、3年前のラインはかなりロスがあったという。そのことを踏まえての推奨ルートを和○さんが教えてくれたので、地図とGPSに入れてきたのだ。それによると家形山避難小屋からしばらくは登山道をたどらず、もっと左へ進路を振るのだという。そのつもりではいたのだが、地形図からはわからないうねりや小沢が多く、それらを右に左に避けているうちに、結局登山道の辺りを通ることになってしまう。それどころか思いこみから急斜面を降りてしまい、沢筋に入り込んでしまった。ルートミスと思ったが時既に遅し。スキーで登り返すのはもはや無理。ツボ足で登り返すくらいならと、そのまま沢の左岸をトラバースすることにした。 ガンチャン落とし~五色温泉ルート(和○さん案) ![]() 沢に降りたらという考えもあるが、沢床はどこで口を開けているかわからない(事実下流で口を開けた箇所があった)し、再度斜面を登り返すのに適当な取り付き箇所が見つかるかどうかもわからない。左岸の斜度がかなりきつい。もしスキーのエッジを外せば、そのまま沢床まで落ちるだろう。我慢して慎重にトラバースを続け、斜度が緩くなったところで上に登るつもりだった。ところが前方に、さらに急なルンゼ状の斜面があらわれる。これはとても越えられそうにない。もはやトラバースを断念し、その場からツボ足で直登するしか方法がなくなった。雪の斜面に足場を作りスキーを外す。ところが佐○さんが、スキーを外しているうちに1本流してしまった。幸い数メートル下の木で止まったが、そうでなければ15mほど下の沢床まで落ちてしまっただろう。こちらは佐○さんの数m上で成り行きを見守っていた。佐○さんがスキーを拾うため体を動かしたと思ったら、「あー」という声を発して佐○さんが滑り落ちていきすぐ姿が見えなくなった。思わず「佐○さん!」と叫んだ自分の声が雪山に吸い込まれていった… =後編へ続く=
by torasan-819
| 2012-03-16 01:42
| 山スキー
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Comments(5)
>思わず「佐○さん!」と叫んだ自分の声が雪山に吸い込まれていった…
>=後編へ続く= これは次号が楽しみだ!
0
まるで山岳小説を拝読しているかのようです。
続編・・・はやくぅ~
後編のアップをお待ちしております。
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