2016年 10月 15日
日帰りの沢で食指の動くところはないかと探していたところ、逍遙溪稜会の今年7月の記録が目に止まった。それは飯豊連峰三国岳の大白布沢本流の御沢であり、記録を読む限りでは手頃な沢のように思えた。天気が良い予報の9月30日はたまたま休みであり、呼びかけに応じた会の若い女性と一緒に行く計画を立てた。しかし、29日夜に蔵王でキノコ採りの遭難者捜索の要請が入り、30日をキャンセルして2日間の捜索活動に携わった。10月2日は空いたので、あらためてメンバーを募り御沢に向かうことにした。 山域山名 飯豊連峰 一ノ戸川支流 大白布沢本流(御沢)左俣 山行期間 2016年10月2日(日) 山行形態 沢登り 天候 曇り 参加者 3人(L:トラ山・K樹・T葉) 行程 御沢野営場7:08~タカツコ沢出合7:33~大滝下8:22~大滝上8:35~大岩4m滝9:21~二俣10:04-10:24~ 登山道12:44~疣岩山12:56~三国岳13:22-13:50~御沢野営場15:40 行動時間 8時間32分 移動距離 11.8km 標高 最低点540m 最高点1,654m 装備 日帰り沢装備(ロープ30m×2) 御沢野営場よりスタート 大滝への遊歩道 大白布沢に入渓 右からタカツコ沢が出合う 5m滝 6m滝 川入の御沢野営場に車を停める。駐車場には結構車があり、登山準備中の方もちらほら。事務所に登山届を置いて遊歩道を歩き出す。遊歩道は大滝まで続いていて、夏や秋には大滝へのトレッキングイベントもあるようだ。8分ほど歩くと右へ登山道を分ける。大滝まではそのまま真っ直ぐ2.3キロとの表示。遊歩道は堰堤の脇を越え川原を歩くと右岸に移るが、ウォーミングアップがてらそのまま大白布沢を遡行することにした。小滝を越えると右からタカツコ沢が出合う。タカツコ沢は一昨年紅葉時期に遡行したことがある。釜のある5m滝、6m滝と続いて現れるが容易に越えられる。 3段12m滝 遊歩道渡渉点 左下に長滝が見える 赤ペンキマーク 大滝(20m) くねった3段12m滝が現れ、つるんとした岩だが水流脇を登ることができる。滝上に出ると遊歩道が沢を横切り、岩に大滝まで1.5キロとのマーキング。このまま大滝まで遡行しようかとも思ったが、時間が読めないので遊歩道を歩くことにする。途中で左下に長滝が見えるが、確かに傾斜が寝ていて長く見える。やがて遊歩道は沢に降りると、安全のためとはいえうるさいほどの岩の赤ペンキマークが興ざめである。大滝上部が見えてくると、ペンキマークは右岸枝沢に誘導するがそのまま進む。5mほどの滝を2つ登るり大滝の下に出ると、右岸から遊歩道が合わせる。大滝の高さは20mほどだろうか。観察すると右壁を登れそうではあるがロープは必要になる。右岸から巻くことにして取り付くと踏み跡があり、途中からトラバースして難なく落ち口の上に出た。 正面枝沢を見て右へ屈曲 2段6m滝 7m滝 3条5m滝 6m滝 左岸枝沢8m滝 大岩4m滝 ちょっと遊んでみる ゴーロが見通せる 正面に急峻な沢筋が見えるが、これは長坂峰へ駆け上がる枝沢で、本流は右へ90度以上屈曲する。短いゴルジュの出口は2段6m滝で、微妙なスタンスに立ちこんで取り付き登る。すぐの3m滝を越えると釜のある7m滝を右壁を登る。続いて3条5m滝と6m滝も右壁から登ると、沢は狭くなり小滝が続く。左岸にチムニー状8m滝の枝沢を見送ると、沢はやや開けたゴーロとなる。大岩4m滝を左から越えると、前方へ続く沢が見通せるようになる。短く日帰りの沢とはいえ、飯豊の沢の片りんが感じられる風景だ。 狭い7m滝 左岸枝沢多段滝 ゴルジュになる 6m滝 5m滝 5m滝 6m滝 4m滝 ひと跨ぎほどの幅しかない 幅狭ゴルジュを振り返る 狭い7m滝は左岸がスパッと立っているが、左壁から容易に登ることができる。左岸の豪快な階段状の枝沢を過ぎると、両岸が立って迫り威圧感を感じるゴルジュとなる。岩が詰まったような6m滝を越えると、それ以降も同じような滝が続く。沢はいったん開けるが再びゴルジュとなる。ゴルジュの幅が狭まり滝をかける。幅が2mもないところもあり、平年なら遅くまで雪渓で残っていると思われる。、その残り具合で遡行の難度は大きく変わってくるだろう。今年は雪渓の欠けらさえ見当たらないという、希に見る年なのではないだろうか。今日は雨の心配はないようだが、狭く深いゴルジュには長居したくない。 ゴルジュを抜けた 二俣(1190m) 4m斜滝 6m斜滝 6m+4m滝 5m直瀑 4m+3m滝 4m滝 6m滝 ゴルジュ帯を30分ほどで抜け、4~5mほどの滝をいくつか越えると二俣に出合う。真っ直ぐ延びる左俣に直角に出合う形の右俣の方が、やや幅広く傾斜が穏やかである。両俣とも大岩のゴーロが伸びているが、疣岩山に突き上げる左俣には既に滝が見えていて、さらに上にも等高線からして滝がありそうだ。逍遥渓稜会では右俣を遡行したことと、今日のメンバーなら少々の滝でも登れるだろうと思い左俣に進むことにした。30日であれば迷わず右俣だっただろう。すぐ4m、6m、6m、4mと続く滝を越えていくと5m直瀑。2人は右壁を登るが、あと一手の出ない自分はお助け紐で登る。次の2段7mに4mと滝の応接が忙しくも楽しい。左岸がつるりとした岩の6m滝は、斜めチムニー状で体を入れて登る。 チムニー状10m滝 トイ状4m滝 小滝を越える 最後の二俣を右へ 源頭部を詰める 草付きに出る 尾根を乗っ越して登山道へ 次に現れた10m滝も左岸がつるりとした一枚岩だが、ほぼ垂直で幅のあるチムニー状であり、登るのがちょっと厄介そうに見える。左岸巻きも考えたが、K樹さんがいけるというのでお任せした。ロープを出して取り付き、脆い岩にハーケンで2か所中間支点を取ると登り切った。結局ロープを出したのはここだけであった。次のヌメるトイ状4m滝は2人がトライしている間に自分は右岸巻きを試みた。しかし、下降に手間取り直登した2人を待たせてしまった。この沢はそんなに悪い滝は現れないので、ヌメる岩でも工夫して直登で越えていくのがポイントのようだ。沢は源頭部の様相となり、右から細い枝沢を合わせながら高度を上げていく。最後の小さな二俣は稜線も近いのでどちらでも問題ないが、地形図を見ると左俣は60mほどで登山道に出てしまいそうだ。ここはこだわりで山頂に近づく右俣へ進む。ほどなく沢形が消えて草付きとなり、ヤブ尾根を乗っ越して少し下ると登山道に出合った。 登山道で三国岳へ 稜線は紅葉 三国岳の三国小屋 剣ヶ峰を下る 三等三角点があるだけの疣岩山の山頂を踏み、登山道歩き35分ほどで三国岳に到着。飯豊連峰の稜線にはガスがまとわり付いているのだが、なぜか三国岳周辺にはガスがなく晴れている。三国小屋前で遅い昼食を取っていると、縦走の登山者がちらほら行き交う。一昨年登ったタカツコ沢源頭を右手に見ながら剣ヶ峰を下り、途中でキノコを採ったりしながら御沢野営場まで下山した。 御沢はグレード的には3級程度で易しすぎず難しすぎず、なかなか面白い沢という印象だった。日帰り可能な飯豊の沢としてはお勧めである。ただし、初級者だけでの入渓は避けたい。雪渓のない状態では30mロープで十分だが、雪渓のある場合はそれ以上が必要かもしれない。足並みのそろったパーティーなら、堰堤上からの完全遡行も可能だろう。 ※後日、「その空の下で。。。」のひろたさんの記録を見つけた。なんと我々の前日の10月1日に御沢を遡行していた。ひろたさんの場合、我々が遊歩道に上がったところから逆に沢に入って長滝を登り、さらに大滝をも登っている。また、二俣からは右俣を遡行しているので、ひろたさんと我々の記録を両方合わせて読むと、御沢のほぼ全容が詳しく分かることになる。 GPSトラック ( 登り:赤 下り:青 )
by torasan-819
| 2016-10-15 23:09
| 沢登り
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Comments(4)
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ichiro29
at 2016-10-17 21:38
こんばんは! 小生の記録へのリンクありがとうございます。
左沢は結構滝が出てきて難しそうですね。これでこの沢の全貌が明らかになって、入渓者が増えると良いですね!
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torasan-819 at 2016-10-18 06:34
ichiro29さん
珍しい記録なのでリンクさせて頂きました。 今回の沢登りのきっかけとなりました貴殿の記録、大変参考になりました感謝します。 これまで遡行記録がほとんど無かったのが不思議なくらいですね。 1日で遡行できるのでこれからは遡行者が増えるでしょう。
例年と比べれば雪渓は格段に少なかったようですが、もう完全になくなってるんですね。大滝より下流も結構楽しそうですね。ひろたさんのブログと併せて楽しませてもらいました。
Commented
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torasan-819 at 2016-10-19 23:13
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