2017年 07月 28日
この頃、仕事のせいか加齢のせいか何なのかモチベーションが今ひとつで、山行計画を立てるのが億劫になっている。7月の3連休もぐずぐずしているうちに5日前の月曜日になってしまった。遠出せずに福島県で1泊の沢登りでもするかと思ったがパートナーは必要。久しぶりにK樹さんにお誘いメールしてみた。返信が「北岳バットレスに行くつもりだが今のところ単独。興味ない?」とのこと。北岳バットレスといえば、私でも知っているほど名の知れたクラシックルートだ。しかし、自分は普段沢登りばかりでクライミングはほとんどやっていない。沢登りでは滝も登るし岩も登るが、それはクライミングとはいえない。とはいえ、以前から北岳バットレスはいつか登ってみたい(まだ北岳どころか南アルプス自体行ったことが無いが)という思いはあった。しかし、思いだけでは登れないし、58歳という自分の年齢を考えるとあまり猶予はない。準備不足は明らかだが、この機会を逃すとなかなか次の機会はやってきそうにない。思い切ってトライすることにした。K樹さんとなら大丈夫だろうという読みもあった。出発は金曜日の夕方なので、バタバタと準備して会に計画書を提出した。期待半分不安半分と言いたいが、ルートの事前学習がほとんどできなかったこともあり不安100%だ。K樹さん頼みで2人パーティーの覚悟を決めていたところ、14日朝になってT中さんも参加することになったとのメールが入った。T中さんは自分と同年代だが、北岳バットレスをなんと40年前の青年時代に登ったのだという。しかも、現在群馬在住で現地情報にも明るく、これで少しは心強くなった気がする。さあ行こうシニア3人組での北岳バットレス! 山域山名 南アルプス 北岳バットレス 山行期間 2017年7月14日(金)~17日(月) 山行形態 アルパインクライミング 天候 15日 晴れ 16日 晴れ時々曇り 17日 曇り 参加者 3人(L:K樹・T中・トラ山) 行程 14日 道の駅国見19:30=道の駅しらね0:30=芦安温泉第5駐車場1:45 15日 第5駐車場4:50=広河原6:20~白根御池小屋8:22-9:55~大樺沢二俣10:15~Dガリー大滝下11:55-13:00~ 白根御池小屋14:30 行動時間 15日 8時間10分 移動距離 未計測 標高 最低点1,525m 最高点3,193m 装備 ロープ50m×2 【14日】 K樹さんと待ち合わせて高速に乗ったのは午後8時近かった。南アルプス市の道の駅しらねでT中さんと合流し、芦安温泉に到着したが3連休とあって既に駐車場が満車で驚く。バス乗車には第2駐車場が便利とは聞いていたが、まったく無理である。結局第5駐車場まで下がって停めることになったが、深夜というのに続々と車がやってくる。さすが北岳である。軽く入山祝いをし、やっと午前2時過ぎに車のシートで横になった。 【15日】 第5駐車場から歩く 芦安から広河原行きのバスに乗る 広河原の南アルプス林道ゲート あれが北岳だ 広河原山荘 樹林の中を登っていく 白根御池小屋に到着 2時間ばかりの仮眠で午前4時過ぎに目を覚ます。山梨交通のバス乗り場まで移動してバス(1,130円)に乗った。乗合タクシーもあるのだが、既に全部出てしまったとのこと。満員のバスに約1時間揺られて午前6時20分頃広河原に到着。歩き出すとすぐ北岳が見えてくる。初めて眺める北岳だ。思ったより近いという印象を受ける。野呂川の吊り橋を渡り、広河原山荘を経由して登山道を登り始める。前後にぞろぞろと登山者の多いこと。普段は東北の山ばかりの自分にとっては驚くばかりだ。それでも大樺沢と白根御池への分岐で二手に別れ、さらに急登になってくるとバラけてくる。速いK樹さんは見えなくなってしまい、T中さんはといえば後方でマイペースなのでこれまた見えない。白根御池小屋に到着して3人そろうとテント(1人1日500円)を設営。到着が早かったせいかテントまだ数えるほどしか張られていない。 大樺沢二俣 雪渓を登る 岩壁が近づいてくる(右手の沢がヒドンガリー?) 右がバットレス沢?左の水流のある沢はC沢というらしい 2人はサブザックにして、自分はザックを軽くして下見に出発。K樹さんも北岳は初めてであり雪渓も残っているだろうこと、明日は暗いうちから行動する予定ということ、そのため岩壁への取り付きを確認しておく必要があるのだ。20分ほど歩くと大樺沢二俣に出合い、そこからは雪渓の上を歩くのでアイゼンを装着する。上にも下にも大勢の登山者が登っている。ここは大樺沢の左俣コースで、稜線の八本歯のコルへと登っていくルートだ。バットレスの岩壁が近づいてきたが、最初はどれが第4尾根なのかさっぱり分からなかった。ルート図を見ている他の2人の話を聞いているうちに、なんとなく分かってきたという始末。その他にもDガリーとかピラミッドフェースとかどこのことやらだ。岩壁を見ていると壁(Bガリー?)に取り付いている2人のクライマーが小さく見えた。えっあんなところを登るのかと思ったが、我々のルートは違うらしい。K樹さんが先行してバットレスへの取り付き点へのルートを探す。最初右手の水流のある沢沿い(C沢)に登ったが違う様で、トラバースして探しているうちに灌木のある小尾根(C沢D沢中間尾根)で取り付きへの踏み跡を見つけることができた。 下部岩壁が迫る(第4尾根主稜はさらに上で見えない) 左が第5尾根支稜とDガリー大滝 第5尾根支稜に取り付いたパーティー Dガリー大滝を偵察するK樹さん 戻るとテント村になっていた T中さん作成の天気図 踏み跡を登っていくと、そびえる岩壁が迫りその下に雪渓が残っている。仰ぎ見る明瞭な尾根が第4尾根主稜で、取り付きの岩壁は下部岩壁というらしい。我々は下部岩壁左手の第5尾根支稜かDガリー大滝から取り付くことになるようだ。そこが一番易しいということらしい。我々以外にも既に数パーティーが下見または登攀中のようだ。アイゼンを付けて雪渓を登り上部を偵察する。Dガリーも登れそうだが、岩壁との間は深いシュルンドとなっていて取り付くのは困難。2人パーティーが左手の第5尾根支稜に取り付いていたので、左に寄ってみると雪渓から飛び降りられそうな箇所がある。思い切ってやってみるとそう難しくはなかった。観察の結果、明日は落石が集まりやすいDガリーでなく、第5尾根支稜から登ることにした。下見を終えて雪渓を下っていると途中でスリップしてしまった。沢登りハンマーの短いピックでは止まらず、ズルズルと滑っていくと下にいたK樹さんが体で止めてくれた。油断大敵、注意一秒怪我一生だ。 白根御池小屋に戻ってみると大テント村になっていてビックリ。80張り以上ありそうでギュウギュウ詰めである。えっと思うような狭いところにまで張ってある。ザックを降ろして装備を解き、外のテーブルに陣取るとまずはビールで乾杯。小屋では生ビールにつまみやソフトクリームまで売っているし、自販機もあるので下界と変わらない。4時のラジオで天気図を書いていたT中さんによると、明日はまずまずの天気のようだという。テーブルで賑やかに談笑していると2名の紳士が相席を願ってきた。話してみるとその2人は仙台とのことで、このブログを見ているというので本人ですと言ったら大いに盛り上がった。明日は早いし寝不足なので、まだ明るいが早々とテントに潜り込んだ。 ※この記録はルート図や様々な記録で確認しながら作成しましたが、記載内容(特に名称等)が間違っている場合はご指摘いただければ幸いです。
by torasan-819
| 2017-07-28 21:47
| 山
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Comments(4)
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tabilogue2 at 2017-08-01 22:04
何処の地に行っても、、、あいかわらず 有名人ですね(´艸`)
同郷のよしみというか 解っちゃうんですかね? 仙台人の匂いすんのかな??? 続きが楽しみです いいね! クラシックルート・・・。。。
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torasan-819 at 2017-08-02 21:28
tabilogue2さん
ホンと偶然なんですよ。話してみたらそうだったという訳で。2人の内の一人は地元情報誌の「りらく」にコラムを持っていて山やアウトドアのことを主に書いている税理士の方です。大藤会計事務所さんでホームページがあります。 さて「その2」ですが、仕事でのアクシデントがいろいろあって疲れてしまい筆が進みませんでした。とはいえ、あまり後伸ばししたくないのでこれから書こうと思っています。明日か明後日にはアップしますのでご了承願います。
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tabilogue2 at 2017-08-02 23:12
その昔、TKC会計の端末機販売でお世話になりましたよ。もっとも お父上の時代ですが。。。
そうでしたか、タウン情報誌”りらく”に連載執筆されてるんですね? ぶっちゃけ、1ページ10万円ほどで ”りらく”さんに払ってるんでしょうかね?(´艸`) 僕にでさえも その昔、旧車趣味でりらく誌の営業さんが来てましたから。。。
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torasan-819 at 2017-08-08 07:54
tabilogue2さん
営業で執筆依頼が来るということもあるのですね。勉強になりました。ワタクシにタダで執筆依頼来ないかなと思っても、3週間もたってやっと「その2」をアップするような遅筆じゃね(笑) |
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