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2018年 05月 11日
飯豊・本社ノ沢 ~ 2018年5月6日
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M崎さんから飯豊・本社ノ沢のお誘いがあり、日程調整のうえ6日に行くことになった。自分としては本社ノ沢は3年ぶり4回目となるのだが、このルートは距離はともかく累積標高差が大きいので体力的にも結構キツイ。体力抜群のM崎さんではついていくのが大変なのでちょっと考えてしまった。しかし、来年行けるという保証もないし頑張ることにした。何人かに声をかけたところK樹さんとK藤さんが乗ってくれ4人パーティーとなった。いずれにしても自分が最年長ということは変わりがない。登頂優先のマイペースで歩こうと決意した。



山域山名   飯豊連峰 飯豊山(2,105.1m) 地蔵岳(1,538.9m)
山行期間   2018年5月6日(日)
山行形態   山スキー
天候     晴れ
参加者    4人(L:トラ山・M崎・K藤・K樹)
行程     大日杉小屋4:30~1,190m地点5:58-6:12~地蔵岳7:08-7:15~大又沢7:23~本社ノ沢出合7:30~
       左岸取り付き(1,280m)8:27~尾根(1,670m)9:30~本山小屋10:52~山頂11:07~本山小屋11:25-11:47~
       二俣12:10~本社ノ沢出合12:26~地蔵岳13:40-13:50~1,190m地点14:03-14:17~大日杉小屋15:08
行動時間   10時間38分
移動距離   15.4km
累積標高差  ±2,422m





             午前4時30分スタート
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             ザンゲ坂を登る
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             スキーを担いで歩く
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             1,190m地点でスキーに切り替える
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             地蔵岳へと登る
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             飯豊山と本社ノ沢
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前日にK藤さんと現地入りしM崎さんと合流して車中泊。比較的近いK樹さんは当日移動だ。午前4時半にスタート。もうヘッデンは必要ないほど明るい。林の中には残雪がある。ザンゲ坂にも雪があり長靴には先行者のステップがありがたい。今日はM崎さん以外は長靴なのだ。尾根に乗ると3人の先行パーティーを抜かせてもらう。しばらく登ると御田の手前から雪が現れだすが、まだまだスキーというわけにはいかない。いつもと同じ1,190ⅿでスキーに切り替えることにした。シール登高を開始し雪面の崩壊個所で一度ツボ足になるが、その後は順調にスキーで登り続ける。だまし地蔵を左から巻いてトラバースし地蔵岳に登る。7時8分地蔵岳到着。正面に大きく飯豊本山が見える。本社ノ沢は右俣も左俣もデブリなどは見えず綺麗なようだ。より白く見える部分は新雪だろう。実はこの時期の新雪はあまり嬉しくない。見た目は綺麗だが湿っているので滑りが悪く、ブレーキ雪とかストップ雪といわれるほど板が走らないからだ。



             大又沢への下降
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             大又沢の右岸をトラバース
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             露出した本社ノ沢出合
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             大又沢左岸を登り本社ノ沢右岸へ
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             ツボ足でトラバース
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             下には沢が口を開けている
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             さらにトラバースで本社ノ沢へ
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             これから1,000mの登りが待っている
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地蔵岳からは沢筋を大又沢まで標高で400ⅿほど滑り降りる。いつものように大又沢には1か所穴が開いていた。右岸をスキーで一気にトラバースしたが、高さもあり沢に落ちてはいけないので緊張する。本社ノ沢の出合は事前情報どおり雪渓が崩壊し完全に沢が露出している。以前には見られなかった状況だ。さてどう通過しようかと周囲を見ると、大又沢左岸斜面にツボ足のトレースがあったので登ってみることにした。登って向こう側は本社ノ沢の右岸になる。急斜面のトラバースになるのでK樹さんが偵察したところ大丈夫とのことで後に続く。急斜面で下には沢が口を開けているので心理的にもかなりプレッシャーがある。後半部分のトラバースはM崎さんが先行し、後続はステップを借りて無事沢床に降りた。振り返ると我々のトラバースよりかなり下にツボ足のトレースがあった。露出した沢のすぐ上でしかも滝がある様子で、よくぞあの位置でトラバースしたものだと感心というか見ていて怖い。やれやれとひと仕事終えた気分だが、これから1,000ⅿの登りが待っているので気を引き締めなおす。



             枝沢に取り付く
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             急斜面を登っていく
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             尾根に乗る(後ろは地蔵岳)
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             尾根の左をトラバース気味に登る
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             小屋が見えてきた
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             本山小屋に到着
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             山頂は強風だった
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本社ノ沢の沢底を歩くこと30分ほどで尾根への登路となる枝沢に取り付く。急登だがシールはしっかり雪を掴んでくれる。さらに斜度が増すとスキーアイゼンを装着していない自分は、装着している他の3人とは別ラインで登る。K樹さんはぐいぐい登って尾根に先着。残る3人は急斜面にそれぞれ苦労しながら登っていると、スキーとツボの2人パーティーが尾根を下山してきた。尾根でひと息つくと尾根の左をトラバース気味に登る。やや風はあるがさほどではない。小屋まではまだ標高で400m以上ある。左手の右俣斜面を見下ろすと先ほどの3人パーティーが登って来るのが見えた。複数のシュプールもあり今年の本社ノ沢は結構人が入っているようだ。本山小屋に到着してザックを降ろすと山頂へ向かう。稜線に雪はほとんどないのでツボ足である。15分ほどで着いた山頂はかなり風が強い。なんとK籐さんは飯豊本山が初登頂である。



             左俣を選択する
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             重い湿雪で板が走らない
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             テレマークで滑りにくそうなK藤さん
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             高度を下げるとザラメになってくる
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             右俣から出合に流れ込んだデブリ
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             1,000mの標高差もスキーの機動力で短時間
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本山小屋に戻ると3人パーティーが到着していた。話してみると私のブログを見ているという。嬉しいがちょっとプレッシャーでもある。さて滑降はどちらにしようか迷ったが左俣にした。斜面は新雪できれいだが湿雪なのでかなり重い。ザラメを期待したのだが残念である。この素晴らしいロケーションを楽しむこととしよう。標高で800m以上滑り降りると二俣出合だ。右俣からはデブリが大量に流れてきていた。今朝は無かったし3人パーティーは右俣を登ってきた(後でわかったが右俣を滑り降りた7人パーティーもいたらしい)ので、ここ数時間で雪崩れたものだろう。左俣を滑ることにして良かった。出合付近の沢幅が狭くなる箇所なので、もしその時ここにいれば逃げようがなかったはず。以前にもこの右俣は同じ場所でデブリを見ているので雪崩やすい条件があるのだろう。気温が上がった日は特に危ないので近寄らない方がよい。



             出合はスキーでトラバース
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             地蔵岳へ400m登り返す
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             振り返り見る飯豊山
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             右俣の雪崩状況
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             山頂はカットして下山
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             向こうは三国岳への尾根
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             地蔵岳をトラバース
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             最後のひと滑り
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             長靴で下山
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本社ノ沢出合付近の高巻きも下りはスキーのままトラバースした。大又沢の穴もクリアすると地蔵岳への400ⅿの登りだ。とにかくここはマイペースなのだが思ったより楽に登ることができた。シールを剥がすと地蔵岳の山頂はトラバースしてカットした。1,190ⅿまで滑り降りるとスキーを担いで歩く。1時間ほどで大日杉小屋に到着。足並みのそろった強力メンバーでのスムーズな山行だった。

自分が本社ノ沢に初トライしたのは2012年だが、その頃はまだそれほど広く知られていなかった。単独ということもありかなり緊張して臨んだ記憶がある。本社ノ沢を滑る人も徐々に増えて記録もそこそこ見かけるようになってきた。そして今回は、たまたまかもしれないが今までになく多くのパーティーを見かけた。山スキーは本来バリエーションなのだが、多くの人が歩くことによってルート化してゆく。少し秘境めいた感じのあった本社ノ沢だが「一般化」してきたのだなと感じた。本社ノ沢はもはや特別な所ではなく既知のルートのひとつになってきた感がある。そういう意味では自分もブログでの情報発信によって一役買ってしまったのかもしれない。とは言え本社ノ沢は決してやさしいルートではない。体力はもとより沢の通過や雪崩などかなりリスクのある箇所があり、状況判断が出来なければ安易に入り込むべきではないと思う。特に本社ノ沢は神域とされる飯豊本山なのである。親愛なる山スキーの同志達よ、謙虚に心して入山させてもらおうではないか。



             GPSトラック( 往路:赤 復路:青 )
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by torasan-819 | 2018-05-11 05:11 | 山スキー | Comments(2)
Commented by fck_mototyan at 2018-05-19 20:33
シールハイクにこれほど苦しんだのは久しぶりでした。自分は同じ条件なら潔くつぼ足っス。しかし長靴に着いて行くのはしんどかったー。
Commented by torasan-819 at 2018-05-21 03:06
fck_mototyanさん
あれはK樹さんのラインを追いかけてはいかんのです。
彼のようにあれほどの急斜面をろくにジグも切らずに登れる人はなかなかいません。
後を付いていった人はあえて厳しい道を選んだということですね。
ワタクシははなから別ラインで登ったので問題ありませんでしたし。
長靴の件はワタクシの連絡ミスですみませんでした。


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