2018年 07月 14日
蔵王での行方不明者捜索顛末 ※発見されました
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27日の夕方、まだ仕事中だったが携帯が鳴った。山岳遭難対策協議会(山遭協)の班長からで、蔵王の登山者で行方不明者があり、明日の捜索に出動できるかとの連絡だった。非常に忙しかった仕事もやっとピークを過ぎ、たまたま28日はスケジュールが空いていたので、休日出勤の代休を当てることにした。行方不明者は仙台の単独男性27歳で、26日に蔵王連峰の熊野岳などへ登山に向かったが、夜になっても帰宅せず家族が届け出たとのことだ。27日朝から捜索が開始されたが、登山道中心の捜索では発見できなかったのだ。



7月14日、行方不明者は濁川左岸を偶然通りかかった登山者により発見され、やっとご家族のもとに帰ることができました。ご冥福をお祈りします。あくまでも推定ですが、倒れていた場所から見て滑落と思われます。発見された区域もヘリと徒歩により捜索されていたはずですが、なぜその時は発見できなかったのか不思議です。今後自分なりに検証してみたいと思います。






28日6:30に駒草平に集合すると、警察と消防に加え自衛隊も出動しており、総勢150人以上の大人数での捜索体制だ。行方不明者の車が賽の磧駐車場にあり、大黒天~熊野岳~追分~賽の磧~大黒天の周回ルートでの登山計画とのこと。自分の担当は沢の捜索に当たることだが、山遭協の3人と警察の若手1人の4人パーティーで左エ門沢を遡行した。左エ門沢は易しい沢なので、初めての沢登りの警察官でも何とかついてくる。左俣左沢を登山道まで詰め上げたが発見できず。登山道経由で峩々温泉まで下り駒草平に戻り捜索を終了した。29日は仕事だったが、やはり仕事中も気になる。夕方聞いてみるとまだ発見に至らずとのこと。それを聞いて土日も捜索に当たることにした。



             左エ門沢左俣を遡行
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30日は山頂レストハウス駐車場に集合。行方不明者のご両親とご兄弟と顔を合わせたが、何と言ったらいいのか分からない。この3日間で登山道周辺はほぼ探しつくされ、連日ヘリも飛んで上空からしらみつぶしに捜索されている。捜索態勢は大幅に縮小され、警察と山遭協での捜索となった。家族も一緒に歩く登山道の班と沢登りの班に分かれる。沢での捜索となると、山遭協の中でも限られたメンバーになる。自分はT氏と2人で振子沢を捜索する。振子沢は比較的易しい沢だが、捜索となるとやはり緊張する。振子沢を遡行して詰め上げ、お釜の縁を回って濁川源頭から沢通しに下降し、右岸を登って大黒天に出た。他の班も収穫なしだった。その後峩々温泉脇の無名沢も念のため捜索して終了。行方不明者はいったいどこに行ったのやら。登山道を普通に歩いていれば、道迷いや滑落などは考えられないのだが。なにか普通ではないことが起きたのだろうか。



             下段の振子滝
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             上段の振子滝
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             溶岩の特色ある地形
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             懸垂下降で雪渓を確認
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             濁川上部の小滝
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1日は賽の磧駐車場に集合。今日も家族が来ていて、ご兄弟が登山道を一緒に歩くとのこと。自分は今日もT氏と2人で丸山沢を捜索することになった。丸山沢を登っていると今日も上空をヘリが飛んでいる。丸山沢は雪渓がかなり残っていて、岩との隙間ものぞき込んでみる。自分としても丸山沢のこの時期の遡行は初めてで良い経験になった。源頭部近くまで遡行し右岸をロバの耳岩の下まで登る。二手に別れて自分は五色岳経由で濁川左岸尾根でT氏と合流。大黒天に出て捜索を終了した。結果を出せず残念だ。どういう関係者か分からないが、ドローンで捜索を試みている人達がいた。状況によっては非常に有効と思うが、今回のように手掛かりがなく捜索が広範囲になっている場合はどうだろうか。公式の地上からの捜索は本日で終了とのこと。ただし、8日に予定されている山遭協の訓練は捜索に切り替わるだろうとのこと。



             早くも雪渓が現れる
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             雪渓の上を歩くようになる
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             20m滝もまだ半分埋まっている
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             丸山沢源頭部
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             成果なく下山する
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7日はプライベートで捜索も兼ねての沢登りにした。8日は沢登り講習会があり、捜索には参加できないからだ。H田を誘い濁川の一部と五色沢を遡行した。ハプニングでスタートが昼になってしまったが、行程が短いので遡行することができた。この日も何も手掛かりなし。今回の捜索で初めて温泉で汗を流してから帰宅した。



             不帰ノ滝(高さ100m弱あるとされている)
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             迫力がある滝直下
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             五色沢を登る
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             尾根へ詰め上げる
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8日の捜索は約40人が6班に分かれて行ったが、やはり何も手掛かりなしとのこと。登山道はいうに及ばず、廃道や沢など考えうる箇所は探しつくした感がある。捜索に当たった延べ人数はいったい何人になったのだろう。蔵王の一般登山の行方不明者で、これだけ捜索しても何も手掛かりなしとはどういうことだろうか。登山道で少しでも滑落しそうな可能性のあるところはすべて確認したはずだが、何か見落としがあるのだろうか。あるいは遭難者にありがちな突拍子もない行動をとったのかもしれない。昨年も栗子山で単独男性の行方不明者があり、普通のところは探しつくしたということで、沢の捜索依頼があった。7日間でのべ10班を投入したが、結局見つからなかったということがあった。行方不明者が実際に遭難しているとすれば、我々の予想外の所に入り込んでしまい発見できないのだと思うしかない。捜索中も話題になったが、単独登山者は特にココヘリの活用も考えるるべきなのかもしれない。ヘリから電波を受信して場所を特定できるというのは非常に有効に思える。それにしてもつくづく捜索は難しいと思う。行方不明者が早期に発見されんことを祈るばかりだ。



             コマクサに癒された
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by torasan-819 | 2018-07-14 15:36 | | Comments(7)
Commented by rose33yuji at 2018-07-14 20:02
捜索お疲れ様でした。
自分は27日の午後と28日に入りました。
ココヘリは何度も試行してみました。2km先から子機の電波を拾い、親機に示す矢印に導かれながら飛べば、子機の上空に達しました。しっかり子機を携行して、親機が電波を受信できればです。拾えない場合について、子機の携行を忘れる、スイッチOFFのまま、バッテリーが落ちた、携行方法が悪くて落とす、紛失する、親機の操作不良、ID入力ミスのほか、雪に埋もれる、水没する、身体の下敷きになる、で電波の発信に影響がありそうです。さらに、身体から離れることとして、転滑落時に離脱する、倒れて動けずのところ動物がさわるなどで離れる、ことがあるのではないかと思います。確実に操作して、携行すれば、子機の位置をつかむには良い手段だと思います。救助機関のヘリが採用することも進めるべきですね。
Commented by torasan-819 at 2018-07-14 21:22
rose33yujiさん
振子沢遡行時にもしかしてと思っていたのですが、やはりいらしたのですね。お疲れ様でした。ココヘリは有効と思いますので是非活用していただきたいです。単独か複数かによらず携行すればよいと思います。私のよく行く登山用品店は親機を持っていて、客が持っている子機のIDを申告していれば、もしもの時に捜索協力してくれるとのことです。ちょうど今日その店によって話してきたところです。もし行方不明者が携行していれば、これほどの大量動員をせずに早期に発見できたかもしれません。こんなことを言っている自分が持っていないのも何なので、近日中に手続きをして携行するつもりです。救助機関での対応も是非進めていただきたいですね。
Commented by rose33yuji at 2018-07-15 23:35
遭難者が発見されました。昨日、濁川の流れの中で、賽のかわらから渡されたケーブルの下流方向で発見され、本日ヘリ収容したそうです。すると、追分からカモシカ温泉跡地に下って、賽のかわら方向に向かっている途中で滑落でしょうか。早い段階で発見救助できず残念です。
振子滝のそばを登っていたのはtorasanですね。撮影した写真に二人写っていました。捜索ありがとうございました。
ココヘリですが、こちらでは運用に向けて進めています。導入になれば、山岳訓練で実施しようと思います。登山届にIDの記入が必要ですね。そして、確実な携行方法をお願いしたいです。たとえ動けなくなっても身体から離れず、防水措置をして、水没などでも発信を続けることができるように。
Commented by tabilogue2 at 2018-07-16 10:52
捜索活動 お疲れ様です。

先日の新庄神室遭難事件でも強く思ったのですが・・・捜索活動に有効な”ココヘリ”の活用ですね。
たった3000円で、一発で「特定」できますから 捜索する側の負担と費用軽減ができます。
ソロ登山者には 是非加入して貰いたい「ソリュ-ション」ですね。
Commented by torasan-819 at 2018-07-17 20:58
rose33yujiさん
14日夜に発見との連絡を受けました。
発見者は予定外の濁川左岸を歩いていて偶然発見してしまったとのことですね。
登山道の途中から左エ門沢を下り、転落箇所に出たのではないかと思っています。
私としても悔やまれる部分が多々ありますが、今後の教訓にしたいと思っています。

ココヘリ(ヒトココでもですが)は、今回のような場合は特に有効で、持っていれば早期発見につながったと思われます。普及を積極的に図る必要があるのではないでしょうか。
Commented by torasan-819 at 2018-07-17 21:08
tabilogue2さん
まったくその通りです。今回もし持っていれば(正しく携行する必要はありますが)早期に発見された可能性は高いですね。
捜索側の費用軽減もそうですし、何より二次遭難の危険性も少なくなりますしね。費用対効果でいっても年間3千円ですから安いものです。
Commented at 2018-07-18 09:02
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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