2020年 07月 06日
7月上旬といえば本格的な沢登りシーズンに入る頃である。福島登高会でも例年ならこの辺りに沢登り講習会を開催している。しかし、今年はコロナ禍などの事情により講習会を準備できるような状況ではなかった。県外の移動自粛も解けて会員の山行自体もやっと動き出した程度であり、沢登り開始の動きが鈍い。当たり前だが何もしなくても時間は過ぎて行く。そんなこともあり、S木さんが計画しながら天候などで2週連続中止となっていた安達太良山・湯川の沢登りを、勝手に引き継がせてもらう形で計画した。沢登りが2回目のHyさんを含めて5人パーティーになった。今年初めての沢登りも3人いるので沢トレーニングとの位置づけである。当日の天気予報によるとある程度の降雨は見込まれるが、沢登りには支障ないだろうとの判断である。自分は雨模様の沢登りには比較的慣れていることもある。参加者には雨も覚悟でとのメールを送ったのは言うまでもない。なお過去の記録を確認すると自分としては6回目の湯川となる。 山域山名 安達太良山・湯川 山行期間 2020年7月5日(日) 山行形態 沢登り 天候 曇り 参加者 5人(L:トラ山・W井・E藤・N山・Hy) 行程 塩沢スキー場7:52~入渓8:06~5m滝8:26~三階滝(下段)到着9:13~三階滝(上段)終了11:20~八幡滝11:40-12:00~ 霧降滝12:16-12:30~ヤブ漕ぎ13:19~登山道14:05~僧悟台(霧降滝分岐)14:41~塩沢スキー場15:43 行動時間 7時間51分 移動距離 9.1kⅿ 標高 最低点770m 最高点1,505m 装備 ロープ 30ⅿ×2 塩沢スキー場を通る 馬返し分岐を右へ 登山道の渡渉点から入渓する 5m滝 何でもないところでドボン 塩沢スキー場前の登山者用駐車場には午前7時半集合とした。全員早めの到着で沢支度を終えると早速スタートした。他に登山はいない。登山道を少し歩くと馬返しの分岐で右に入る。ほどなく湯川に出合うので入渓する。しばらくは平凡なゴーロ主体の沢歩きが続く。やがて最初の5m滝が現れる。ここはフリーで難なく登ることができるが、練習の意味もありお助け紐での確保をやってもらう。確保者には私の自分の体重(80kg)をわざとかけて実践トレーニングである。またしばらく沢歩きを続けると3つの滝が連続する三階滝である。右岸急斜面にある登山道からもこの滝を見に降りることができる。そのための巻道を使えば全部の滝を容易に越えることができるが今回は3つとも直登することにした。 三階滝下段(8m) 左壁を登る 三階滝中段(10m) 右壁をトラバース気味に登る 三階滝上段(8m) スリップに注意して直登 下段の滝(8m)ではW井・E藤の2名にロープをフィックスしてもらうことにした。後続はフリクションノットで登るが、正確なノットにすることとランニングビレーの通過方法がポイントだ。もちろん登った後のセルフビレイは鉄則である。状況に応じた支点の構築方法やエイト環でのビレーなど、実際にやって慣れていないと実戦ではスムーズにいかない。中段の滝(10m)はやや寝ており右壁を手前からトラバースするように登ることができる。水流を左岸側へ越えて右壁を観察すると、濡れた岩と増水した滝の勢いのせいかやや難しく見えることもあり自分がトップになる。途中から灌木に支点を取りロープを伸ばして登りきると立ち木に支点を取った。後続は最初からロープを出して登ってきたが、30mでは届かずこちらのロープに作った中間支点に接続した。この滝が一番時間がかかった。上段の滝(8m)も右壁を直登する。釜をヘツリ気味に滝身に寄って直登する。5人が三階滝の通過に要した時間は約2時間だった。巻き道を使えば10分程度だろう。今回はトレーニングということであえて直登にトライしたが、状況やパーティーによって巻くか直登するかを選べばいい。 右岸の屏風岩を見上げる 相恋の滝(2m+8m) 八幡滝(6m) 八幡滝上流のナメ 中の滝(20m)スリップ注意 天然のウォータースライダー 霧降の滝(20m) 遡行再開で10分もすると大きく左に曲がって右岸に屏風岩を見上げる。すぐ相恋の滝(2m+8m)を容易に越えると二俣となり右俣が八幡滝(6m)で落ちる。ここで滝を眺めながらの昼食とする。休憩後は以前は登山道でもあった名残のクサリが残る八幡滝の水流右を登る。八幡滝の上はナメが続き沢が左に曲がるところで中の滝(20m)である。中の滝はナメ滝で苔が生えている。スリップしやすく滑れば下まで落ちるので注意したい。中の滝の上もナメが続くがほどなく滝が見えてくる。霧降の滝(20m)だ。絵になるこの滝の写真を撮るためにここまで登って来る人もいる。滝の岩がタラコ唇の人の顔に見えるという人もいるがどうだろうか。いつもはここで引き返すことが多いのだが今回はさらに上流を歩いてみることにした。霧降の滝を高巻くため左岸にある登山道を登る。この登山道は今は廃道とされていてやや不明瞭だ。滝の高さを越えたあたりで道を離れヤブを漕いで沢に降りた。 ナメが続く 安達太良山の沢に良くある赤い岩 ヤブを漕いで登山道へ 僧悟台のハクサンシャクナゲ ガスのかかる登山道を下る 塩沢スキー場に到着 上流もナメが続くというか滝は出てこなくなりもはやナメしかないという印象だ。しかも安達太良山でよく見かける赤い岩の沢床である。ナメを50分ほど歩いてから右手のヤブに突入して登山道を目指した。所々ネマガリダケの濃いヤブに阻まれ思ったようなラインが取れない。右往左往で少々遠回りをしたが45分のヤブ漕ぎで登山道に出た。あとは登山道を下って戻るだけである。途中でハクサンシャクナゲが多い僧悟台を通る。ちょうど見ごろのはずと期待したのだがあまり咲いていなかった。天気は下り坂のようでガスもかかってきたが最後まで雨にも当たらず登山口に到着。塩沢温泉青木荘で入浴(500円)して帰宅した。今日はメンバーのトレーニングになっただろうか。さて次の沢はどこにするか考えねば。 GPSトラック( 往路=赤 復路=青 )
by torasan-819
| 2020-07-06 18:50
| 沢登り
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Comments(8)
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fck_mototyan at 2020-07-08 08:17
沢のぼりは未経験で川くだりは経験しています。沢のぼりではライフジャケットを着用しますか?必要に応じての場合はどのようなシチュエーションでしょうか?泳いだり流されたりすることはあるのでしょうか?
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torasan-819 at 2020-07-08 18:10
mototyanさん
ライフジャケットを使う場合もあると思いますが私は使ったことがありません。水量の多い大きな沢などで泳ぐような場合に着用する場合があるという感じですかね。泳ぎに不安のある人が着用するときもありますね。沢登りで泳ぎは必要な技術のひとつです。泳がないと先に進めない場合もありますから。 動きに邪魔になるし暑い(と思う)ので普通は着たくないです。ザックやハーネスに様々な道具を身に着けているので、よっぽどのことがなければライフジャケットまでは考えません。いま流行り?のキャニオニングなどでは安全のために着るようです。わざと流されてみたり滝つぼに飛び込んだりしますから。 ところで沢登りしてみませんか?
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NYAA
at 2020-07-11 18:54
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まっつん
at 2020-07-11 22:04
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いつもブログ拝見させて頂いております!
登山友達と昨年から沢登りを始め、ちょくちょく沢に行っています。がやはり初心者だけでは限界がありますね。 福島登高会さんで沢登り講習会をやっていると情報があり、今年は参加してみようと思っていましたが…状況が状況だけに今年は難しそうですね。
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torasan-819 at 2020-07-11 22:07
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torasan-819 at 2020-07-11 22:43
まっつんさん
初心者同士であってもある程度沢登りの技術面を高めていくことは可能だと思います。 でもそれがなかなか難しいんですよね。 残念ながら今年は沢登り講習会の開催を断念しました。 来年は再開したいと思っていますのでその際は是非いらしてください。
はじめまして。福島登高会が開催される2021年の沢登り教室に関心がありますが、どこで情報は得られますか? 福島登高会のホームページを見てもわかりませんでしたので、ご教示いただけますと幸いです。
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torasan-819 at 2021-06-15 23:06
kiyokiyoさん
コメントありがとうございます。。 毎年行っていた沢登り教室ですが、コロナの関係で一般募集はしないことになりました。 参加者を会員限定にして6/13に沢登り講習会を開催したところです。 来年は再開できればと思っています。 |
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