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2020年 07月 24日
吾妻・三代道沢(藤右ェ門沢)左俣左沢 ~ 2020年7月24日
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会の古い記録を見ていると吾妻山の三代道沢が目に留まった。1977年から1979年にかけて右俣、左俣右沢、左俣左沢が遡行されている。三代道沢は大樽川の支流のひとつで現在の地形図では藤右ェ門沢と記載されている。しかも、右俣上流は小和須知沢と記載されている。会長に聞いてみると当時の記録で三代道沢とされているのは、現地での聞き取りによるものだったとのこと。会長は当時の遡行メンバーのひとりでもある。前回の横川と温海沢もそうだが沢の名前は難しい。同じ沢が上流下流で名前を変えることは当たり前で、地形図に表記されている沢名が必ずしも上流までそうだとは言えない。複数の名前がある沢もあり「正しい」名前も複数あるといえる。今回は三代道沢(藤右ェ門沢)として整理することにした。さて、沢を地形図で追ってみると右俣に比べて左俣はその半分ほどである。よって集水域も狭いかなりコンパクトな沢のように思われる。しかし、記録には大きな滝がいくつもかかるとのことで、面白そうな沢との印象だったので遡行してみることにした。


山域山名   吾妻山・大樽川支流三代道沢(藤右ェ門沢)左俣左沢
山行期間   2020年7月24日(日)
山行形態   沢登り
天候     曇り時々晴れ
参加者    2人(L:トラ山・S木)
行程     若女平登山口8:59~入渓9:01~二俣(左俣へ)9:47~二俣(左沢へ)10:08~枯れ沢12:17~ゲレンデ13:35-13:55~
       ロープウェー駅14:11~若女平登山口14:58
行動時間   5時間59分
移動距離   7.8kⅿ
標高     最低点855m 最高点1,595m
装備     ロープ 30ⅿ×1・20ⅿ×1





            若女平登山口
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            すぐ堰堤から入渓する
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            遡行を開始
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            登山道の橋をくぐる
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            堰堤や頭首工がある
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            水量は少し多いようだ
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            4m滝
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            シャワークライミングを楽しむ
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            4mナメ滝
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            5m滝
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            二俣を左俣へ
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若女平登山口すぐ手前の西吾妻スカイバレー脇に駐車。後で思ったが周回でもあるので天元台の無料駐車場に置いたほうが良いだろう。登山口から入ってすぐ橋を渡ると堰堤があったので早速入渓する。登山道の橋をくぐると堰堤、頭首工、また堰堤と構造物が続く。その後は普通の沢歩きだがなかなか渓相が良い。小滝を越えてミニゴルジュで左に曲がると4m滝。やや増水しているようで水流が跳ねている滝をシャワークライミングで登る。4mナメ滝の次の5m滝は左岸から越える。すぐ二俣になり今日は左俣へ入る。水量はやはり右俣の方が多い。



            すぐ30m滝になる
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            右岸から巻いて落ち口へ
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            二俣を左沢へ
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            3m滝
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            4m滝
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            8m斜滝
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            連瀑が現れる
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            15m滝
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            凹角から直登する
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            すぐ上にも階段状15m滝(下の滝と合わせて2段30m滝とする)
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左俣に入るとすぐ30m滝だ。傾斜は寝ているので登ることはできそうだが、岩の滑らかさと水流の勢いに冒険するのは止めた。右岸に薄い踏み跡があり少し登るとトラバースラインが見えた。落ち口の上で沢に戻る。次回(あるのか?)は直登してみたい。滝の上は穏やかな流れの小沢となり良い雰囲気である。天場になりそうな平場もある。やがて二俣に出合う。右沢の水量がやや多く3:2ほど。計画どおり左沢へ入る。10分ほどで3m滝。右岸に枝沢を見てしばらくは小滝がある程度といたって穏やか。やがて4m滝が現れ水流右を直登。左岸に小さな枝沢を見送ると少しして前方に高さのある滝が見えてくる。8m斜滝の手前でのんびり20分ほど休憩。腰を上げて斜滝を登ると15mほどの滝。直瀑に近いが右岸の凹角から直登できる。上にもすぐ15m滝だが階段状で容易。2つの滝を合わせて2段30m滝として整理しよう。



            6m滝
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            25m滝
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            フリクションを効かせて直登
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            落ち口上には大岩
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            30m滝
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            上部は立っている
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            ホールドはあるが緊張する直登
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            20m滝
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            ナメの落ち口
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            6mナメ滝
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            大岩のゴーロ
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            トイ状4m滝
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            急に水が枯れる
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すぐ6m滝で直登を試みるが滑って悪い。諦め右岸から小さく巻いて越える。すぐ25m滝で下から3分2は容易だが上部は立ってくる。飛沫を浴びながら岩のフリクション頼みに直登すると、落ち口上に大岩が鎮座していた。すぐまた滝で寝ているが高さは30mほどあろうか。直登は容易と思えたが上部がやはり立っている。少し手こずりながら登ったが緊張した。ここは脇に逃げるかロープを出したほうが良いだろう。次の20m滝も寝ているので容易だが上はナメになり右のブッシュを掴んで登る。大滝の連続で満腹だ。6mナメ滝に4m滝を越えると大岩が重なる。トイ状4m滝に続く4m斜滝を登ると、右岸から地形図には無い枝沢が合わせて本流は急に枯れる。枝沢を登ってみるとすぐ水源は湧水であることが判明し戻る。



            枯れ沢で高度をかせぐ
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            枯れ沢二俣を右へ
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            岩壁に突き当たる
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            傾斜が緩んでヤブを漕ぐ
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            天元台スキー場のゲレンデに出る
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            下山はゲレンデと舗装路で
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大岩が重なる枯れ沢を登り始めると10分ほどで二俣になり右へ進む。やがて沢形が不明瞭になりヤブの急斜面になる。枯れ沢になってから100mほど高度を稼いだところで10mほどの岩壁に突き当たった。右から回り込んで越えると一気に傾斜が緩む。さらにヤブ漕ぎ30分ほどで天元台スキー場のゲレンデに出た。登山者たちを横目にひと息ついてから下山にかかる。1時間ちょっとで若女平登山口前まで戻った。三代道沢左俣左沢はコンパクトな沢だが予想以上の滝の連続で、ほどほどに刺激的で楽しむことができた。水量が少し多めなのも良かった。詰めでは沢を外してしまったが、忠実に沢を追えばヤブ漕ぎはもっと短時間で済むだろう。下山はゲレンデと舗装路を歩いて約1時間と楽ちんである。魚影はあったが沢に合わせたサイズだった。
やはり初めての沢は面白い。次はどんな滝なのだろうとワクワクすることに年齢は関係ない。記録のない沢は期待と緊張でさらに面白くなる。記録豊富なメジャーな沢もいいが、訪れる者も稀な沢を遡行するのは沢登り本来の楽しさを味わえるのではないだろうか。



            GPSトラック( 往路=赤 復路=青 )
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by torasan-819 | 2020-07-24 20:32 | 沢登り | Comments(2)
Commented by fck_mototyan at 2020-07-28 20:20
川下り目線で読んでいると新しいルート開拓のワクワク感には同感です。リスクは承知ですが新鮮味と刺激とクリアした時の達成感は何とも言えないものがあります。
沢のぼりの用語が難しくてこれまであまり読んでも理解できませんでしたが、徐々に慣れてきて楽しく読ませてもらっています。左右は下流から上流を見てるんですね。ゴーロって用語に少し萌えてます。
Commented by torasan-819 at 2020-07-28 21:43
mototyanさん
習うより慣れろでしょうか(笑)
川下りと沢登り、向かう方向は正反対ですが共通項も多いような気がしますね。
ご存知の通り右岸左岸は上流から下流を見ての左右です。
右俣左俣、右沢左沢は下流から上流を見ての左右なんですね。
その他にも右壁左壁という場合は下流から上流を見ての左右です。
結局、上流から下流を見ての左右は右岸左岸の場合だけなんですね。


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